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義妹が眼鏡を外したら美少女だということをイケメン義兄の俺だけが知っているんだが、ある日、義妹の眼鏡が吹っ飛ばされ...





なんだよ。たいして可愛くねぇじゃねえかよ。。


俺はがくっと項垂れた。

もともと期待はしていなかった。

親の再婚で突然できた

俺の義妹。

外見はたいしたことなかった。地味眼鏡女子だった。


ただ、俺と高校が同じだった。

でも、俺はそいつの存在を認識していなかった。だって、空気みたいなんだもん。

学園のマドンナとかじゃない。

目立たない空気のような女だった。「橘ヒナタです。宜しくお願いします」


義妹になる女の名前。

ヒナタ。


名前はかわいいけど、印象がいまいち。


自分で言うのもなんだけど、イケメンだと周りからチヤホヤされてる陽キャな俺はいつだってモテて女に不自由していなかった。


だから、目が肥えてる。


義妹とは言え、同級生になる。

俺のが早生まれだ。


「こちらこそ、よろしく」


形ばかりの挨拶。

本当はかわいい義妹がほしかったが、

これじゃ、陰キャ義妹だよ。同居後は、義妹に対して素っ気ない態度をとった。

可愛い子であれば、一緒に買い物とか行きたいし、外食もしたいけど、これじゃあな。

可もなく不可もなく、ただ接してるだけだな。おはようとかの挨拶程度。

別段、他のことはなにもない。


ただひとつ、俺は義妹に伝えておいた。

伝えた、といっても約束をさせたんだ。


同居が決まってすぐに。


俺の家に、新しい父親とともに義妹が転がり

こんできてすぐに、陰キャ義妹にこんな約束をさせた。


「あのさ、俺らが義理の兄妹になったことは

高校のやつらには絶対内緒な。

いいか、口が裂けてもいうんじゃねぇぞ」


他の人にとっては俺らの同棲は格好の話題になりかねなかったからだ。


「は、はい。。こちら、はなからそのつもりでした。シンジくんはイケメン過ぎるから、

そんなイケメンとこんな地味な見た目の私が兄妹になったなんて、恥ずかしいですもんね?」


「そうだ。その通りだ」


我ながらキツイことを平気で言ってると思う。


まぁ、でも、眼鏡をかけてる地味子、

もとい、ヒナタが顔色ひとつ変えないので

別にこいつは、なにを言っても傷つかないのかもな、と思ったりもした。

「わかりました。約束します。

私としても、シンジくんに迷惑はかけられませんし...」


「おう。頼むぞ。絶対に俺らの関係性を周りにはバレないようにしてくれよな?」


陰キャ妹と陽キャ兄の約束が、

交わされた瞬間だった。


約束は無事に履行されていたが、、

結局のところ、俺の家に超絶美少女な

彼女が訪ねてきたことで、まずは一人目に

俺と義妹の仲がバレることになる。「あんた、シンジのなんなのよ!?

