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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
四章 異世界花屋とお祭り ー当日編ー
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第六十九話

二日目編の最終話です。

お店に戻った後、私はメアリさんに真っ先に謝った。でも、メアリさんは、

「全然構わないわ。それに、千智とお花を売ったことがあったので、懐かしかったですし」

と、言って下さった。お優しい…。メアリさんは、しばらく、千智さんとの思い出話をしていた。ルイは興味津々にその話を聞いていた。どうやら、千智さんは活発な性格だったらしく、時々、お屋敷を抜け出して街に行っていたらしい(!?)。そして、花の種を仕入れてきては、屋敷の庭などでこっそりと育てていたそうだ。しかも、こっそり抜け出す技術がすごすぎて、誰も気付いていなかったようだ。唯一、それを知っていたメアリさんでさえ、いつ抜け出していたのか、一度も分からなかったそうだ。その話を聞いて、勝手に庭にお花を植えちゃっていいの?!と心配になってしまった。それに、ばれなかったとは言え、抜け出すのってダメだよね!?ルイもそれを聞いて驚いていた。メアリさんも時々花を植えるのに付き合わされたらしく、大変だったのだと言う。でも、そう言いつつも、メアリさんはとても楽しそうで、そして、どこか悲し気な様子だった。今は千智さんがいないので、手入れを誰もせず、庭に植えた花たちが荒れ放題になっているそうだ。ひどすぎて、庭師も手をつけられないのだそう。そんなにひどいんだ!?と驚いた。でも、千智さんがお屋敷を出たのって、そこそこ前だし、荒れ放題になっててもおかしくないのかもしれない。

「ちなみに、そこにはどんな花が植えられていたんですか?」

「そうですね…。確か、ハーブが多かったはずです。ハーブティーはリラックスできるから好きなんだ、って言っていました。そういえば、何回か千智がハーブティーをくれましたけど、確かにとても穏やかな気持ちになれたような気がしました。もう、随分前のことに思えるわ…。ハーブティーがとても懐かしい…」

メアリさんは懐かしそうに語ってくれた。やっぱり、千智さんとメアリさんは、本当に仲のいいお友達だったみたい。そして、メアリさんは別れ際にこう言った。

「それでは二人とも、どうかお元気で…。明日は色々、気をつけて下さいね。遠い異国からですが、応援しています。…あ、それと、結花さん」

ちょこちょことメアリさんに手招きされたので、私はメアリさんの近くに寄った。何だろう?と思っていると、メアリさんは私の耳元でこそこそとささやいた。

「結花さん、自分の気持ちには、素直になった方がいいですよ。そうじゃないと、後悔してしまいますから。…では、また来ますね」

…!!私は絶句した。メアリさんはそんな私を見て、にっこりと微笑みながら去っていった。な、何でばれてたんだろう!?それに、いつ気付いたんだろう…。もしかして、私ってけっこう分かりやすいのかな?!私はしばらく、メアリさんのその言葉に動揺していたのだった。しばらく、私は分かりやすいのかどうかを考えていたのだが、自分ではよく分からないので、ルイに聞いてみることにした。

「私って、感情とかが表情に出やすいと思う?」

「急にどうしたんだよ?別に、普通だと思うけど。基本的には分からないけど、分かるときは分かる、みたいな?たぶん、そんな感じじゃないか?」

と、微妙すぎる回答をもらった。普通って、一体……?いいのか悪いのか…。結局、私は感情とかが表に出やすいのかどうか、という疑問の答えは出なかった。


夕方が近付くにつれて、私はそわそわし始めた。何故かというと、カメメロンパンに会えるのが楽しみだからだ。ようやく食べられると思うと、すごく嬉しい。でも、また売り切れてたらどうしよう…。それが心配。まだ残ってますように…、と私は心の中でお祈りした。でも、大丈夫かなー…。一方、ルイは、さっきから落ち着かない私を不審に思っているらしく、ちょっと私から距離を取っていた。ひどい…。でも、そういえば私、ルイにカメメロンパンの話をしていなかったような気が…?なので、私は説明することにした。

「あのね、午前中、パン屋さんに行ったんだけど、カメメロンパンが売り切れてたの。そしたら、パン屋さんの人が、また作ってる、って言ってくれたんだ。だから、お店が終わった後で取りに行くつもり」

「あー、そういえば前、言ってたな。でも、人すごいし、売り切れてないといいな」

そこなんだよね…。と、お店にお客さんが入ってきたので、私たちはそのお客さんの対応をした。どうやら、このお客さんも、恋人さんへの贈り物を買いに来たみたい。やっぱり、贈り物を買う人、多い…。お祭りってそういう行事だったっけ?と、思ってしまう。元の世界の、クリスマスみたいだなー。そういえば、何で日本ではクリスマスって、恋人と過ごす日、みたいなイメージがあるんだろう…?…って、話が脱線してる!!どうでもいいし、私には関係ないし…。私は、思考をお店の方に戻した。すると、お客さんは楽しそうにお花を選んでいた。真剣そうに、でも、幸せそうに…。お花の力って、すごいと思う。あるだけで、その場所を彩り、見る人の心を和ませることができる。もしかしたら、私は、それが好きだから、お花を育てることが好きになったのかもしれない。

「すみません、このお花をお願いします!」

お客さんがそう言った。私はお客さんの言ったお花を筒から丁寧に引っ張りだした。雑に取りだしたら、ちぎれそうなので…。すると、ルイがこっちに手を伸ばして言った。

「それ、俺が包むから貸して。結花は、会計の方、頼む」

「了解。じゃあ、これ、お願いします」

私はお花をルイに渡した。が、その拍子に私の手がルイの手に触れた。わ…っ!!?まさか、ぶつかるとは思ってなくて、私は慌ててぱっとお花から手を離した。しかし、まだちゃんとルイがお花を持っていなかったため、お花が床に落ちかけた。ぎりぎりのところで私がつかんだので、落ちなかったけど…。私は、改めてルイにお花を渡した。すると、少し呆れたような表情をされてしまった。

