表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

埋めちゃえ。それで万事解決さ。

作者: かにゆ

僕? 私? 俺?

PC画面を覗き、RPGをしているはずだった。

意識があいまいだ。

でも、今現在も座っている。

そもそも、どうしてこうなった。

そうだ、主人公の引き立てキャラ(ライバルでなく、悪役)が、

勝手に動き出したんだ。

主人公のコントロールが効かなくなって......

よく聞く?書かれている?ゲーム=異世界転移?

でも、僕? 私? 俺?は、PC画面を前にして、椅子に座っている。

のかな?あいまいな感覚。

一体ここはどこ?今の状況がわからない。

謎の部屋?小屋?、部屋でいいや。

らしき場所に、僕? 私? 俺?は居る。






「無礼者」 ザクっ

やっちゃった、

うん、可憐な少女、斬っちゃった。

やったね!

知らない世界に転移して、いきなり傷害加害者=お尋ね者、スタート

もう少し経てば、殺人者

ああ、どうしよう

そしたら、頭の中で声が響く

『埋めるのです。埋めて証拠隠滅しましょう』

ガイドか、ナビか?

使えねえ~




謎の部屋サイド


僕? 私? 俺?は、突然操作可能になった、アレンに指示を出す。

なぜって?

パニッくているようだから

ここで、この物語=ゲームを強制終了してあげましょう。

そうすれば、自分自身が、何者か?女?男?すら判らない

この環境から、抜け出れるかもしれないから。



アレンさいど


バカか、埋めたら、終わっちまうだろう。

少し落ち着けば、ここは異世界だ。

ああ、この世界観、多分あれだ、あれ、

「ユア ナンバーワンワールド」

=「あなたが いちばんのせかい」

=「あないち」だ。きっと。

仮に、夢の中に居るもんだと思い込むことにした。

だって、夢でも現実でもウェルカムだから。

アレン憑依でなければ、待ってました!...だから。

そして、これは きっとオープニングだ。

俺は、貴族の嫡男、アレン=グリーンだ。

この世界では、平民を斬りつけたぐらいでは、

傷害加害者=お尋ね者には、ならん。はず。

さすがに、殺したらヤバイ。らしい。

ここで、ユイアの姉が、身を挺して彼女をかばう。

姉...名は知らん。代わりに命を落とす。設定だ。


「お待ちください。この罪、私が承ります」

ユイア姉が、ユイアに覆いかぶさる。

オープニングでは、

アレンは、ユイア姉の首を落とす、だった。

覆いかぶさった、この状態で。

わあ、シュール。売れるか、こんなゲーム。

その後、この姉が、残り数秒(首離れている状態)で、

命を燃やした魔法で、妹=ユイアを助ける。

これが、オープニング。

つかみはOK!

な!訳あるか?売れるわけあるか、こんなクソゲー!


ちなみに ゲームではアレンは、もちもん死ぬ。

悪役、敵役として退治される。

あれれ、この先は?

起きた直後の夢のように、記憶から消えていく。

わあ、どうしよう。

でも、まず今現在の後始末をつけなくては。




謎の部屋サイド


僕? 私? 俺?には、アレンの心の内が見える。

そりゃそうだ。PCの画面にテキストとして表示されるから。

異世界転移者設定?なんじゃそりゃ?

だから、僕? 私? 俺?は、指示をキーボードで打ち込む。

そう、テキストで。

『記憶がないのは、心配ありません。私が全てを覚えています。

私が、あなたを導きます。

埋めるのです。

姉妹もろとも埋めるのです』

僕? 私? 俺?は、わが身可愛さの指示を出し続けるのであった。

元の生活or世界に戻れることを信じて。




アレンさいど


また、頭に謎の指示が響く。

正確には、響くというより、閃くという感覚だ。

『記憶がないのは、心配ありません。私が全てを覚えています。

私が、あなたを導きます。

埋めるのです。

姉妹もろとも埋めるのです』

バカめ、埋められるか?倫理の問題をスルっと無視しても、

バレたらヤバイ。

オープニングぶっ壊すのは、非常に怖いが、

姉妹助ける一択だろう。


「妹を 身を捨ててかばう姿、天晴である。

治癒のまじない、使えるのなら使うがよい」

う~ん、我ながら高飛車。どちらが天晴なのやら。


「あ、ありがとうございます」

治癒のまじないの光が、やさしくユイアを包む。

一命は取り留めたかな?


