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ビジョン・コントローラー  作者: ☆夢愛
第1章 コントローラー拾ったぜい
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第9話 超能力2

「クキキ、 キキッ、 ホヘッ 」


 今度は最終的に意味の解らない鳴き方をした猿、 または蜘蛛だった。

 えー、 身体自体は猿だけども手足が蜘蛛の様に生えて8本有るのよ、 でやっぱり目が4つ菱形に分けられている。


「クキキ、 ノォーー! 」


 猿は口から純白の糸を柱と柱を繋げる様に吐いている……器用だなぁ。

 俺がアホな事を考えたのが分かったのか、 ココアは俺の頭を軽く殴り前に出る。


「コイツは私がやろう」


 ココアが前に出ると、 誰も全く心配無いかの様に下がる。

 俺コイツが戦うの初めて見るなぁ。


「行くぞ」


 ココアはコントローラーを使わず戦う様で、 先程床を破壊した巨大な銃をサルグモに向けた。


「クキキキキキ! 」


 サルグモが吐き出した糸の塊を容易く避け、 サルグモではなく周りの糸を撃ち燃やすココア。

 相手は火から逃げ回るが、 それが逃げる方向に弾を放つココア……結構ドSか?


「降りてこい」


 なるほど、 糸を燃やし尽くしてサルグモを地上に降ろす様だ……だけど下に降りたらやりにくいんじゃ……。

 まあ信じよう。

 サルグモは柱と床数㎝辺りまで急降下し、 先程放った物より一回り大きめの糸玉を飛ばして来た。

 それをココアが撃ち抜くと、 糸が分裂しココアの身体を壁に捕らえる。


「……ん! これは……! 」


 糸は思った以上に柔らかく強かで、 切る事が出来ないらしいが、 それ以上に銃を押さえつけられ身動きすらとれないココア。

 その状況を見ても誰も助けようとせずにココアを見つめている。


「甘く見るなゲテモノ! 」


 何を思ったのかココアは自分の足元に向く巨大銃をぶっ放した。

 そして、 爆炎と共に飛び出し高速で猿に向かって行く……この時すでにココアの右手にはピストルの様な物が装備されていた。


「クキキキキキ」


 サルグモが壁を伝い上の方へ向かうも、 ココアはそれを逃がさんと柱を交互に蹴りながら高く上がって行く。


「待てゲテモノ」


「オヒョッ」


 先回りしたココアはサルグモの眉間に向かって炎の弾丸を撃ち込み、 踏みながら急降下する。

 サルグモの身体は床に着くと高音を出して変な方向へ曲がっていく……あれは骨が折れた音だな。

 ─────────────────────

「クキキキキキョ……」


 サルグモが目を開けたまま動かなくなると、 ココアは念の為もう1度今度は額を撃った。

 そしてサルグモから降り、 俺達の方へ歩き出す。


「終わったぞ……」


 その時、 いつ起き上がったのかも気付かなかったサルグモがココアの長い髪を掴んだ。

 他の連中は流石に驚き、 それぞれ武器を出したがココアは少し微笑んでいた。


「だと思ったよ」


 ココアはサルグモの顎を前に引っ張ると弾丸で下から脳をぶち破った。

 今度こそサルグモは動かなくなり、 床に倒れた。


「ふぅ、 触るな気色悪い」


 ……今更だけどコイツら強いな……。

 俺が敵でもないココア達に怯えていると、 アノムスが急に壁に減り込んだ。

 来たか……!

