表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビジョン・コントローラー  作者: ☆夢愛
第1章 コントローラー拾ったぜい
12/53

第7話 国の歴史

「アウドラおはよう」


「……おはよう」


 俺は一瞬コイツ何で俺の部屋に居るんだろうと思ったが、 昨日シルフォにぶん殴られてそのまま気絶した事を思い出した。

 看病してくれてたんだな。


「アウドラ寝相スゴいんだね、 添い寝してたらお腹蹴られて痛かった」


 違った、 看病じゃなかった。

 そもそも病気じゃねーしな、 てか何で添い寝してた? 何のため?


「はい、 朝ご飯作ったよ」


「う……飯……」


 この世界の食い物は正直言ってメチャクチャまずいんだよ、 んな物を食わせようとするんじゃねぇ。

 まあ知らないんだろうけどな。


「ふ……残念だったなレイン。 そいつはこの世界の食い物が大嫌いなんだよ」


 ドアを開け、 カッコつけた様に腕を組み寄りかかっているシルフォが割って入った。

 俺鍵閉めたはずなんだけどなぁ。

 レインはキョトンとした表情になり、 無理矢理俺の口に食い物を入れて来た。

 まっず! にっが!!

 レインもシルフォ同様腕を組み、 目を閉じ格好をつける。


「この世界で生きていくにはまず食べ物に慣れる。 私も慣れたんだし大丈夫なはず」


「くっ……! 」


 くっじゃねーよ、 くっじゃねーけど忘れてた、 レインも元はこの世界の住人じゃないんだった。

 この吐きそうな程不味い物をどうやって慣れたんだ。

 レインは食材を出し、 何か説明を始めた。


「この野菜類みたいなのは炒めたり温めちゃダメ、 水で冷やして生で食べるとシャーベットみたいになる。 お肉類は焼いちゃダメ、 茹でるとお餅みたいになる」


「し、 しゃーべっと? おもち? 」


 シルフォの周りにはハテナが大量に浮いている、 やはり別々な物なんだな。

 レイン、 思ったんだけどそれはほとんど餅かシャーベットしか食えねーと? そう言う事か? もっと種類欲しいぜ。


「あ、 このフルーツ系の物はそのまま食べなきゃ死ぬ程不味い」


「「マジか」」


 いちいち覚えてられる気がしないので、 レインにメモ用紙を渡して書いてもらった。

 丸かじりヤダな……てかレインの世界は俺の世界と同じなのか? 餅とか……。


「ああそうだ。 アウドラ、 お前この後用事あるか? 」


「いや、 無いけどなんだ? てかあると思うか? 」

 ───────────────────

 レインが俺達を睨み付ける、 何でございましょうか殺人マシーンお嬢様。


「デート……? 」


 レインは持っているフライパンを折り曲げながらシルフォに聞いた。

 いやぁ、 あんなもんに肩揉まれたら凝りが解れる所か骨が砕けるよー。

 それに何で急にデートが出てくんだ。


「でーと? 何だそれは。 私はコイツを呼べと言われたから呼んだだけだ」


 あ、 言葉は結構知ってるのかと思ったらそれは知らんのね。

 確かに興味無さそうだもんね怪力貧乳ゴリラは。

 俺は3回転して宙に浮いた。


「そ、 それより誰に呼ばれたんだ? 」


「アノムスだ。 何か教え忘れた事が有るらしくてな」


 アノムス! 何だよ? 何を教え忘れた? ……とりあえず知れる事は知っとかねーとな!

 俺はドアが開いてるのでダッシュで飛びだ……そうとしたらレインに腕を掴まれた。

 待って痛い。


「行ってらっしゃい、 アウドラ。 帰って来たら一杯イチャイチャしよ」


 レインはその直後に宙を舞ってソファに乗っかった。

 レイーン! 大丈夫かぁ!? 息は有るかー!?

 ……俺は部屋を後にした。


 アノムスの部屋のドアをノックし、 堂々と音を立てて入る。

「いやいやいや、 マナーを守ろうか」


「生憎マナーを守ろうとした事がねーんだ」


「威張るな」


 ん? 今のアノムスじゃないよな? 誰が……。

 俺が声の聞こえた向かって左側を見ると、 2つの向かい合ったソファの後ろの壁にとっても髪の長い……男、 男だよな? ……が立っていた。


「なあ、 ここは性別が分かりにくいのばかりいるな……ドファス! 」


 思いっきり殴られた、 だとしたら男なんだか女なんだか分かる顔してろよ。

 反則ですよ! ……何がだ。


「で、 何を教え忘れたんだ? 」


「それはだな……」


「お前に聞いてねぇ」


 また殴られた、 シルフォみたいな手の早さだな。

 アノムスがそいつを宥めると、 紹介をして来た。


「彼はココの第1隊長、 ココアだよ。 隊長達の中では2番目辺りに強いかな」


「3番……だろ? 」


 ん? 何か雰囲気が悪いですねぇ。

 にしても2、 3番目に来る奴なんだろ? とんでもなく強ぇな、 レインとどっちが上なんだ?


