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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
五章 異世界花屋と思い出
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第八十二話

昨日、投稿できず、すみません…。

三日ほどが経った。あの後、しばらく雨や曇りの日が続いたけれど、今日は穏やかな晴れだ。空気が澄んでいて、高いところに上ると遠くの山まで見ることができる。私が屋根裏部屋から梯子を利用して屋根まで上ると、冷たい風が吹きつけてきた。でも、防寒対策はしてきたから、そこまで寒くない。顔がちょこっと寒いくらいなだけ。すると、庭でとある物を探していたルイに、私が屋根の上でぼんやりとしているのがばれてしまった。そのせいで応援要請という名の手伝え命令が来てしまったので、私は渋々そこから降りることにした。もうちょっと景色を堪能したかったんだけど、しょうがない。いつまでもルイだけにやらせるわけにもいかないしね。でも、怒られちゃいそうだな…。そう思いつつ、私は屋根裏部屋まで戻り、梯子を下りて、小屋の外へと出た。すると、すぐさまルイから苦情が来てしまった。

「どこでさぼってるのかと思ったら、小屋の屋根の上にいたのかよ…。どうりで見つからないわけだ。探すのに時間がかかった…。ってか、何で屋根に上ってたんだよ?危ないだろ。落ちたらどうするんだ」

「さぼってたんじゃなくて、普通に休憩してただけだもん。それに、あの場所は眺めが最高なんだよ?ルイも見てみたら絶対分かるから!一回、上って見てみることをお勧めする」

ルイは少し呆れたような表情になった。何言ってるんだか…、と言いたいのだと思う。私は無理矢理話題を変えることにした。うーん…、話題話題…。何がいいかなー…?と考えていると、私が話題を思いつく前に、ルイが話を続けた。そのせいで、話題が変えられない…。

「それに、昨日まで雨だったから、屋根とかどう考えても滑るだろ。そこらへんもちゃんと考えろよ。…まさかとは思うけど、怪我とかしてないよな?」

「…してないよ。全然平気!どこもおかしくないから大丈夫!すごく元気だよ」

私は微妙にルイから目を逸らしながらそう言った。しかし、それを見過ごさないのがルイなのだ。じーっと私の方を見ていたかと思うと、急に両手で私の頬を挟み込み、無理矢理ルイの方に向かせられた。…!?な、何が起こった?!というか、何でそうなった?!…と、私が混乱していると、ルイが言った。

「今の言葉、俺の目を見てちゃんと言えるか?」

「うぐ…、そ、それは…。うう…、ルイの聞きだし方が卑怯すぎるんですけど…?ひどくない?」

「いや、最初からお前がすぐに本当のことを言わないからだろ。今のは間違いなく結花が悪い」

しれっとそう言われた。まあ、確かに最初から素直に言わなかったけど…!というか、何でばれた?それが不思議だったけど、これ以上何も言わないのは無理そうだったので、私は知らないふりをすることを諦めた。そして、私は手首の辺りをルイに見せた。そこからちょこっと血がにじんでいた。何があったかを言うと、屋根に上るときに滑って落ちそうになり、とっさに屋根の端を掴んだのはいいんだけど、ちょうどその時に手首の辺りを思いっきりぶつけてしまったのである。…要するに、ルイの心配していたことが当たってしまったのだった。それを説明すると、ルイにものすごく呆れられた。

「何やってるんだよ…。結花の馬鹿。大馬鹿。しかも、それを気にせず上ってたし。…でも、それくらいで済んで本当に良かった。運が悪かったら本当に落ちてたかもしれない。ちょっと待ってろ、救急箱取ってくる。絶対にそこから一ミリも動くなよ!」

い、一ミリも…。つまり、像になっていろ、と…?さすがにそこまで言われなくても、ここから逃げることはないと思うんだけど…。というか、さすがに大馬鹿とまで言わなくてもいいと思うんですけど!そんなことを思っているうちにルイは本当に救急箱を取りに、中に入ってしまった。そんな大袈裟な…。大怪我したわけじゃないし、そこまで心配しなくても大丈夫なはずなんだけど…。そう思って止めに行こうと思ったけど、動くな命令をされているから、行けない…。仕方ないので私はそこに突っ立っていたのだった。でも、何だか頬にあたる風が涼しく感じる。さっきまでは、冷たい風だな…、って思ってたのに。私はそっと頬に手を当ててみた。予想以上に熱くてびっくり。何でだろう?と思った瞬間、さっきルイに尋問された時のことがほわほわと頭に浮かんできた!ぜ、絶対にそのせいだ…!あー、もう、ルイめ…。しかも、向こうは普通に、全く気にしてない様子だったよね??!一体何なの、あの余裕は…。と、私はルイをちょっと恨めしく思ってしまった…。しばらくすると、ルイががさっきと変わらない様子で箱を手に戻ってきた。本当に全く、いつもと同じ様子で。

「これを使うのが久しぶりすぎて、どこにあるのか全然分からなかった…。あって良かったよ。…ってことで、結花、怪我した方の手、出せ」

「自分でできるから大丈夫だよ?そもそも、そこまで大怪我じゃないし、絆創膏貼っておけば後は自然に回復すると思うけど…」

「ダメだ。この前、自分で包帯巻いたらおかしくなってただろ?あれを見る限り、大丈夫だとは思えないからな。ってことで、大人しく治療されとけ。それと、痛いかもしれないけど、動くなよ」

