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愛よ咲け  作者: Lilly
2/12

第一話 瑠璃って呼んでもいい?

 あれから数日経つと、春野くんへの恋はより確かなものへと変化していった。


 恋とは不思議なものだと、私は恋をするたびに思う。

 だって、好きになれば好きになる程、心は荒れ、おかしな方向へと突っ走る。




 文化祭も終わり、ひと段落ついた時、私はみーさんに雑談しようと誘った。本当は、恋愛相談をしたかったのだが・・・みーさんが、恋愛相談してきた。

 恋愛しないと豪語していたみーさんが、恋とはなんたるかを考えるようになるなんて・・・みーさんも、変わったなぁ。

 でも、みーさんが恋をしようとしているのに、私が怖気付いて春野くんに話せていないのは、いかがなものだろうか。


 私は、みーさんに「当たって砕けろ」と言った。なら、私も当たるべきではないだろうか。


 でも、怖い。


 みーさんには、あぁ言ったが、私だって嫌われたりした時が、一番怖い。



「え〜お姉ちゃんが怖がるなんて、珍しいね」

 家で、私の二つ下の妹ー竹宮瑠衣がそう言った。

 瑠衣も、私に似て恋大き乙女だ。唯一私と違うのは熱しやすく、冷めやすい、というところだろうか。

 私は一度恋をしたら、なかなか冷めないのだが、瑠衣はすぐ冷める。どうやら、蛙化現象というものらしい。

「その人のこと、そんなに好きなの?」

「え・・・あぁ、うん」

「なるほどね〜。その人と、よく話したりしている?」

「ううん」

 私の言葉に、瑠衣はあからさまに落胆した。

「当たる前に、仲良くならないとダメでしょ?」

「うん、そうだね・・・」

「とりあえず、話しかけてみる!!ね、お姉ちゃん」

 瑠衣はそう言って、笑ってきた。

 家族曰く、私たち竹宮三姉妹は笑い方が似ているらしい。


 長女、私ー瑠璃。次女、瑠衣。三女、瑠美。

 瑠美は私の五つ下だ。まだまだ十一歳の可愛らしい少女なのだが、どうやら、恋に悩んでいる。

 なぜだかはよく分からないが、竹宮三姉妹は恋大き乙女しかいないようだ。



 話しかけてみる。と言われても、なんと話しかければいいのか分からない。

 「天気が良いですね〜」とかだろうか。いやいや、ベタすぎる。


 あ、そうだ。そしたら、この前のメイド服作成のお礼とかにしようかな。

「は、春野くん」

 私がそう言うと、春野くんは視線を上げ私と目を合わせてきた。

「どうしたの?」

「この前、メイド服作るの手伝ってくれて、ありがとう。おかげで、文化祭も大成功だったよ」

「ほぼ全部竹宮さんが作ったようなものじゃん。でも、そう言ってもらえて嬉しい。ありがと」

「あ、ねぇねぇ怪我・・・大丈夫?裁縫して、指に怪我したじゃん」

「あぁ、あれね。全然大丈夫。もう痛くもないし、跡も残ってないよ」

 そう言って、春野くんは私に指を見せてきた。

「ホントだ。良かった・・・」

 私がそう言うと、春野くんは首を傾げてきた。

「こんな怪我、心配しなくて良いのに」

「でも、私が手伝わせて怪我したんだから・・・心配するよ」

「・・・そっか、ありがと」

 まだ話したいけれど、もう話題が尽きてしまった。どうしよう・・・。

「そうだ、連絡先交換しない?」

 春野くんが、そう言ってくれた。良かった、まだ会話できる。

「うん、しよう」

 私はそう言いながら、スマホを取り出した。


 放課後、家に帰ると私はスマホのメッセージアプリを開いた。

 そこには、新しく追加した春野くんがいる。それだけで嬉しかった。

 さて、どんなメッセージを送れば良いのだろう。

 綺麗な写真とか?・・・でも、それって迷惑になるんじゃ・・・。

 そう思いながら、私はスマホの画像を漁る。確か、今日ぐらいに綺麗な空の写真を撮った気がする。

「あ、あった」

 そう言い、私は春野くんに連絡してみる。

『この写真、綺麗じゃない?今日、学校の帰りに撮ったの』

 というメッセージを添えて。

 既読は、すぐについた。

 え、はや。

『本当だ。すごく綺麗。僕も空の写真撮った』

 というメッセージと共に、綺麗な空の写真が送られてきた。

『わぁ、すっごい綺麗だね』

『うん、思わず撮っちゃった。・・・僕が撮った空と、竹宮さんが撮った空、同じ空なんだね』

『そうだね。空は・・・続いているから』

 なんだろ・・・。すごくベタな会話をしている気がする。僕が見ている月と君が見ている月は同じ月だよね、的な。


『瑠璃って呼んでもいい?』


 唐突に、そんなメッセージが送られてきた。

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