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ビジョン・コントローラー  作者: ☆夢愛
第1章 コントローラー拾ったぜい
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第8話 ビワのリーダー2

「見てみろ……ギャラリーを」


「あ? 」


 俺はホールを見る奴らの事を見た……全員心配してる様な表情をしてるけど、 やっぱコイツ強いんだろうなぁ……。

 俺がロプトの方を見、 そう考えていると彼は何故か悔しそうにしてた。

 何だ?


「お前ばっかモテやがってぇぇぇえええ! 」


「ええええええええええ!? 」


 ロプトは雄叫びを上げると再び突進して来た。

 こんな理不尽な、 一方的な恨みは初めて聞いたぞ!? 何だおい! 俺モテてんの!? んな事知るかぁ!


「おりゃ! 」


 何て言い方だ……と思いながらも俺は今度はバックして避け、 注射器を前に突いて来るロプトの攻撃を左に躱し距離をとる事も無く逆に一気に近付いた。


「この距離なら自由には動けねーだろ! 」


「そうでもねぇぜ? 」


 ロプトが不敵に笑うと、 首から提げられてる聴診器がひとりでに動き俺の方へ向かって来た。

 俺がそれを避けると、 ロプトは注射器の中の液体を噴射させ、 宙に浮いた。


「何だ!? 出したもの戻ってるし! 」


 ロプトは巨大注射器に付いているボタンの内、 1番小さなボタンを押した──恐らく能力専用武器(アビリティウェポン)だろうが、 まだ武器があるんだろうか……。


「メスニカル・ナイフ」


 ──『メスニカル・ナイフ承りました! 』──


 耳障りな音声だなおい……あといい加減マシな名前の武器出てこねーのか? 今までマシだったの《シャイニング・ソード》くらいだろ。

 音声の後に、 ロプトは一回天井に注射器を刺し手に出て来た長さ30㎝程のナイフを持った。


「お前も使えよ、 能力専用武器(アビリティウェポン)


 ロプトは着地しながら俺に言って来たが、 俺は別にコイツとマジでやり合うつもりは全く無く、 首を振った。


「俺はあんたを傷付けるつもりはねーし、 仲間とやり合うってのも好かねぇ。 あんたはリーダーだろ? 俺はあんたより強くは思えねーけど、 万が一の事が有ったら大変だ」


 俺がそう言って腰に手を当て脱力してると、 ロプトの目つきは険しいものに変わり、 さっきの言葉をまるで聞いてなかったかの様に突進して来る。


「甘いんだよ、 そんなんじゃ生き残れねーぞ」


「……!! 」


 俺はその瞬間死んだかと思った。

 ─────────────────────

 だが、 それと同時に2階の大窓が割れ、 光速で何かが俺の前に来た。

 ……まあ、 光速って時点で誰が来てくれたのかはすぐに分かったが。


「やめろ……今すぐに」


 レインがロプトのナイフを掴んでいる。

 殺気を全てロプトに向けるレインの瞳は、 敵を惨殺してる時と同様、 『鬼』と思える目だった。


「レイン……何で邪魔すんだ? これは誰もが通った試練だぞ」


 ロプトも負けずにレインを睨みつける……全員コイツと戦ったのか……スゲーな。

 レインは強引にロプトを振り飛ばし、 俺の方へ寄ってきた。


「今まで……ロプトは誰かを殺そうとまでしなかった。 だから心を許せたけど、 今回は別」


 え……? アイツマジで俺の事殺そうとか思ってたのか!? 酷くね!?