再び動くな命令を出されてしまった。私はさっきのことを微妙に気にしつつも、大人しく怪我した方の手を出した。ルイは、慣れた手つきで怪我した部分を消毒し、丁寧に絆創膏を貼ってくれた。確かにちょっと痛いかも。でも、ルイの手際が良くて、あっという間に処置は終わってしまった。

「ありがとう。すごく絆創膏の貼り方綺麗だね。たぶん私、こんなに綺麗に貼れたことないよ。自分でやらなくて良かった。というか、すごい処置が素早かったけど、慣れてるの?」

「まあ、そうだな。俺がまだヴェリエ国にいた頃、木登りとか森の探検とかして遊びまくってたせいで、よく怪我して帰ってきてたんだけど、そしたら母さんがやり方教えてくれたんだ。後から化膿したら大変だから、って…。怪我の治療を早くできるのは、そのおかげだ」

ルイは少し懐かしそうな表情をした。きっと、千智さんとの思い出が色々あるのだろう。でも、少し寂しそうでもあった。しばらくルイは思い出に浸っていたけれど、不意にそれを振り払うかのように言った。

「そうだ、それはいいとして、さっさと箱探しするぞ。そうじゃないと、いつまでたっても種まきができない。そしたらその分、植物の成長時間が少なくなる」

そう。今、私たちは種をまくための箱探しをしていた。かなり細かいので、箱に土を入れて、そこにばらまきすることにしたのだ。ただ、普段はあまり種まきをすることがないらしく、その箱がどこにあるのかが分からなかった。恐らく庭のどこかにあるはず、というルイの記憶を頼りに私たちは箱探しをしていた。しかし、箱の捜索は難航している。そもそも、鉢の数が多すぎて、どこにあるのかさっぱり分からない。本当にあるのかな?と不思議に思ってしまうくらい、見当たらない。でも、ルイ曰く、あるとしたら庭しかないらしいので、結局庭での捜索を続けていたのだった。

「でも、その箱は向こうの方にはなかったんだよね?ということは、残ってるのはこの辺りだけだよね!もしも、庭のどこかにその箱があるなら、あとちょっとで見つかるはず!」

そんな感じで探すこと、十五分ほど。何か、鉢とは違った形のものが出てきた。…もしかして、これ、箱かな?なので、私はその箱(?)をルイに見せた。すると、ルイはちょっと驚いたような表情をした。

「たぶん、それだ。見るのが久しぶりだから合ってるのか自信ないけど、それの可能性が高い」

わーい!これでようやく種まきできるね!私は早速、種を取りに行った。種はお店の鍵付きの引き出しに仕舞ってある。鍵を開けると、ロディル卿の方と、千智さんの方、どちらの袋も入っていた。少し迷ったけど、結局、どちらの袋も持って行くことにした。何となく、そうした方がいい気がしたから。落とさないように注意しつつ、庭へと戻ると、ルイは既に箱の中に土を入れていた。準備が早いな…。と思いつつ私は二つの袋をルイに渡した。ちゃんと、手渡しする。何だったら投げて渡しても良かったんだけど、もし空中で袋の口が開いたら怖いので、やめておいた。

「母さんの方のやつ、どうするんだよ?一緒にまいたら混同する気がするが。そしたら、どっちがどっちのか分からなくなるんじゃないか?」

「確かにそうなんだけど、どうせなら、本当に同じ花が咲くのかを試してみたくなっちゃって。混ざらないように気をつければ、何とかなりそうな気がするんだけど、ダメかな?」

ルイは少し考えた後で、何故か急に建物の方へと戻って行った。そして、少ししてから何かを持って戻ってきた。その何かとは、庭にあった箱よりも一回り小さいくらいの丸い器だ。何に使うんだろう?と疑問に思っていると、ルイが言った。

「しょうがないから、こっちにもう一つの方の種をまくことにする。取り違えないように気をつけろよ」

「本当!!?それなら、二つが混ざらずに済むね!ルイ、ありがとう!」

「…別に。母さんの方の種がどんな花になるのか気になっただけだし。つまり、俺が興味を持っただけ。本当にそれだけだからな」

そんなに強調しなくてもいいのに…。こういうところは、初めて会った時から全然変わってないよね。そう思って私がちょっと笑っていると、ルイが変わった質問してきた。

「…ところで、これ、どっちが種をまくんだ?」

「は…?別に、どっちでもいいと思うよ?まく人が違っても、植物の成長速度は変わらないでしょ。…でも、どちらかと言えば、元々はルイがもらった物だから、ルイがまいた方がいいんじゃない?」

…というか、気にするところ、そこなんだね?着眼点が謎すぎる…。何でそこを気にしたんだか…。一方のルイは、私の言葉に何故か納得して、大胆に種をまいていた。種とは言え、もうちょっと優しく扱った方がいい気がするんだけど…。でも、まいちゃったものはどうしようもない。最後に軽く土をかけるのは私も手伝い、ひとまず種まき終了。期間内に花が咲くかどうか、という心配はあるけれど、とりあえず、どんな花が咲くのかが、今から楽しみ。

読んで下さり、ありがとうございました。

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