 俺達が階段の方を見ると、 手招きをする顔をヘルメットで隠した人間が居た。


「超能力者、 来たね」


 そう言うとレインが剣を持ち、 ゆっくりと歩いて行く……が、 その直後にレインは相手の目の前に居た。

 相変わらず異常な速度だ。

 相手は驚く事もなくレインの横向きの剣撃を避け、 右手の平を彼女に向ける──やばい気がする。


「……!! 」


 レインは階段の壁に減り込むが、 眼は死ぬ事無く殺気丸出しで相手を睨みつけている。


「……っ!? 」


 相手の頬には深く傷が出て血も噴き出した。

 レインは一瞬の間に2度攻撃したようで、 相手の頬は上下に切れ、 口の中が露わとなっている。

 うげ、 気持ち悪。


「待てよ! 俺の彼女を放しな! 」


「は!? か、 彼女!? 」


 俺はレインをサイコキネシスの様なもので押して行く奴に叫びながら突っ込んで行く……何かシルフォも叫んでたような。


「……」


 相手は俺に左手を向け、 拳を突き出した──が、 俺は無意識にそれを避けるように左斜め前に跳んだ。

 俺が避ける前に居た場所が破裂したかの様に壊れ、 大きな穴が空いた。

 アレに当たっていれば無事では済まされないだろう。


「進攻刃!! 」


 煙の中からシルフォが投げた手裏剣が3つ程相手に向かって行き、 俺はその隙に再び全力で走り出す。

 シルフォの手裏剣を左手のサイコキネシスで相手が受け止め、 何も出来ない状態を狙い俺は腰に差してある短刀を振り下ろす。

 ───────────────────

 ──が、 俺はクロノス・コントローラーを使用したウォーブに止められた時の様に空中で止まっていた。

 今度は完全に止まっている訳ではなく、 浮かせられ押さえられている感じだ。


「めんどくせーな超能力……!! 」


 直後俺とレインはそれぞれ別の壁に埋まってしまった……てか敵が喋らねー。

 それを見てシルフォは再び変身し高速で敵に向かって行くが、 超能力の攻撃が当たらぬよう分身しさらにランダムに向きを変え走る。

 それに続くかの様にココアは全長1m程のライフルを出し、 膝を立て構える。


「ちっ! 場所が場所か! 」


 シルフォは叫び、 その直後アノムスと同じく後方の壁に吹っ飛ばされた。

 そして敵はココアの放った銃弾を止め、 ライフルを空き缶の様に潰し破壊した。


「……チッ」


 レインのスピード以外奴に通じていない……これは全体的に分が悪い気がする。

 全員が変身する必要も有るんじゃねーか? ……アノムス気絶してるし、 意外と役に立たなそうだな。


「よし、 てか何故私以外変身しようとしない!? 」


 いや、 今からしようと思ったんだけど、 元はボス戦で使いたかったなぁってのが有りまして。

 ……でもそんな事言ってる場合じゃねーしな。


「ビジョン・クローズ オン! 」


 もう慣れて来たこんな小っ恥ずかしい台詞も、 てか同じ事する奴等が居るからなんだけども。

 親とかの前では絶対にしたくないからね。

 俺は変身完了と共に能力専用武器(アビリティウェポン)を出した。

 そして俺の後に続いて他も変身するかと思いきや誰もしなかった。


「……コイツレベルに使いたくない」


「手下ごときに変身したくない」


「……」チーン


 ……何か前回もレイン変身するの遅かったよな、 どんだけ負けず嫌いなんだよ。

 お前よりも負けず嫌いのシルフォがなってんだぞ、 お前もなれや。

 そしてお前も似た様な理由か、 俺と同じじゃねーか、 だけどここで大ダメージ受けたらボス戦で負けるかも知れないんだぞ。

 お前は早く起きろ。

 俺が心の中で文句を言ってる数秒の間、 誰も動く事なく静かな時間がただただ過ぎていた。

 せめて戦い始めようぜ、 敵でも味方でもいいから攻撃仕掛けようぜ、 なあ。

 ───────────────────

 俺の気持ちが伝わったのかどうかは知らないけど、 レインは立ち上がると同時に光速で相手の周りを走り出した。

 おい、 階段でよくそんな動き出来るよな、 壁にぶつからねーのか?

 そう思いながら俺はそこに向かえもしなかった……いや当たるかも知んねーし。


「仕方ないな」


 一瞬変身するのかと思ったら全然違くて今度は別の普通サイズのライフルを構えるココア──普通サイズって何だ?