なんで家にいんのよ!?」


「てか、あんた、どこの誰よ...!?」


学園で一番の美少女であり、学園で1番のモテ女である林ユーコがびっくりして

義妹のヒナタにつっかかった瞬間だった。


「お、おい、ユーコ。おまえな、俺の許可なく突然、俺の家に押しかけてくるとか、

ちょっとやめてくれよ...」


勝シンジは黙っててよ。私はシンジの彼女なのよ。付き合って、まだ日は浅いかもしれないけど、お互いの家に行き来するくらいいいじゃないの!」


「いや、いいけど、アポ無しで来るとかダメだろ...!」


「っるさい!この女は誰よ!?なんで

シンジの家に同年代の女がいるのよ!?」「随分と地味な見た目の女だから、

彼女ではないと思うんだけど!随分とまぁ、我がもの顔でシンジの家にいるじゃないの!」


「ま、まぁ、ユーコ。落ち着けよ。

これには訳があってだな。

ま、立ち話もなんだから。リビングでお茶でも飲みながら話をしようか...。

せっかく、ユーコが俺のために手作りのケーキを持ってきてくれたんだしな、、」


俺は義妹のヒナタに目配せした。

二階の部屋に引っ込んでろ、そんな意味合いの目配せだった。

今にして思えば。

ユーコに義妹の存在を知られたのが運の尽きだった。ユーコには俺たちの

同居は内緒にしてくれとお願いしたんだが、

だめだったのだ。

この翌日に学校に行ったら、

学年中に言いふらされていた。

ホームルーム前。

俺の席のまわりに男子どもの人だかりが

できた。


「おい、シンジ、聞いたぞ。おまえさ、

橘ヒナタと同居してるんだってな。

かわいそうだなぁ、あんな地味な見た目の女と同居なんて。友達もいない、ぼっちで性格暗いし、一緒にいたら、こっちまで暗くなっちまうよなぁ」


「同情するよ、シンジ。

かわいい女の子と同棲ならよかったのになぁ。よりによって同じ学年、の、あんな冴えない女とはなぁ。俺は嫌だね。

どーせ、同棲するんなら、美少女がいい!!」


友達にはこう言ってからかわれた。

嫌な気分だった。


ユーコに慌ててメールをした。


おいおい、頼むから黙っててくれって

昨日、約束しただろ?なんでみんなに喋った!?


すぐに返信がきた。


ごめーん、つい、口が滑っちゃってぇ!!