「てか隊長って? 」

 ────────────────────

 ココアは思い切りこけたのをクールに恥ずかしがっている……要するにクールに装ってるけど恥じらいがあると言う訳です。


「隊長とは、 ここに10人程居てトップクラスの実力者。 まあ分かると思うが、 指揮を執るのを任される者だ。 隊は毎回変わるがな」


「前の時は? 誰が隊長? 」


「シルフォだね」


 あいつか……やべ、 指示に従わなかった時も有ったしテキトーに行ってたわ。

 しかしあいつもトップクラスに強いのか……まあパワーは上位だろーな、 ゴリラだもん。

 アノムスはテーブルの上で腕を組み、 話し始めた。


「このビワについてなん……」


「毎回変わるんだったら隊長要らなくね? 」


 こめかみをグリグリやられてます、 痛いです、 悪かったよやめてくれ。

 それより話してー俺のせいで止まったんだけど。


「ビワ国の歴史を話しておこうかと思ってね」


「興味ねーけど、 意味あるんだったら」


 アノムスは頷き、 話し始めた。


「この世界は人工物だ。 人の手によって作られたんだ」


 あ? どうやってだし、 人が世界、 時代、 時空間とか作れるわきゃねーだろ。

 ここはジオラマじゃねぇ……あ、 もしかして。


「『ユニバース・コントローラー』……それを使って別の世界の人間がこの世界を作ったんだ。 ただしそのコントローラーは未だ見つかっていない」


「見つかってないのに何で分かるんだよ……それに創ったって、 箱庭みてーにか? 」


 正直話の規模が異常でついていけていない。

 世界を創るって、 コントローラーはそんな事も出来る代物なのかよ。


「そう、 箱庭みたいな感じ。 で、 僕等はその時作られた人形の様な者の子孫。 だけど、 作りはどんどん進化して本物の人間となった」


「見つかってないのに何で分かるのか、 だな? それは私達にも分からぬが、 そう記されているからだ」


「記されている……? 」


 元は人形……? が進化して人間? ……じゃあ人形を何年も放っときゃ人間になるのか? ……な訳ねーよな。

 これは難し過ぎる内容だ。


「……どこに? 」


「行ってみると良い、 この話の後でだが。 地下の最奥部、 壁画が有る。 後で連れてってやるよ」


 え、 お前とはヤダ……なんて言ってられねーか。

 ────────────────────

 俺とココアは木の地下に降りて、 1時間掛けて最奥部に到着した──遠いわ。

 あと今思ったんだけど、 ココアって名前が有るくらいだし、 ココアは存在するのかなこの世界。


「見ろ、 これだ」


「……落書き……? 」


「違う! 」


 壁画と聞いたが、 殆ど落書きにしか見えない……そう、 幼稚園児が描いたような絵だった。

 でもよく見ると、 全体を見てみると分かる。

 コントローラーを持った(棒)人間が黒い(暗い)場所で光っている……そして右側に行くと地球の様な物が描かれており、 ど真ん中には大きな木が存在している。


「成る程な……お前らの言う事が分かった気がする。 でも何で今になってコントローラーを狙う奴らが居るんだ? 」


 ココアは壁画を見ながら真剣に語り始めた。


「元々は封印されていたコントローラーを持ち出したここの製造者が原因だ。 コントローラーは散らばり、 力を求めた者共が争い奪い合った」


 力を求めた者共……ね、 だけど触ったらマスターになった俺は全くの無関係だ。


「アシュレイドは私達を根絶やしにしたら全世界を0からやり直すつもりなんだ……戦い続けるしかない」


 確かに俺も、 何も知らずに世界が終わるのは嫌だ──むしろ知れてよかった。

 言い方はアレだし、 したくは無いけどアシュレイドを滅ぼせば世界はまた元に戻るはずだ。

 その為の戦いなら俺は喜んで力を貸そう。


「さあ、 また1時間掛けて上に戻るぞ。 なるべく早く戻ろう」


「ああ」


 俺達はそう言い、 壁画を後にした。

 アノムスとも話し終え、 部屋に戻るとまだシルフォとレインが居た。

 いつまで居んの? 俺休憩したい……。


「あ、 おかえりアウドラ」


「遅かったな」


 いや、 遅いに決まってるだろ。

 2時間も別の場所に居たんだぞ。

 それと……何かレインがビクビクしてる様な……シルフォに怒られでもしたのか?

