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喫茶店のあの子  作者: K
3/9

 滝谷が喫茶店に出入りし始めてから一ヶ月ほどが経った。

 

 それは金曜日のことだった。

 いつものように窓辺の席で、注文したサンドイッチを食べていると怒号が飛んできた。


「虫が入ってるじゃないか!」


 後ろの席だ。

 振り返ると初老のいかにも気難しそうな男がテーブルに置かれているアイスコーヒーを指差し、ウエイトレスのあの子に絡んでいる。


「すみません。新しいのをご用意しますので」


「もうだいぶ飲んでしまった。そのせいか気分が悪い。ちょっとくらいサービスしてもらっても良いんじゃないか?」


「すみません。それはできません」


「話にならん。店長を呼んでこい店長を!」


 実に嫌な客だった。

 他に客はいなかった。

 早く店長が来て話を収めてくれればよかったのだが、あいにくと店長は留守のようだった。


「店長は今いないので対応しかねます」


 と、ウエイトレスが言うと、さらに男は怒りをヒートアップさせたようで、ついに決定的瞬間が訪れた。


「この馬鹿店員が!」


 男は手にアイスコーヒー入りのコップを持ち、それをウエイトレスにぶちまけた。


 あの子は突然のことに固まってしまっていた。

 制服は濡れてしまい、ポタポタと滴が落ちていた。


 ここにきて、やっと滝谷は男に声をかけた。


「おじさん、何やってるんすか」


 男は予期せぬ人物に声をかけられて怒りの矛先を変えた。


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