 レインはロプトにある場所を見るよう目で合図し、 ロプトはそこを見た。

 そこには不安気に見つめるココアが居た。


「お前が今悲しませてるのは……彼だけじゃない。 私達全員だ。 くだらない事でムキになってたら、 生き残れないよ」


 レインはそう言うと俺を立たせ、 ホールから出た。


「……俺は何てくだらねー事でムキになってんだ」


 ロプトの元へココアが駆けつけると、 ココアはロプトの頬を強く叩いた。


「これは、 アウドラの分だ! いいな、 もうあんな真似するな」


 ココアが涙目でロプトを叱ると、 彼は自分の頬を触り、 ココアの涙を右手で拭った。


「悪い、 心配させたな」


 ロプトは笑顔でココアを抱き寄せた。

 上では、 その場面を温かい目で見つめる戦士達が居た……ただ1人を除いて。


「はぁ……レイン、 窓高いんだからね……」


 アノムスでした。


 ────。

「たくっ、 アウドラ無茶し過ぎ! アレでもアイツ私と同じくらいつよいんだからね! 」


「わ、 悪い」


 俺は自分の部屋でレインに治療をしてもらっていたが、 レインはずっと膨れている。

 よっぽど心配してくれたんだろうな、 わざわざ窓を破ってまで……窓どうなるんだろう。


「なあレイン? お前はどうしてそこまで俺を心配してくれるんだ? お前最初は俺を警戒してたっぽいし」


 俺が気になって確かめてみると、 レインの頬はちょっとだけ赤くなった。

 ────────────────────

 ん? 治療する手も止まったし無言になったぞ……? 何か言ってくれねーかな、 不安なんだけど。

 レインは再び手を動かし治療を始め、 先程の俺の質問に答えてくれた。


「私は……トラウマを打ち明けた時、 それでも私を信じて戦ってくれた事が嬉しかったんだ……」


 ……そんな事したっけか。

 良く覚えてねーんだよな、 戦いは派手でおっかねーって事は記憶に有るんだけど、 話の内容とかはほぼ忘れちまったんだよ。

 という事で俺は適当に相槌を打った。


「その時から私……アウドラ好きになった」


 へぇ、 俺を好きにね~、 何か仲間って認められた感じが有って嬉しいもんだな。

 俺が何か別の事で喜んでいると、 レインはそれに気付いたのか背なかの怪我してる部分を怪力で押してきた。


「いっでででででででで!! 割れる! 骨砕ける! 何すんだお前ぇ!? 」


「アウドラ……鈍感過ぎない? 」


 何が!? ん? 痛くてそれどころじゃないんですけど!?

 誰かさんのせいで絶賛激痛中ですからね!

 レインはまた頬を膨らませると、 俺を無理矢理座らせた……もう、 身体が限界を迎えそうなんですが。

 そういや今更だけど何でコイツ俺の部屋の鍵持ってんだ。

 レインは恥じらいながら俺に抱きついて来た。

 ヴっ、 あの、 骨砕けるからなるべく力入れないで欲しいのですが……。


「私……は、 アウドラを愛しています……」


「……え? 」


 レインは恥ずかしいのか、 俺の視界に入らないように抱き付いたままだった。

 レインが、 俺を好き……って、 likeじゃなくてloveの方……え、 マジで?

 俺は気になったのでもう一度聞く事にした。


「なあレイン、 お前って俺とどうしたいの……? 」


 俺がそう言うとレインは一旦離れた。

 うわ……耳まで真っ赤になってる……。

 不覚にも『可愛い』って心から思っちまった……。

 レインは顔を必死に隠し、 先程の質問の答えを言った。


「ア、 アウドラと……お付き合い……したい……です……」


 俺はその時のレインの表情を見て、 思わず頷いてしまった……。いやだって、 ねぇ……。

 あんな可愛い顔見せられたら俺はOUTだよ。

 ────────────────────

 ──そんな俺とレインの会話を扉の前で聞いていた者が居たが、 その者の表情は決して穏やかでは無かった……。


 ────。

 俺とレインはその夜は一緒に寝た……けどただ寝ただけだ、 決して何もしていない。

 そして朝になり起きると、 レインは台所らしき場所で鼻歌を歌いながら楽しそうに料理をしている。

 ──だが俺はそんなレインを見て、 人を斬って楽しんでる姿が目に浮かんだ。

 バレたら殺されるな。


 レインは俺が座ってるのに気付くと、 眩しい程の笑顔で近寄ってきた──料理は?


「お早うアウドラ♪ もう少しで出来るから待っててね! 」


「ん、 あ、 おう」


 いや、 作ってる途中なら早よ戻れ、 焦げるかも知れねーし火事起きるかも知れねーだろが。

 ……レインがこんなにも浮かれているのは恐らく昨日の事だろうなぁ、 俺達今付き合っちまったんだもんなぁ……あー面倒くせぇ。


「はい、 出来たよ。 アウドラの口に合うように料理したから味は大丈夫なはず! 」


 レインは俺に見た目がグロテスクなシチュー擬きを渡して来たが、 何だこの底無し沼みてーなのは……本当に食えんのかよ。

 まあ腹減ってっから食うけど。

 俺はなるべく無心でソレを食べた。


「……意外と美味いな」


「ちゃんと勉強して作ったから」


 こっそりガッツポーズを決めるレインを見て、 俺は静かに微笑んだ。

 やっぱコイツ可愛いよなぁ……。

 それにしてもコレどうやって作ったんだ? 煮え滾った底無し沼がビーフシチューみたいな味になってる……コイツと居ればコレ食えるな、 見た目ヤバいけど。


「2人共起きろ! 任務だ! 」


 至福の時間を邪魔するかの様なタイミングで扉を開けたシルフォの言葉に、 前回と違い俺は緊張し汗が垂れる。


「……おし、 行くか」


 俺は皿を片付けて広間に向かった。

 広間ではいつも通り全員がアノムスの方を見ていた。


「今回は『バイブレ・コントローラー』を回収してもらう。 場所はコード『ANDBENA』だ! メンバーを発表するよ」


 あんだべな? またすごいコード出てきたな。


「レイン、 ココア、 アウドラ、 シルフォ、 そして僕の5人だ」


 初の5人任務らしい……つまりは前以上に強敵か。


「やってやる! 」


 ────────────────────


 だが俺達はそこで……大きなものを失う事となる──。

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