 俺が部屋に入るとレインが一瞬でドアの鍵を閉め、 飛び乗って来た。

 首曲がります殺人マシーンお嬢様。

 そしてすかさず蹴り飛ばすシルフォ……勿論俺ごとね。

 レインは拗ねた様な顔でシルフォを睨み付ける。


「帰って来たらイチャイチャするって……言ったもん」


「貴様はな」


「じゃあ何故俺もやった」

 ────────────────────

 レインとシルフォは俺の事なんか完全無視で言い合いを続けている……休ませて。

 それと、 レインはまだ上に包帯ぐるぐる巻きだし、 シルフォは左手を動かせていない。

 なのに派手に動く2人を見て『頑丈過ぎだろ』と思っていた。


「あなた、 ご飯にする? お風呂にする? それともわた……ヴっ」


「誰が『あなた』だ! 大人しくしてろレイン! 」


 いや、 思いきり殴っといて何言ってんすか、 大人しくするのはお前だよ○ースノーマット。

 俺は本日2度目のトリプルアクセルをし床に沈んだ。

 それとレイン、 お前の世界と俺の世界絶対文化一緒だろ。

 さっきの言葉俺も知ってるぞ。


「あのさぁ……お前ら、 女なんだからもう少し身体に気を付けてだなぁ……」


 とりあえず黙ってて欲しいので、俺の怪我が酷くなる前にやめろと言う意味を込めて2人に言った。


「ふん、 女などと馬鹿にするな! 私より弱いくせに」


「大丈夫、 私はあなたに女にしてもらうから」


 すみません、 お2人共そう言う意味ではなくてですね……しかも片方に至っては何の事かも分からないんですが。

 おーい誰か助けてー……って言ってもコイツらでコレなら他はもっとロクでも無い気がするけど。


「どしたどしたー? 」


 ユーニが入って来た。

 この前はサンキューな、 サポート……特に何かしてもらった記憶はないけど。


「喧嘩止めてくれね? 」


「喧嘩してないじゃん? 」


 いつの間にか静かになってやがる、 何だこいつら。

 もしかしてユーニが怒ると結構怖いとか? だとしたら怒らせない様にしなきゃな。

 ユーニはお腹を押さえるレインを見て、 ニッコリと笑った。


「もー、 次喧嘩してるって情報来たら『エリナさん』に言いつけちゃうからね? 2人共」


 その直後2人は頭が飛んでくんじゃないかと思う様な勢いで首を振っている……『エリナさん』ってそんなに怖い人なのか?

 ユーニが行った後、 俺はコッソリレイン達に聞いてみた。


「エリナって人、 そんなに怖いのか? 」


 すると2人は、 震えながら顔を横に振った。


「いや、 アレは怖いというかその……」


「恐いと言うか……うん、 とにかくヤバい人」


 とにかくヤバい人って……どういう事だ?

 ───────────────────

 怖いと恐いの違いが全く分からない俺は悩んで、 その後ベッドに向かった。


「俺はもう、 寝る」


 俺が転がると、 横からレインが入って来る。

 また添い寝でもすんの? もっかい腹蹴るかも知んねーぞ。


「夜は長いから……まだ寝ないで一緒に……」


 レインの頭には思いきり手刀が飛び、 鈍い音が響く……いやどんな威力ですかシルフォさん。

 シルフォは手刀を繰り出した右手を振りながら、 蹴ってレインをベッドから落とす。


「何が夜は長いだ! まだ夜ではないわ! 昼ですらないわ! 」


 あ、 ツッコむとこそこだったんスね、 俺はてっきりベッドに乗った事かと。

 ん? もしかして……。

 シルフォは俺から布団を奪うと、 レインの上へ放り投げた……ヒデェ。


「今は朝だ! 朝から寝てて体力が着くと思うな! 」


「そんな気がしてたよ……」


 寝せてもらえねぇ……何なんだこいつらは……本当によ……。

 俺は頭の中を横切った言葉を叫んだ。


「『エリナさん』ーーー!! 」


 その瞬間2人は止まった……あれ? 俺コントローラー使ってないよ? 何がござんした。

 扉がゆーっくりと開いて行くと、 レインとシルフォは涙目に変わっていく。


「あ、 あなた……! 何て事を……! 」


「貴様……! 覚えておけ!! 」


 ドアが開くとそこにはスタイルの良い巨乳の眼鏡女が立っていた。

 深緑色の長い髪が風も無いのに靡く。

 まるで妖怪の様なオーラを放っている。


「レイン、 シルフォ? 喧嘩……しちゃったんだって?? しかも殿方の邪魔をして……」


「「い、 いやそれは……」」


「お仕置きが必要ね☆」


 アレが『エリナさん』らしいが、 どんなお仕置きが待ってるんだろう……2人が怯えてる。

 2人はエリナさんに抱えられて行く。

 え、 力強……。


「「いやあああああああああああ」」


 連れて行かれる2人はとても悲痛な叫びをあげ泣いていた……。


「何されんだよ……」


 あの2人が泣くくらいだもんな……。

 ああ恐い、 そろそろ寝るか。


「やあアウドラ君、 一緒に寝ない? 」


 ベッドにはユーニが居たので、 何となくエリナさんを呼んでみた。


「私20代に興味無いのよ」


 いやよく分からないけど……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