被害を被ったのは俺だけじゃなかった。


休み時間にトイレに行こうとしたら、

移動教室に向かう途中の、

義妹、ヒナタとばったり鉢合わせした。


歩き方が変なので足元を見たら

上履きを履いていなかった。

気になって尋ねてみた。


「お、おい、ヒナタ。

おまえ、上履きは??なんで、スリッパなんか履いているんだよ?」


「なんか、よくわからないんだけど。。

朝きたらなかったの。下駄箱の周りを探して

みたんだけど、、

そしたら、一応、ゴミ箱にあったんだけど、、

それが、、なんか、オレンジジュースみたいなものをかけられてて履ける状態じゃなくなっていて、だから、先生に言って学校のスリッパ借りたの。。」




ヒナタは平気そうな顔してそう言ったけど。


このとき、俺の耳に聞こえてきた女子の声に、嫌な気持ちがさらに加速した。


「あの顔でシンジくんと同居とかマジでむかつく」


「ねー、そうだよねw」


「私が代わりに同居したい。

シンジくんの義妹になりたいなぁ」


咄嗟に。


声のした方を振り向いたが、

ガラの悪い女子どもは、

「あ、もしかして聞こえちゃった?」と

小さく嘆いて逃げるように教室に入って行った。三組の女子トリオだった。

顔は見えなかった。


「ごめんな...」


俺のせい、だと悟り、小さく謝った。

ヒナタは

「平気だよ。慣れてるから、こーゆーの」

と微笑んでみせた。


さらに続けて。


「私さ、一応、勉強できるから

中学のときから妬まれたりしてて

慣れてるから大丈夫だよ!」


この時を境に。


俺はヒナタのことが少しずつ気になるようになる。帰宅後。

ヒナタとは本当に最小限の会話だけで、

今までろくに会話らしい会話もなかったけど。


俺から積極的に会話するようになっていた。


ヒナタはそれが不思議に思ったらしい。


「急に、勉強教えてほしいとか、、

どうしたの??」


「え。えーと、その、なんだ。

俺、この前の定期考査の成績がめちゃくちゃわるかったんだよ。特に英語。

な、なんと、恥ずかしながら9点だった。。

このままだと、成績順のクラス編成で、

一番下のFクラスに入れられかねない。

だ、だから、それは避けたいな、と思ってさ」


「ふーん。。」

ヒナタに教えを乞い、

俺はめきめきと英語の理解力が上がっていくことになる。

今まで。単語を覚えることしかしてこなかった俺が、遂に英文法を理解するまでになる。


さて。ある日の勉強時。

時刻は夜の23:00。

この日は特別、夜遅くまで教えてもらっていた。まぁ、テスト前ってこともあって予定より、長引いた。


ヒナタがその時、

俺に夜食を作ってくれた。


鍋焼きうどんだった。


美味かった。

あと、一点、驚いたことがあったので

ヒナタに尋ねた。


「おい、ヒナタ。これ、、

俺の亡きばあちゃんが作ってくれた、鍋焼きうどんの味にそっくり

なんだけど、どういうこと、、??材料もおんなじだし、、、」


「あー、それ、、種明かしすると、

シンジくんのおばあちゃんの仏壇のとこにある古い日記帖をシンジくんのお母さんに許可をもらって読んだことがあるの。なんか、孫が喜んで食べてくれた鍋焼きうどんのレシピが載ってたから、その通りに作ってみた!忠実に再現できたかな、、?」


「再現もなにも、、、!これ、

同じ味だよ!!すげぇ、、ヒナタ!」


高校受験の勉強のとき、夜中、

ばあちゃんが俺のために、たまに作ってくれてた鍋焼きうどん。


俺はめちゃくちゃ大好きだった。ヒナタと仲良くなり出して数ヶ月が経過したある日のことだった。


大事件が起きた。


バレークラスマッチが開催されたんだけど、

ヒナタの眼鏡が女子バレー部のエースアタッカーの女に吹っ飛ばされたのだ。


明らかに狙い撃ちしたんじゃないかと

思われた。

俺は応援席にいて、その試合を見てた。

狙い撃ちした女は、同じクラスの背の高い女子。

俺はヒナタに、

思わず、駆け寄って、その場に倒れた

ヒナタを抱き起こしていたんだ。


「な、なによ、シンジくん!

なんで庇うん!?」


「るせー、おまえ、狙っただろ!?」


俺には分かる。


だって俺はバレー部だから。




「お、おい、ヒナタ!大丈夫か!?」

「わざとじゃないよ、わざとじゃないもん!」


喚く女。

ほんとに耳障りだった。


「ヒナタ、おい、ヒナタ!!」


「全然大丈夫。ちょっとびっくりしただけ。

眼鏡がとばされただけだよ。ほんとに

びっくりしてただ、よろめいて倒れただけ。

顔は無事だよ...」


「そ、そうか。。それならいいんだけど...」


俺にそう言って目を開けたヒナタを見て愕然とした。


「え、かわいい、、」

俺は小さく、え、かわいい、、と言った。


それなのに。。


突如となく聞こえてきた男どもの声。

俺の補助なく、立ち上がったヒナタを見て、

てゆーか。


見せちゃいけなかった。

男どもに、ヒナタの素顔を。「か、かわいい!!」


「や、やべぇ、超絶美少女!!」


「す、すげぇ、、眼鏡とったら

美人とか!ほんとにあるんだな、、、!」


俺は慌てて眼鏡を探した。だが。

つるが折れて使い物にならなかった。

ヒナタの美貌を隠すことはできなかった。


さて。


くるりと向きを変えて俺は女子バレー部のエースアタッカーを睨みつけたわけだが。


唖然としてた。

そりゃそうだろ。。おまえの一打で

ヒナタの美貌が明らかになっちまったんだからな。


体育館にいた男子全員が、女バレのエースに冷たい視線を向けてた。


この事件後。

ヒナタは女子の友達が何人もでき、さらに。


ヒナタが男子からモテモテになるんだが、

一応、兄貴であるこの俺が。

ヒナタのそばになるべくくっついて、

悪い虫を追い払う羽目になるんだな!


あ、そうそう。

いい忘れてたけど。

ユーコとはヒナタが気になり出した頃に

別れを告げたよ。




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