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ビジョン・コントローラー  作者: ☆夢愛
第1章 コントローラー拾ったぜい
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第6話 クロノス・コントローラー回収2

 俺自身が薄れていくと同時に『影』が出てくる……だが1人ではなく、 どんどんどんどん大量に。

 目眩しからは少し遠ざかるけど、 こうして全員で攻めてきゃ攻撃する時間も殆どねぇ。

 これで片をつける!!


「小癪ナ……」


 一斉に突っ込んでく俺の大群にも全く怯む事なく蹴散らして行くウォーブは鬼の様だった。

 ……あんなにも軽々と俺が吹っ飛ばされぶっ殺され消えてくんだぜ、 光景を見るだけなら笑えるもんかも知れねーけど俺からしたら恐怖しかないからね。

 1人……また1人と俺の『影』が消えていく中、 俺は1人集中し、 脚に全力を溜め奴を見ていた。

 俺が全員消えたら勝負だ!


「あふぁ! 」


 なっさけない最後の『影』の声が聞こえると同時に俺は弾丸の如き速さで突っ込み、 ウォーブの胸元を斬り裂いた。

 そして俺の姿は見える状態に戻った。


「うっしゃ! 当てたぞこらぁ! 」


「マダこンなモノじゃ終わらナイ……!! 」


 ウォーブが時計を翳すと、 ソレは砕け散った。


「「!! 」」


「お前の負けだ……消えろ!! 」


 ウォーブの真後ろには、 肩から脇腹に掛けて巨大な切り傷を負ったレインが血みどろで剣を構えていた。


「レイン……! 」


 良かった……! フラついてるけど動けるみたいだ。

 それにアイツにもう防ぐ術はない、 これで終わるんだ……。

 俺がそう考えているとウォーブは高らかに笑い始めた──まだ何かあんのか!?


「俺達ノ仲間ハまだマダ居ル……コントローラーの保持者ハマダまだ居る……!! 『アシュレイド』はまだまだ存在す……!!! 」


 ウォーブが喋っている途中に、 綺麗に切れた頭部が宙を舞った。

 レインが苦しむ暇もない光速で首を刎ねた様だ。


「お前達がまだまだ居る事なんて……知ってるから……」


 レインはそう言い剣を振り、 淀んだ青い液体を振り払った。

 レイン、 やったな……お前のトラウマを1人、 倒せたぞ……。


 ──「これでよし」

 レインは変身が解け、 分離した『クロノス・コントローラー』を透明な立方体のケースに入れた。

 液体が入ってる訳でも無いのにコントローラーは中で揺れ動いている──やはり特別なケースなんだろう。


「……」


 そんな中俺は1人考え事をしていた。

 ───────────────────

 こんな事……殺しまで奪う必要は有るんだろうか。

 今回も前回も、 誰が死んでもおかしくない状況でビワ国の人間達は戦っていた。

 それは全て、 コントローラーなんかの為に。

 そんなにコレは大事な物なんだろうか……そもそも、 コレは何なんだろうか……コレが無ければ誰も争わないし傷付かない、 誰も死なない筈なのに守る価値なんてあるんだろうか。