「……!! 」


 敵の身体が徐々に切れていき四方八方に鮮血が飛び散る。

 このままじゃバラバラだぜ、 うわ気持ち悪。


「弾けろ」


 ココアが引き金を引くと、 その紅い炎を纏った弾丸はレインには当たらず敵の眉間に命中した。

 敵は仰け反ると階段に全身を打ち付けて倒れた。

 そしてレインは真紅に染まった銀色の剣を振り、 血を払った。


「急ごう、 まだ一杯いる筈だ」


 いつの間に起きてたんだよ……コイツ。

 俺達はアノムスが言うと3階に上がって行く。


 ────。

 そんなこんなで繰り返し、 ようやくお目当の最上階へ着いたが皆疲労の為かすぐに扉を開こうとはしなかった。

 深呼吸をし、 全身がしっかりと動く事を確認し中へと入って行く。

 中にはやはり椅子が1つ……『AR(アシュレイド)』のマークが堂々と付いている。

 アシュレイドはこの世界も征服していた様だ。

 ……ボス部屋って広いお決まりなのかな。


『ここまでよく来たね……』


 部屋中に響く声は女性のものに聞こえるが、 それでも低い方だ。

 そして聞くだけなら優しい人間のように感じる。

 椅子の左右にそれぞれヘルメットを被った人間達が出てきて、 真ん中の椅子の上には緑色の明るい長髪をした男が出て来た。

 右眼は髪の毛で隠れているが、 何となく雰囲気で男だという事が分かった。


「僕はヨノギ……この世界の王であり『バイブレ・コントローラー』のマスター」


 ヨノギはゆっくりと立ち上がり、 俺達を順番に指差し始めた……まるで『誰にしようかな……』ってやるやつだ。

 何を言ってるんだ俺は。


「よし、 決まりだ」


 あ、 もしかしてマジでそれやってたの? てか、 何を決めてたのかな?

 ヨノギは右手の人差し指と親指、 左手の人差し指を俺達の方へ向けた。

 ───────────────────

「君達3人は僕の相手、 他2人はこのコ達の相手をしてくれるかな? 」


 ヨノギの指差す位置にはそれぞれ……俺、 シルフォ、 ココアが居た。

 つまりこの3人がヨノギの対戦相手だ。


「よし、 やってやるぜ」


「いいだろう」


「……仕方ない、 変身するか」


 お、 そろそろ変身するかココア?

 ココアは裾の長い上着のポケットに手を入れ、 銃によく似たコントローラーを出した。

 ボタンは見当たらない。


「アイロン・スーツ オン! 」


 ココアは銃のスライドを左手で操作し、 トリガーを引いた。


 ── アイロン・スーツ 認証したぜ ──


 ……何か低いイケボが聞こえたがそれがコントローラーの音声なのか? わーお。

 ココアは自分の身体を覆うように腕を曲げている。

 そして服が緑のオーロラの様に輝き消え、 その光の中で少しずつスーツに変わっていく。

 待って、 今までで圧倒的に恥ずかしい変身だなおい。

 光が消えるとココアはゆっくりと腕をどかし、 耳まで真っ赤になりながら2m程の特大ライフルを装備した。


「来いっ……! 」


 いや、 恥ずかしいよなそれ……。

 ココアの変身スタイルは、 胸を完全に隠す女性物の水着の様な物と、 下がミニスカートにパンツの様な物だった……無論下も女性様。

 ……それより『アイロン』って事は『鉄』なんだろうけど、 それ防御力有るんですかね……涙目だし。俺が見てるからか。


「おお……女の子みたいだね」


「うるさーーーい! 」


 ヨノギがまじまじと見つめ、 感想を言うとココアは最大限に取り乱して叫んだ。

 女の子顔に細く白い身体……もう女で良くね?

 俺がそう思った瞬間にココアは武器を向けて来た、 ごめんなさい。


「ココア……お前も不憫だな」


 お前自分の格好見てから言えよシルフォ、 脚露出してるし多少水着みたいだぞ。

 シルフォはそれに気付いたのか再び動きが固くなる。

 レインとアノムスは変身もせずに手下と戦っているが、 果たしてこの水着着用者2名のバトル……どっちが勝つんでしょうか。


「じゃあ僕も変身しよう」

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