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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
四章 異世界花屋とお祭り ー当日編ー
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第七十二話

私とルイは、その後、色々なお店を見て回った。一日目と二日目に行っていなかった区域に行ったので、何だか新鮮に感じる。というか、お店の数が本当に多い!改めて、このお祭りの規模のすごさを感じた。と、その途中で文房具屋さんの店主さんと会った。店主さんは、元の世界にも売ってそうな和雑貨を売っているお店の外でのんびりと商品を眺めていた。心なしか、楽しそう。声をかけたら邪魔することになるかな?と思っていたら、ルイが後ろから遠慮なく声をかけた。

「あんたも、普通に祭りに来てたんだな。昨日と一昨日、会わなかったから、引きこもってるのかと思った」

その声に、店主さんは振り向いた。そして、一瞬驚いたような表情になる。けど、すぐにこう返した。

「まだそこまで老いてない。人を年寄り扱いするな!…それにしても、相変わらず失礼な奴だな…」

どうやら、店主さんは今日、おじいさんにお祭りに一緒に行こう、と誘われたらしい。店主さんは最初は渋っていたらしいが、説得されて結局、不本意ながら同意したらしい。しかし、待ち合わせの時間になってもなかなかおじいさんが来ないらしく、ここで時間を潰していたのだという。いつになったら来るのだろうか…。そんなことを話していると、遅刻していたおじいさんがやって来た。そして、店主さんを連れてどこかに行ってしまった…。突風みたいだったな…、とつい思ってしまった。でも、いつも通り、仲が良さそう。

「…ここって、何のお店なんだ?見たことない物が大量なんだけど。世界中を旅する行商人のお店とか?」

ルイが首をかしげてそう言った。確かに、この世界では馴染みのない物が多い気がする。入り口の近くにある物も、風呂敷とか、筆とか、この世界では見られないものばかりだ。すごく懐かしい!親戚の家に行った時によく見ていたような気がする。元気にしてるかな、と私は家族と親戚に思いをはせた。

「たぶん、ここ、異世界の物を売ってるお店だよ。だって、巾着袋とか、手ぬぐいとか色々あるみたいだし。ね、ここ、入ってみてもいい?私の知ってるものが色々ありそう!」

「やっぱり。そう言うと思った。まだ時間はあるし、別にいいけど。ただ、俺はどれがどういう物かさっぱり分からないから、時々説明よろしく」

「もちろん!って言っても、上手く説明できるか分からないけどね。でも、きっと、面白い物が色々あるはずだから!それに、中にはこの世界にある物と似ているのもあるんじゃないかな?」

私は早速、お店の中に入った。本当に和風のものがたくさんある。中には神社で売っているようなお守りもあった。でも、何でこんなに、元の世界の物があるんだろう?後で店員さんに聞いてみよう。そう思いつつ、お店の中の商品を見てみる。さっきから気になっていた、万華鏡を手に取った。穴から丸い筒の中を覗き、くるくると回してみる。模様が色々と変化していく。…すごい、本当に万華鏡だ!まさか、こんなにクオリティーが高いとは…。私が感動していると、ルイが何かを持ってやって来た。

「これって袋…、なのか?それにしては、色が明るいし、すごく凝ったデザインだけど。ってか、どうやって開けるんだ、これ?紐を引っ張っても何ともならなかった…」

袋??…あ、巾着袋だ!私のおばあちゃんがよく使ってたな…、と思い出した。あと、お弁当を入れるための袋も、口の部分がそんな感じになっていた…。元の世界では日常的に使っていたな。

「これは、紐じゃなくて、ここの口の部分を外に向かって引っ張って開けるんだよ。で、閉じるときは、紐を引っ張れば良いの。中の物が出てこないからけっこう便利だよ!」

私はそう言って実際にやってみせた。何故かルイはすごく感動していた。こっちの世界の人からすると、画期的な物なのかもしれない。そして、開け閉めを繰り返して、「すごいな、これ…」とつぶやいていた。確かに、あると便利だよね。というか、ルイの反応がすごく可愛い…。まるで、新しい発見をした子どもみたいだ。そう思って私はルイに気付かれないように笑った。気付かれたら、何で笑ってるんだ、って言われそうなので。…と、店員さんが私に話しかけてきた。

「あなた、よく巾着袋のこと、知ってたねー。黒髪だし、もしかして、あなたも、異世界から来た子なの?そうだとすると、久しぶりに同じ世界から来た子に会うなー」

「あなたも…、ってことは、店員さん、異世界から来たんですか?」

実は、さっきお店に入った時、私は店員さんの髪の色が黒色だと気付いていた。けど、この世界の人でも黒髪の人はいるから、あまり意識してなかったんだけど…。まさか、同じ世界から来た人だったとは…。まだ私は実際に会ったことがほとんどないけど、意外と異世界からこの世界に来る人って多いんだな…。

「そうそう!あたしは、リン。漢字だと、鈴って書いて、リンって読むんだー。ちなみに、あたしの仕事は物を売ること。ここの商品はほとんど全部、あたしが作った物なんだよー。時々、知り合いの日本人にも手伝ってもらってるけどねー」

