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止まない雨は無い。だが、晴れるとは言っていない9

 邸に戻って通されたお父様の執務室。そこで待って居たのは某アニメの司令官の様なポーズで座り待っていたお父様だった。


 妙な威圧感を感じる。正直言って逃げ出したい。けれどそれは不可能である。某アニメの少年の様にある言葉を心の裡で繰り返す。元アスリートの転生者なら某熱血元アスリートの言葉だろうって? いやいや、私、オタクですから何か?


「ソーナ」


「……はい」


「レインについて私たち魔法士が気付けない何かがあるのなら、ソーナが気付いたことがあるのならば教えて欲しい」


 声のトーンが低く重い。


「何故、それを魔力のない、魔法を使えない、魔法士でもない、私にきくのでしょうか? そうでなくとも魔法研究は秘匿のものでは? 付け加えて言わせていただけるのならば、何故、私が自身を罵った輩を救わねばならないのでしょうか? 私から言わせれば魔法士一人使い物にならなくなったくらいで何が変わるというのでしょうか? 使えないなら、使える魔法士を一人産めば良いではないですか? 魔法士など放っておけば生えてくる雑草と同じなのですから」


 お父様、お母様、レナス、クロード、調薬士でクロードの奥方のカンナ、そしてセバスチャンとシアンが居て、誰も彼もが憐憫を込めた目を向けてくる。


「――と、まぁ、魔法士が、魔法貴族が今の在り方、態度を改め無ければ魔法が使えなくなった時に薬師に医師に門前払いかねません」


 治癒魔法士に、魔法薬士に助けを求めた非魔法士がどれだけ門前払いを受けて命を落としたか。『最下級の民も平民も放っておけば勝手に生えてくる』は魔法士の常套句だ。


「そう……だな。我々魔法士の常日頃の言動が返ってきただけ……だな」


 お父様の沈みきった疲れた声に部屋の皆の顔から表情が抜け落ちた。

 

 ――え? 何、このお通夜ムード。すでに民間療法や薬師に断られたってこと? やっべ、やっちまった。どーする? どーすんのよ私!!


 ――ん〜? ほっとけば良いじゃん。別に魔法が使えんでも死にゃしないっしょ? 現にあーし使えなくても死んでねーし。


 ――駄目よ。レインは態度を改めて立派な騎士になるのは知っているでしょう? 可愛いレナスを危険から護る為に彼には魔法剣士になって貰わないと駄目なんだから!!


 ――いやー。それなら男より魔法少女っしょ。


 ――あり……ね。


 魔法少女――変身ヒロインのレナスを想像して私は鼻を押える。駄目、可愛すぎる。


 ――魔法だけではなく肉弾戦インファイトの高速戦も出来れば尚良し。設定を増々にするなら歌って戦うとかも有りっしょ! 姉妹の奏でるメロディで癒やすとかさ。良いっしょ!!


 どや顔の私がニヤリと笑う。


 某女児アニメと某ロボットアニメと某深夜アニメが頭に過ぎる。そして某ロボットアニメの歌唱前のセリフを姉妹で……。


 ――……


 ――ま、負けないで私!! 確かに魅力的な提案にグラっと来たけど、負けないで!! く、何て卑怯な!!


 ――あーしの事はあーしが良く知ってるしー。アンタの負けー。認めなよ。


 ――く、殺せ。


 ――そうはさせない!! ボクならば彼を生かして活かす方法を考える!!


 ――どう、レインを活かすのよ?


 ――ボクなら彼を忠実な騎士に育てて、何人たりともボクたちの邪魔が出来ない様に百合の花を護る騎士として使う。語らいに馬鹿な王子や愚弟に邪魔されたくは無いだろう。


 ――愚弟はともかく相手は王子よ?


 ――何を言っているんだ? ボクとあろう者が。相手は頭が空っぽの魔法王子だよ? 誰かに煽てられれば世界樹にだって登っちゃいそうな王子だよ?

 反ハーティリア派に唆されて、自爆魔法なんて使われたら困るだろう?


 ――『あ!!』


 ボクっ娘以外の私たちの声が重なった。


 ――『自爆テロ』。思い出したみたいだね。


 そう、愚弟は何時も喚き散らす為に突撃してくる。ハーティリア家で雇っている侍女や侍従たちでは身分を振り翳されては身動きできず、愚弟を止められない。では、私が雇う、もしくは私付きの護衛ならばどうだろうか?


 ――死人に口なし。問答無用で殺れるわね。


 死んだ後に自爆魔法が施されていた。施していたからと斬って捨てた理由をつけられる。


 そもそも、貴族なのだから先触れの無い突撃は警戒し、止まらないなら斬るのは当然だ。護衛もそうで無ければならない。


 ――よく、漫画やラノベで王とか王子、殿様とかの行列に飛び出した子供とかを護衛が斬るのを止めたり批難するヒーロー、ヒロイン居るけど、子供に爆薬を巻きつけて突撃自爆させたり、自爆特攻する少年少女兵かも知れないのにね。


 ――その辺はテロも革命戦争も内戦も宗教戦争も無いお国の作品だからじゃない? 知らんけど。


 ――ようやく話が纏まったね。じゃあ、レイン――彼を忠犬に調きょ―― 育成するボクの案で行こう!!


 ――『オー!!』

 

 脳内会議も終わった。


「わかりました。お父様。彼が今の態度を改め、立派な護衛騎士――魔法剣士になれるように願って、私の研究の内容をお教えいたしますわ」


 私は未来ある若者が羽ばたいて行けるように、という様に笑顔をお父様たちに見せる。




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