表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の異世界花記録  作者: 立花柚月
四章 異世界花屋とお祭り ー当日編ー
68/139

第六十三話

背景の色を変えてみました!

「わああ、射的だ!!あたし、毎年ここで遊んでるんだよね!」

ネネがすごくはしゃいでいる。今にもぴょんぴょん飛び跳ねそう…。本当に射的が大好きなんだ…、と思った。私は本当に苦手で、元の世界で一回も当てたことがないので、端っこの方に寄る。…が、すぐにネネにばれてしまった。不思議そうに、ネネが尋ねてくる。

「結花?何で端っこに寄っちゃうの?一緒にやろうよー。あ、もしかして、やったことない?」

「あるけど、ものすごく下手だから遠慮しておきます……!絶対に無理です…」

「…何で敬語?というか、大丈夫だよ。遊びなんだし、別に失敗したっていいじゃん!ね、だからやろうよ。絶対に楽しいから!!」

ネネがじーっと私を見つめる。そこまで言われると、何だか断れなくて、結局、私も射的をすることにした。何か不安…。そもそも、銃の使い方がよく分からないんだけど…?すると、ジェシカさんが目をキラキラさせて、私たちに言った。

「すっごく楽しそう…!ねーねー、わたしからやってもいい?」

私たちがうなずくと、ジェシカさんは早速、料金を支払って、射的用の銃を手にした。ジェシカさんは何故かしばらくじーっとそれを見つめた後、手でくるくると回していた。

「えーと…、どうやるんだっけ?久しぶりだから自信ないんだけど…。確か…、こんな感じだったっけな?というか、どれを狙おう?やりたい、とは思ってたけど、何が欲しい、とかはないんだよね…」

なんてぶつぶつ呟きつつ、ジェシカさんは腕をまっすぐに伸ばし、引き金を引いた。…と、その瞬間、パタン、と景品棚の何かが倒れた。早…っ!というか、一発で倒した!!?す、すごすぎる…。隣でネネがこれ以上ない、ってくらい、目を丸くしている。ジェシカさんも、一発で当たるとは思っていなかったのか、目をぱちくりさせていた。

「ちょ、ちょっと待って!今の、本当にわたしが倒したの?風が吹いたから倒れた、とかそういうのじゃないの!?すごく不安なんだけど…」

さすがに風で物が倒れることはないと思う…。お店の人は、ちゃんとコルク栓が物に当たったところを見ていたらしく、落ちた景品を拾ってジェシカさんに渡した。その景品を見たジェシカさんが何故か嬉しそうな表情になって、それを私たちに見せた。

「ね、これ、すっごく可愛い!!前に持ってたくまちゃんに似てる!!」

ジェシカさんの手の中にあった物。それは、くまのぬいぐるみだった。確かにくりくりの目がものすごく可愛い。しかも、ふわふわしてて、触り心地が良さそう…。思わずなでなでしたくなる。

「良かったね、ジェシカ!というか、よく一発で当てられたね。魔法でも使った?」

「ちょっ…、ネネ、魔法に関しては大きい声で言っちゃダメ!それと、魔法は使ってないよ。そもそも今、魔法の花自体、持ってないもん」

ジェシカさんは小さい声でそう言って、ネネに射的の銃を渡した。ネネはそれを受け取って、お店の人にお金を渡した。そして、景品棚をきょろきょろと見て、首をかしげる。

「うーん…。何がいいかなー。…って、嘘、あんなところにすごいものが…!少し小さいけど、あれにしようかな!」

ネネは、まっすぐと景品棚を見つめた。そして、引き金を引く。…が、コルク栓は景品には当たらずに、後ろの壁に当たって地面に落ちた。

「当たらなかった…。まあ、でも、あと何回かできるし、たぶんいけるはず…?」

ネネはすぐに気持ちを切り替えて、再び銃を構え、引き金を引いた。…が、それは、景品をかすめて後ろの壁に当たった。景品は倒れない…。その後、もう一回やったが、結局、商品は倒れずに終わってしまった。ネネがしょんぼりとしている。

「うう…。当たらなかったよー。もうちょっとでいけそうだったんだけどなー…」

「そもそも、ネネ、何を狙ってたの?コルク栓が飛んで行った方向からすると、左の方の物だよね?」

私がそう尋ねると、ネネはうなずいて、とある物を指さした。

「あそこに、小さくて、青い箱があるでしょ?あれが欲しかったんだよね。たぶん、あれ、トランプのカードが入ってるんじゃないかな?」

すると、ネネのその言葉に、ジェシカさんが不思議そうに反応した。

「トランプ…って?何それ?聞いたことないんだけど…、すごいものなの?というか、小さくない?!」

…ちょっと待って、もしかして、この世界にはトランプというものが存在してないの?かなり衝撃的なんだけど…!確かに、この世界で一回もトランプを見たことはなかったけど、存在していないとは思っていなかった…。私がかなり驚いていると、ネネが言った。