「お前な…、危なすぎるだろ…。ぎりぎり取ったから良かったけど。それとも、疲れてるのか?」

「ううん、全然疲れてないよ!というか、疲れてたらあんなに素早くお花をキャッチできなかっただろうし」

ルイは、それもそうか、と言うようにうなずいて、お花を丁寧に巻き始めた。相変わらず、巻き方が美しい…。そして、早い。もし、どれくらい綺麗に包装できるか?っていう競技会があったら入賞しそう…。どうやったらそんなに綺麗に包装できるんだろう?と観察していると、ルイに軽くにらまれてしまった。

「そんなじっくり見られてると、やりづらい。それと、見てる暇があるなら、さっさと会計しとけ」

気になるなー…、と思いつつ、私は会計することにした。慎重に、お花の筒に書いてある数字を読み、計算した。そして、その金額を言う。たぶん、合ってるはず…!でも、最近はかなり数字に慣れてきた。たぶんルイが包装して、私が会計する、っていう感じになることが多いからだと思う。たまには包装もしたいんだけど、ルイはそっちをほとんどやらせてくれない。たぶん、私が数字に慣れるようにするためだと思うんだけど…。そんなことを考えつつ私がお客さんにお釣りを渡していると、ルイが言った。

「よし、できた。これ、どうぞ。ありがとうございました」

と、お客さんにお花を渡す。リボンの結び方が綺麗すぎる…!とても本格的だ。やっぱりすごい…。改めてそう思った。


夕方。お店の時間が終わり、片づけなどを済ませた後で、私はパン屋さんに行くことにした。楽しみ、すごく楽しみ!!そして、何故かルイも一緒だ。本人曰く、私がはしゃぎまくってるから、色々な意味で心配なのだそう。一応、周りにはちゃんと気を遣ってるんだけどな…?そう思いつつ、とことこ、パン屋さんへと向かう。しばらく歩くと、パン屋さんを見つけた。果たして、あるのだろうか…?

「こんばんはー!カメメロンパン、ありますか?あったら、二つ下さい!」

私がそう言うと、女の人はにこにことして、カメメロンパンを袋に入れてくれた。まだ残ってたみたい!私は、張り紙にある代金を支払った。

「もうちょっとで売り切れるところだったから、ちょうど良かったね。はい、これ。まだちょっと温かいはずだから、冷めてるよりは美味しいと思うよ」

そう言って女の人はパンが入っている袋を渡してくれた。そっと中を覗く。そこにいたのは、可愛いカメさん…!!すごく可愛い!顔のところの目がくりくりしてて、チャームポイントになっている。そして、カメさんには二つ種類があって、甲羅から顔だけちょこっと出している物と、顔も手も足も、全部出している物があった。どっちも可愛い。可愛すぎて食べられないかもしれない…!もうちょっと観賞していることにしよう。…でも、食べるときは、どっちから食べようかな??なんて考えつつ観賞していると、ルイと女の人の話し声が聞こえてきた。

「あんたは何も買わなくていいのかい?今の時間は、売れ残るのが嫌だから、いつもより安くしてるけどどうする?」

「商売が上手いな…。…じゃあ、クロワッサン、一つ」

この時間になってくると、帰るお客さんもいるだろうし、お客さんを呼び込むのが大変そう…。そう考えつつ、私はカメメロンパンを食べた。とりあえず、隠れていない方。…わ、美味しい!ザラメがざくざくしていて、食感が面白いな。そんなことを思っているうちにあっという間に食べ終えてしまった。悲しい…。この感じだと、もう一つもすぐ食べ終わっちゃいそう。そう思いつつ、二つ目のパンを手に取った。

食べ終わった後、周囲を見渡したら、ジェシカとゼンさんを見つけた。二人とも、仲が良さそう…。そして、何か手に色々持っている。…ジェシカたち、午後は一体何をしてたんだろう?ちょっと不思議に思った。すると、ジェシカが私たちに気付いて手を振った。かと思うと、こっちに向かって走りだそうとしたので、慌ててゼンさんが止めていた。

「ジェシカ、ここ、公共の場だから走っちゃダメ。子どもじゃないんだからさ…。少しは周りにも気をつけなよ」

「ごめんごめん、だって、結花たちがいたんだもん。嬉しくなっちゃって。次から気をつけるね!」

「…って言って、いつも全然気にしてない気がするんだけど、気のせいかな?」

「……。うーん、た、たぶん、気のせいだよ!うん、絶対気のせい」

と言いつつ、ジェシカの目が泳いでいる。ちょっと怪しいな、と思っていると、ジェシカが私の方を見ていたずらっぽく笑った。

「ね、これから、一緒に屋台回ろうよ!ここにいるってことは、お店はもう終わったんでしょ?」

「うん、回ろう。…ところで、質問なんだけど、その荷物は一体?」

すると、ジェシカは何故か目を逸らした。…?すると、ゼンさんが説明してくれた。

「魔法協会の人へのお土産的なものです。どうやら、ジェシカが知り合いに色々と頼まれていたらしくて、今日はずっとその買い物をしてたんですよね…」

ゼンさんが少し苦笑いしている。ジェシカはごまかすようにてへ、と笑って、私の腕を引っ張った。早く行こう、ということらしい。私たち四人は、歩きだした。

次回は番外編の予定です!その後は、いよいよ、三日目編に入っていきたいと思います。

読んで下さり、ありがとうございました。

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