 俺はなっとくのいかないまま、 その朽ち果てた様な世界の、 最後の場所を後にした。


 ──外に出て拠点にした場所に戻ると、 ユーニがゲートを開けて待っている。

 ……ん? 何やら焦ってる様に必死で手招きをしているが……。


「いつもの事だ、 急ぐぞ」


「んあ? 」


「誰も居なくなった世界が崩壊して行くんだよ」


「はあ!? 」


 俺は冷静に説明する2人にかなり驚いた。

 だって、 この世界誰も居なくなったんだろ……!? それに──……

 俺はゲートが閉まる直前に立ち止まり、 その壊れ消えゆく世界を見た。

 ──それに、 世界が壊れるのって、 レインがいた世界と同じだろ……? 何で自分がそんな目に遭っていて同じ事が出来るんだ……!? ──。

 こうして俺達4人の『クロノス・コントローラー』回収ミッションは完了した。

 ───────────────────────。

「いやぁお疲れ様4人共! ご苦労様! 『クロノス・コントローラー』、 確かに頂きました! 」


「……ああ」


 ビワに帰ると、 とてもうるさい大声でアノムスが言ってきた。

 ……こいつはレインの国の人間を見殺しに……。

 シルフォ、 レインは大怪我のためすぐに医療室に連れて行かれたが、 俺は残った。

 アノムスは2人を見送ると、 その細い目を少し開き俺を見て来た。


「さてと……何か聞きたい又は知りたい事がありそうだね」


「ああ、 勿論ある。 時間貰うぞ」


 アノムスは軽く『喜んで』と答えると、 邪魔されないと自分の部屋へ案内して来た。

 俺は紅茶を出され、 ソファーに座っていた。

 アノムスは紅茶を飲み歩き、 ソファーに座って一息ついた。


「さ・て・と……どれから知りたい? 」


 妖しく微笑む彼を見て、 少々不気味に思えた。


「そうだな……まずは『アシュレイド』の事を聞くか」

 ────────────────────

 アノムスは元気良く手を打った。


「それがいい! うんうん、 そこからのが分かりやすいかもね」


 いちいちテンション高ぇ奴だなこのキツネ目。

 疲れてんだからもうちっと静かにやってくんねーかな。

 アノムスは手を机の上で合わせ、 話し始めた。


「『アシュレイド』……彼らは俗に言う『異世界の魔物』だ。 だけどそれは僕ら側の偏見で、 彼等自身にとっては普通の人間なんだ」


 まあ、 そりゃ何となく分かってきたが……そいつらは何で凶暴化すんだ?


「元は平和好きな世界だったんだけど、 僕もよく知らない事件が起きてからは気が狂った様に真逆になり、 変化する事も出来る様になった。 そこから間も無く……彼等は滅んだ」


 滅んだ!? じゃあアイツらは何なんだ!? 化け物って言うくらいだから死者とか……? それは流石にねぇか……?

 でも何で滅んだんだ……?


