第九十二話
昨日投稿出来ず、すみませんでした。年末年始だからたくさん時間がありそう、と思っていたら、意外と時間がなくて、小説のための時間をあまり取れませんでした…。
◇以下、ルイ視点です。そして、今回、こっちの方が長めです。
雪は降っているけれど、今日も街の様子はいつも通りだ。人が行きかっている。一つ、いつもと違うのは、あちこちで雪かきしている人がいること、かな?私は、お店の窓からぼーっとそれを見ていた。雪だるま、作りたいな…、と思いつつ。ネネがいたら、一緒に雪だるまを作りたい。あ、でも、ドレスが濡れちゃいそうでちょっと怖いな。そんな感じでどうでもいいことを考えていると、お店の前を雪かきしていたルイが戻ってきた。最初は私がやっていたんだけど、やったことがほとんどなかったせいか上手くできず、むしろ状況が悪化してしまったのだ。なので結局私は五分の一くらいしか雪かきしなかった…。ちょっと残念。もうちょっと上手くできるかなー、って思ったんだけど…。何かコツでもあるのかな?
「疲れた…。でも、この感じだとまた積もりそうだし、また後でもう一回雪かきした方がいいかもしれないな。けど、また次の朝も雪かきしないといけないわけだし、いくらやってもキリがないだろう」
ルイがちょっと面倒くさそうにそう言った。その髪に少し雪がついていたので、私はルイに近づいて軽く払った。ルイは一瞬、固まっていたけど、あまり気にせずに私は言った。
「それじゃ、雪かきした後で雪だるま、作っていい?お店の前に!絶対可愛いよ!」
「は…?!何でだよ?必要ないし、ダメに決まってるだろ。それに、庭ならまだしも、何でわざわざ店の前に作ろうとしてるんだよ?子どもか!絶対にダメだからな!」
あっさりと反対された。しかも、何故かさりげなく子ども、って言われた!えー…、絶対お客さんが集まってくると思うんだけど。雪かきした雪を有効活用できるし、私自身雪だるま作りたい…。しかし、ルイに非常に反対されてしまったので、私は渋々諦めたのだった。その代わり、庭に作っていいと言われたから、後で作ることにしよう。どれくらいの大きさにしようかな、とか、顔の材料はどうしよう、とか色々考えていると、急に扉が開いて冷たい空気が入ってきた。雪も軽く入り込んでくる。
「こんにちはー。寒いね!風邪ひいてない?」
扉を開けてそう言ったのは、アケビさんだった。その後ろには、スイさんもいる。二人とも着ている服がふわふわで温かそう…。でも、服にところどころ雪がついているので、雪の勢い、かなり強いのかも。…というか、こんなに寒いのにどうしてここに?すると、アケビさんが持っていた封筒から何か紙を取り出して言った。
「あのね、実は今、管理人さんからの指示で書類集めをしているんだけど…。去年の分の、この紙と、あと、これとこれと…。あともう一枚…、この黄色い紙、持ってない?あと、あったらそれ貸して!」
「急に言われても無理だ。あることにはあるけど、一つのところに全部まとめてるから、その中の紙を全部探さないといけない。…ってか、何で今さらそれが必要なんだよ。聞いてない」
「わたしだって聞きたいよ、それ。でも、絶対に集めてこい、って言われちゃったから、回収しないといけないんだよね。ルイ、わたしも探すの手伝うから、そのまとめてる物、見せてくれない?」
ルイは若干、嫌そうな表情をしていたけど、結局うなずいていた。そして、私とスイさんはその間、お店番をしていることにした。ちなみに、二人は今日は、お休みらしい。けれど、その書類集めが全然終わっていなかったらしく、休み返上で色々なお店を訪ね回っていたのだそう。そして、最後にこのお店に来た、ということだった。大変そう…。とりあえず、私とスイさんは時々お喋りをしたり、お花を整えたりしてお店番していたのだった。
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俺は、自分の部屋に行き、ここ数年の資料が入っている箱を取り出した。そして、それを持ってアケビのところへ戻る。アケビは、俺が持っている箱を見てものすごく嫌そうな表情をしていた。まあ、たぶんそう思うだろうな…。というのも、箱は一つではなく、三つあるからだ。しかも、どれも蓋ぎりぎりまで資料や書類が入っている。ここから探すのはかなり大変だろう。ってか、こういうことになるならちゃんと整理しておけば良かった、と少し後悔する。どうせ二度と使わないだろう、と思っていたので、保管さえしていればいい、と適当に入れていた。とりあえず、一番上の箱から見ていくことにする。適当に入れておいた割には状態が良くて、ほっとした。黙々と一つ目の箱から調べていると、ふとアケビが聞いてきた。
「そういえば、最近、結花ちゃんとはどうなの?お祭りとかでは、けっこういい感じだったけど、その後はどうなってるのかなーってちょっと気になっちゃって!」
