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そのウエイトレスを見た瞬間、滝谷はまさに電気が走ったような感情を彼女に抱いた。
すらりとした手足、整った顔立ち、流れるような黒髪、そして何よりその笑顔に惹きつけられてしまった。彼の人生において初めての一目惚れだった。
「水をどうぞ」
そのウエイトレスは盆から3人分の水を順々にテーブルにおいた。
「メニューが決まりましたらまた呼んでください」
そう言って、彼女は奥に消えた。
「今の子、すごく可愛かったな」
滝谷はサークル仲間の2人に同意を求めた。
彼らは大学近くの喫茶店に来店していた。滝谷にとっては初めておとずれる店である。
「ん? 珍しいな。滝谷がそんなこと言うだなんて」
水を一飲みして佐伯が珍獣でも見るような目で彼を見た。
「そうだぜ、普段何にも興味持たないのに珍しい」
「もしかして惚れちまったか?」
「いや、そういうんじゃなくて・・」
「でも彼女って・・」
吉富が言おうとしたのを、佐伯はニヤついた顔をしながら肩でこづいた。
そして何やら耳打ちした。
「でも、なんだよ」
滝谷は聞いた。
「いや、なんでもない。俺の勘違いだったよ」
「気になるじゃないか」
「そんなことより、メニュー選ぼうぜ。俺は、っと」
メニューを選び終わり、再び席に来たウエイトレスに気づかれないように横目で視線を送った滝谷は、やはりこれは恋だと確信したのだった。