「理由は多分3つ有って、 1つは異世界に襲撃を仕掛けたから。 1つは殺し合いを行ったから。 そして最後、 コントローラーを奪ったから」


 出た、 コントローラーだ。

 正直言うと、 これが1番何なのか知りたい。


「なあ、 コントローラーって一体何なんだ? どうやって出来た物なんだ? 」


「それは僕にも分からない。 産まれる前からあるからね。 今それを研究してるのがユーニだよ」


 成る程、 今の所この世界の奴らは分からないって事か……よし、 じゃあ次だ。


「何で滅んだ筈の連中が生きてて、 今コントローラーを集めてるんだ? 」


 アノムスは真剣な表情に変わると、 ゆっくりと元のキツネ顔に戻った。


「彼等は異世界に居て滅びを免れた者達さ。 そして復讐の為にコントローラーを集め、全エネルギーを放出させ全ての世界を葬り去ろうとしてるんだ」


 コントローラーのエネルギーを放出……どうなるんだかは知らねーが、 要するに時間空間四方八方何もかも消し去るって事だろ? ……実感出来やしねーな……。


「……もう1つ聞きたいこと事がある。 何で、 殺してまで奪い合うんだ? 他に方法は無いのか? 」


 俺が問うと、 アノムスは馬鹿にした様に笑い、 眼を開き俺に顔を近づけて来た。


「バカだなぁ、 生かしといて後々取り返しに来られたら厄介だろ? 彼等の身体能力は尋常じゃないんだ」

 ────────────────────

 まあ……そうだろうな、 確かにあんなのを数体でも残しといて一斉に襲撃を受けたらたまったもんじゃねーしな。


「そうだ、 何でビワの連中もコントローラーを集めてるんだ? 集めるんじゃなくて壊しゃあ取られる心配もねーのによ」


 アノムスは右手を伸ばして上下に動かし、 涙目になりながら笑ってきた……ここの連中ホントにうぜーな。


「さっき全エネルギーを放出して世界を消すって言っただろう? コントローラーを壊せばそこそこ大量なエネルギーが世界中に広がるんだ。 弱い世界は滅びる」


 成る程な、 壊したら出てくる……と。

 めんどくせーなぁ本当によ。

 その後アノムスが言ったが、 保管する役は広大な土地を持つビワになったのだとか。


「んじゃあ……最後に1つだけ」


「ん、 何?」


 俺はある事を思い出し、 アノムスを睨みつける様に見て聞いた。


「何でレインの世界の連中を救わなかった……! 」


 アノムスの表情は笑ってるのに固くなった。


「あーらら、 もう知ってるんだそれ」


「答えろ」


 アノムスは軽く笑うと、 俺を指差して来た。

 顔は感情のこもってない笑顔だ。


「じゃあアウドラ君は、 全員救えたのかな? 」


「!! 」


「あの場に居たら君でも同じ事をする筈だ。 消えゆく世界の人間を、 全員救い出す方法なんてない。 僕はその中から2人、 戦いの意思がある者を選び助けた……ただそれだけだ」


 確かに消えてく世界で、 自分が死なない様に人々全員を助ける方法なんてない……だけど、 もっと多くの人間を救えなかったのか……!?

 俺が悩んでいると、 アノムスは冷たい言葉を言い放った。


「強者、 戦う意志のある強い心の人間以外、 アシュレイドとの戦いには不要……役に立たないんだ」


 俺はその言葉を聞いた後、 何も返す事も出来ずその部屋を出た。

『役に立たない』……その理由だけで人の命を諦めていいものなのか……。

 そんな、 現実は甘くないのか……。

 ────────────────────

「アウドラ」


 声がする方を向くと、 そこには治療を終えたレインが居た。

 肩からヘソの辺りまで包帯ぐるぐる巻きの状態を見ると、 『ホントに治療したのか? 』とも思えて来るが、 そんなにしなきゃ行けない程の怪我なんだろう。


「寝てなくて大丈夫なのか? それとシルフォは? 」


「あのコはまだまだ治療終わらない。 私はアウドラ呼んでって言われたから」


 ああ、 忘れてた、 俺も治療すんだった。

 シルフォは腕の骨が砕けてるからな……暫くは戦闘も無理な筈だ。


「ありがとなレイン最後は。 お前がいなきゃやられてたわ」


 俺がそう言うと、 大抵無愛想だったレインの表情は優しい笑みに変わり、 首を横に振り否定した。


「私こそありがとうだよ。 貴方が居なきゃ立ち直れなかった……」


 ん? 俺何かしたか?? 全然記憶にねーから別にいいか、 そゆことにしとこう。

 レインは俺に寄りかかって、 聞こえない程の声量で何かを呟いた。


「早く行きなよ治療しに。 私は部屋に居るから」


「ん? おう。 じゃあまたな」


 何でいちいち部屋に居る事まで言ってきたんだかは知らないけど、 とにかく全身いてーから治療室行こう。──治療室どこだっけ。

 その後ワタクシはユーニにタックルされ、 そのまま治療室に連れてかれたので治療室の場所は結局分かりませんでした。


 ──。

 部屋に戻ると、 俺は驚いて眼を見開いた。

 レインが居る……しかも上は包帯だけでちょっと過激だ……いや俺はまあ大歓迎だがな。


「言ったでしょ、 部屋に居るって。 隣来なよ」


「あ、 おう」


 俺はレインの隣に座りながらも、 レインの方を一切向こうとしない……いやだって上包帯だけだぜ? あの何かちょっとね……うん。

 俺がテレビを点けようとしたら、 レインが脚の上に乗ってムスッとした表情でいる。


「何……? 」


「何でこっち見てくれないのかなと思って」


 いや、 見ていいんスかね、 その格好。

 だったらやめてって言うまで見てやろうか? 俺にそんな趣味無いわ。


「なあ……傷は……」


 ドアを開けシルフォが入ってきた。ノックしろ。


「何してんだ貴様らはぁあああ!! 」


「やっぱコレだね~!! 」


 俺は即来た鉄拳で宙を3回回って舞った。

第一章1部が完結!

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