…??!急に謎すぎる質問をされた。どう、とは一体…。答え方に困る。それと、アケビの視線に微妙に力がこもっているのは気のせいだろうか…?よく分からないけど、確実なのはアケビが少し怖いということだ。急にどうしたんだか…。しかし、俺が何も答えずにいると、アケビがもう一回同じ質問をしてきた。本当に何なんだよ?!けど、これ以上何も言わずにいると、まずい状況になりそうな気がしてきたので、適当に言った。
「…特にどうもなってないけど。いつも通り、たぶん良好な関係だと思う。…ってか、急に何だよ?質問の意図がよく分からない」
「…鈍感なの?それとも、とぼけてるのかな…。うーん、まあいいか。あのね、要するに、わたしの言いたいことをまとめると、ルイと結花ちゃんはいつくっつくのかなー、って思ってるの!だって、夏ごろから、何にも進展と呼べる進展がないじゃない!」
…!?言葉の選び方がストレートだな…。もっとオブラートに包めよ…。ってか、何でそれをアケビが気にしてるんだろう?ある意味、母親みたいだな、と思ってしまった。…それに、アケビはけっこう簡単に言うけど、結花はそういうことに鈍感な気がしなくもない。時々、不意打ちのような発言や行動を、何の意図もなくしてるし。結花が素直、且つ純粋にそう言っていることは表情や声から分かるのだが、その度に混乱する俺の気持ちを少しは察してほしい…。けど、何故か嫌な気持ちにはならない。そんなことを思いつつ、俺は答えた。
「進展かどうかは分からないけど、アケビもだけど、ジェシカとかにも、ちゃんと思っていることを言った方がいい、みたいなことを言われたから、前よりは多少、言うようにしてる。あいつが気付いてるかは知らないけどな」
すると、アケビは何故か目を輝かせた。そして、何かぶつぶつ、小さくつぶやいた。
「…なるほど。ルイは意外とそんな感じで進歩してるんだ…。確かにこの前、結花ちゃんが、最近ルイが優しい、とか言ってたな。それに、素直、みたいな話もしてたし…。そういうことだったのね」
その声はかなり小さかったが、その場がけっこう静かだったので、その声はしっかりと聞きとれた。そして、聞き捨てならない言葉を言ったような気がする。俺はそのことについて聞くことにした。
「アケビ、ちょっと待て。今の、どういうことだ?結花がそういうことを言ってたのかよ?」
すると、アケビは固まった。そして、慌てたように首を振る。けど、全然ごまかせてない。ごまかそうとしている感じがすごかったのだ。俺がじっと見ると、アケビははぐらかすのを諦めたようだった。
「いや、別に、結花ちゃんが進んでそういう話をしたんじゃないよ?ただ、ちょっとした話の成り行きでそういう話題になっただけで。だから、結花ちゃんが悪いわけじゃないよ!」
どうすればそういう話になるのかが微妙に不思議だったが、これ以上追及するのも時間の無駄なので、俺は止まっていた手を動かすことにした。しかし、頭の中ではそのことを色々と考えていた。別に、口止めをしていたわけではないけど、まさかこういう形でアケビにばれるとは思っていなかった。ってか、アケビに言ったってことは、必然的にスイも聞いてたわけだよな…。色々と気まずいような気がする。結花が悪いわけではないが、微妙にいらいらしてきた。結花にではなく、こういうことでもやもやと考えている自分に対して。しかし、その時ふと思い出した。…そういえば、朝やった雪合戦ってけっこう楽しかったな、と。最初は馬鹿にしていたけど、やってみると案外楽しかった。それに、ストレス発散になりそうだし。夕方になったら、もう一回やろうか、と思った。結花を付き合わせることになるが、恐らく大丈夫だろう。念のため、後で聞いてみることにする。さすがに、疲れているのにやらせるわけにもいかないし。アケビは、急に楽しそうな表情になった俺を見て少し怪訝そうな表情をしていたけど、結局何も言わずに資料探しをしていた。
「うん、これで全部!ルイ、本当にありがとう。おかげで助かったよー。何に使うのかは本当に謎だけど、終わり次第返すから安心して!」
一時間ほどかけて、アケビたちが回収している全ての資料を見つけることができた。箱の中に、他の紙を全てしまう。部屋に持って行くのが少し面倒だったので、それは後にすることにした。そして店の方に戻ると、結花とスイは楽しそうに話していた。しかし、こっちに気付き、話を中断する。
「あ、お帰り。どうだった?探してた書類、あった?」
俺がうなずくと、結花は良かった、というような表情を浮かべた。やっぱり、結花ってこういうところが本当に素直だな、と思う。アケビとスイが帰った後、俺は結花に言った。
「そうだ、後でまた雪合戦しないか?さっきやったから、大体流れは分かったし。どうせ、雪は明日も降るだろうから、遊んでも雪だるまづくりはできる」
「…???ルイの攻撃、容赦ないから怖いんだけど…。というか、急にどうしたの?最初に説明した時は、子どもだ、とか何とか、散々言ってなかったっけ?…でもいいよ、やる!楽しいから!」
結花は何だかんだ言いつつ、そう言った。本当に楽しそうな表情で。確かに楽しいことは楽しいけど、ものすごく楽しそうに言う結花は、やっぱりどこか子どもっぽいような気がする。けど、そういうところが結花らしい、とも思っている。
読んで下さり、ありがとうございました。