どうやら、元の世界でもリンさんはこういう雑貨を作って売っていたらしく、その技術を使ってこういう物を作っているそう。こういう、人がたくさん集まるところで物を売って、生計を立てているらしい。そして、リンさんは一つ、気になることを言っていた。それは、「知り合いの日本人」という言葉だ。この言葉から推測するに、この世界には私が知らないだけで、まだまだたくさんの日本人がいる、ってことだろう。なので、聞いてみることにした。

「あの、リンさんは、今までに何人くらいの日本人に会ったことがあるんですか?」

すると、リンさんは少し考えた。指で一、二、三……、とカウントしている。しばらくしてから、こう答えてくれた。

「あたしが今、思い出した数だけで言うと、十五人くらいかなあ。実際はもっといると思うよ。だって、あたしが知ってる人も、その人はその人で日本人の知り合いがいるわけだもの」

そんな感じで話をしているうちに、かなり時間が経ってしまい、一旦お店に戻らなければならない時間になってしまった。私は万華鏡を買うことにした。元の世界では、私の部屋の引き出しに丁寧にしまってあるけど、この世界では持っていなかったから欲しくなってしまった。

「来年もまた、この街に来るつもりだから、良かったらまた来てねー!」

別れ際、リンさんはそう言って大きく手を振ってくれた。来年、またリンさんに会えるのが楽しみだな。

「…あ、ルイ、ごめん、結局、ちゃんとお店に入ったの、あそこだけだった。しかも、こっちだけで盛り上がってたし…。絶対、その間、暇だったよね…?」

「まあ、確かにそうだったけど。でも、色々見れて面白かったから良かった。結花も、異世界から来た人と話せて良かったな。ってか、さっき買ってたあの筒、何に使うんだ?くるくる回してたけど…」

「あー、これ?万華鏡?これはね、この中に鏡とビーズが入ってて、回すと模様が変化してすごく綺麗なんだよ。ここの穴から中を覗くの。面白いよ」

そう言って私は買ったばかりの万華鏡をルイに手渡した。ルイは、最初は不思議そうな表情でそれをじーっと見ていたが、やがて万華鏡を使い始め、その綺麗さに驚いていた。そして、こうつぶやいた。

「異世界って、色々すごいものがあるんだな…。びっくりした」

そんなことを話しながら、私たちはお店に戻った。お店では、ジェシカたちがのんびりとしていた。どうやら、午前中はどこにも行かなかったみたい。ジェシカは私たちが帰ってきたのに気付いて、楽しそうに笑った。そして、一旦小屋に戻った私と二人きりになった時、こう尋ねてきた。

「どうだった、お祭り?というか、デート?感想教えて!」

で、デート……!??何でそうなった?デートってそもそも、恋人同士がするものでは??私とルイは恋人ではないはずなんだけど!?なので、言ってみることにした。

「ジェシカ、たぶん、今のはデートじゃないよ?デートって、付き合ってる人たちがするものじゃ…?」

「そうかな?でもでも、二人ともすごく雰囲気がいい感じだったよ!それに、ルイは結花の好きな人なんだし、別にデートでも良くない?」

な、何言って!!?というか、微妙に結論が雑な気がするんだけど…。あー、何だか話していて、デートの定義がよく分からなくなってきた!頭の中が混乱している。…って、あれ??今気づいたんだけど、もしデートの意味がジェシカの言う通りならば…。

「それなら、ジェシカもゼンさんとデートしたことになるんじゃない?ジェシカの好きな人って、ゼンさんだよね?ということは、一日目と二日目、一緒に回ってたから、つまり…、そういうことになるんじゃないかな?」

「あ…、あああああ!そういうことになるね!?…ちょっと待って、わたし、今、かなり混乱してるんだけど。…と、とりあえず、この問題は一旦置いておこう、うん、そうしよう。その方が絶対平穏だよね!」

…ゼンさんが言ってた、ジェシカの言動には隙がありすぎる…、ってつまり、こういうことなのかな?結局話がうやむやになっている…。すると、庭の方からルイの声が聞こえてきた。

「結花、そろそろ行かないと、時間がぎりぎりになる。あと十秒で来なかったら置いてくからな」

十秒…。何とも言えない数字だな…。急がないと。私は慌てて、ジェシカに言った。

「それじゃ、行ってくるね!」

「行ってらっしゃーい。大変なことになるかもしれないけど頑張ってねー」

ジェシカはそう言って明るく私に手を振ったが、言ってることが何か不吉なんですけど!?ちょっと不安になったが、少し考えた末、まあ、なるようになるかな、という、大雑把な結論を出し、私は小屋の外へと出た。すると、私を待っていてくれたルイが言った。

「ちょうど十秒だったな。じゃ、行くか」

いつも通りだな…。そう思いつつ、私はその後を追いかけた。

最近、万華鏡が欲しいな…、と思っているのですが、近くに万華鏡を売っている店がなくて、結局買っていません…。

読んで下さり、ありがとうございました。

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