さて、後始末は必要だよな。




謎の部屋サイド


「あないち」の世界観は、中世ヨーロッパ、魔法ファンタジーだ。

しかし、アレ

ン、コントロール効かない。

もともと、主人公をコントルールするというより、導くというゲームだ。

導きを 拒否もすることもあるという トンデモゲームなんだが、

ここまでコントローラブルなことはない。

異世界転移設定でなく、まるで意思があるようだ。

少し、現代が日本人が異世界転移した気持ちになって導かないと、

全て反発される可能性もあるかな?と、気付いた。

僕? 私? 俺?が、今のハイドンとして、どう行動するか?

ストーリーから外れるのは非常に怖いけれど、

ストーリー通りなら、ハイドンの破滅かバットエンドだ。

ハイドンの破滅は判りやすいから良いとして、

バットエンドは、ユイアを喰って(悪いことに両方の意味)

-なんじゃそりゃ?売れるかクソゲー

でも、買うバカが、ここに居ました。




アレンさいど


今の俺には、オープニングから先が、頭の中から消え失せていた。

どこか違う世界の自意識と、倫理観がこの体を支配しているようだ。

記憶喪失といっても、消えて行く瞬間というか、流れを覚えている。

取り戻せない、そんな気がする。

忘れたというより喪失。多分戻らない。

今は、出来ることをしよう。

たぐれる記憶を整理しよう。

俺、アレン、伯爵家の嫡男、一人息子。

傲慢、その他 性格最悪なんだろうな。この感じじゃあ。

親、察して然るべき。

能力、上々だといいな。




謎の部屋サイド


こちらも、整理しよう。

まず己の現状の把握はあきらめた。

だって、謎空間に居て、自分が誰だか、もっと言えばなんだかすら解らない。

だから一人称を意地なって、僕? 私? 俺?し続ける。

意味などない。ただの意地だ。

PC操作も、ゲーム以外できない。

何が出来たのかも、ほとんど覚えていないが。

だから、元の生活が存在したのは判るが、戻るべきなのかすら判らない。

このゲームを続けることで「みち」が拓けるかな?

真剣に ハイドンを導いてみようと思うようになった。

ただ、既にオープニングから変えてしまった。

それのみ残る記憶のゲーム知識は、役に立つだろうか?



アレンの思考を画面のテキストで読み取る。

ふむ、ある意味 彼が現場担当だな。

この場所が司令塔として、もう一人の自分だと思って導いてみるか。




アレンさいど


また閃きが頭の中に来た。

ダメな自分みたいで気が滅入る。今回はまだマシだな。

『汝は、我が試しに合ったようだ。合格だ。そのままの汝であれば、

我は汝の意に沿う、導きを行うであろう』

ちょっと高ビーだが、まあ癇には障らない。多少は期待しよう。

頭の中で声が響く感じあれば、端から信用しないのだが、

閃く感じというのは、自分の本音の一部のような気がする。

口語になっているのが、気になるが、参考にするには問題あるまい。


あの姉妹どうするかと思案していると、

『埋めるのです。2人とも埋めれば解決します』

ちょっと見直した閃きが、またバカ言い始めた。

すると、解説というか説明が来た

『○○✖×△----------------』

かなり長文で、具体的な指示もあった。

最後のとある部分で 納得できた。

しかし、所詮俺も自分のことが可愛い奴と思う。


姉妹を引き離し、個別に面談する。

姉には、簡潔に強く。あざけ口調で、脅迫気味に

妹ユイアには、丁寧に、決して諦めないように

見切りのタイミングに全てを賭けるように


公衆の面前で、家の使用人に穴を掘らせ、2人を埋める。

冥土の土産と称して、2人の身の回りの物と、二人の現金、現金化可能な小物と

俺が用意できる限りの〇×を入れた背負い袋を 先に放り込む。


まずユイアを 乱暴な振りを装いながら、怪我の無い様気を使いながら、穴に落とす。

次に、事情を説明していない姉は、妹だけ埋めると脅して、自分で入ってもらう。

穴の中で、あらかじめ用意してあった棒を複数立て、その上に屋根として蓋を載せる。

そうすることにより、直接2人に土が被ることはない。

でも、物理的な逃げ道は存在しない。

わずかな酸素が消費され次第、姉妹はあの世へ旅立つように、皆には見えるだろう。

土を被せきった。

興味半分、同情半分のヤジ馬も解散した。



数刻後の穴の下は、もぬけの空だろう。

安全策は講じてあるから、反応が無いのは無事の証拠と信じたい。

最悪の状態を見るのが怖い、または、仕掛けが露見するのが恐ろしくて

穴を掘り返すことはしない。出来ない。

いつか、姉妹の無事を 風の便りでいいから聞けたらいいな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