「結花、驚きすぎ…。まあ、あたしも、トランプがない、って知った時はすごくショックを受けたけどね…。トランプって言うのは、ゲームに使うカードで、色々な遊びができるんだよー。まさか、こんなところで見つけるとは思ってなかった。お祭りって、たまに異世界の物を見つけられるから楽しいんだよね!」

「でも、この世界にはないトランプがどうしてここに?しかも、景品になってるし…」

ジェシカさんが首をかしげてそう言った。…確かに、ジェシカさんの言う通りだ。この世界にはないはずの物が、なぜここに…?もしかして、異世界から来た誰かが持ってたものなのかな??すると、ネネがお店の人にかなりストレートに尋ねた。

「すみません、このトランプってどこにあったんですか?異世界の物ですよね?」

「あー…。知り合いに異世界から来た奴がいて、そいつが作ってるのを買っただけだ。ってか、ここにある景品、全部そいつが作った。何でも、異世界の文化を色んな人に知ってほしいんだとよ。お嬢ちゃんこそ、よくこれが異世界のものだと知ってたな」

「え?…あー、そうですね。その…、何か、異世界に関する本で読んだことがあったので!」

と、ネネはごまかした。そして、不意にくるりと私の方に向き直って、言った。

「結花、お願い!一生のお願いだから、あのトランプ取って!あたしじゃダメそうだから…」

「無理無理!絶対に無理!それに、もし誰かに頼むんだったら、ジェシカさんの方がいいんじゃない?さっきだって一発で取れてたし。そもそも、私、一回も射的で栓が当たったことがないんですけど…!」

そう言ってジェシカさんを見たが、彼女は苦笑いして、無理、と言うように手を振った。

「あれはまぐれだよ。もう一回同じことやって、って言われても絶対に無理だもん。大体、あれ、小さすぎるし。それに、結花はまだ、射的やってないでしょ?…ということで、頑張ってね!」

まとめ方がちょっと雑…!しかし、これ以上反論してもネネたちにことごとく言い返されそうな気がしたので、私は、抵抗するのを諦め、ネネに言った。

「トランプに当てられなくても、恨まないでね…!」

「はーい。結花、頑張ってね!後ろでジェシカと応援してるから!!」

二人が後ろで、「頑張れー!」と、言い始めた。いや、それ、逆にプレッシャーなんですけど…!それに、応援してくれること自体はありがたいんだけど、それによって気が散りそうな気がするのは、気のせいだろうか…?って、そんなこと考えてないで、とりあえず代金を支払って、やらなければ。お財布の中から慎重に紙幣を取り出した。未だに間違えそうで、少し怖い…。普通の人の数倍の時間をかけて紙幣を選んで取り出し、お店の人に渡した。そして、銃をそーっと手にする。な、何かすごく緊張するんだけど。指先が少し冷たく感じる。…というか、これ、遊びのはずなのに、何でこんなに緊張するんだろう??私は、気楽に気楽に…、と心の中で唱えつつ、銃の先を、トランプの方へ向けた。そして、そっと引き金を引いた。…が、変なところに飛んで行ってしまった。

「あー…、全然違うところに行っちゃった…」

ネネがすごく残念そうに言った。残りは、確か、あと二回。うう…。当たる自信が全く無いのだけど。すると、ジェシカさんが私にアドバイスをくれた。

「結花、今、手がちょっとぶれてたから、もう片方の手で固定した方がいいかも!そしたら、けっこういい線行くんじゃないかな」

私は言われた通りにやってみた。確かに、さっきよりも安定している。再び、銃を撃った。…と、今度は、栓はトランプの真上を通過していった。惜しい…。でも、こんなに景品の近くを撃てたのは、初めてかもしれない…!私は少し感動した。…けど、残り、一回が残っている。緊張感がものすごく高まっている気が…。とりあえず、さっきみたいな感じで行こう。ちゃんと、狙いを定めて、手を固定して…。私は、トランプの箱をにらむように見つめた。引き金を、引く。

箱が、落ちた。

「結花、すごいよ!すごい、本当にすごい!!まさか、最後の一回で落とすなんて!ありがとう、結花」

ネネがぎゅっと私に抱きついた。すると、お店の人が、私に箱を手渡してくれた。そして、言った。

「さっきの気迫、すごかった。一瞬、圧倒されちまったよ」

そんなにすごかったの…?自覚が全くないのだけど。私は、そう思いつつ、ネネにトランプの箱を渡した。しかし、ネネは一瞬戸惑ったように私を見た。

「本当に、私がもらっちゃっていいの?せっかく、結花が取ったのに…」

「うん、大丈夫。でも、大切にしてね。…あ、それと、ジェシカさん、アドバイス、ありがとうございました。おかげ様で、ちゃんと当てることができました!」

ジェシカさんは少し照れくさそうに笑ったが、ふと真面目な表情で言った。

「それじゃあ、結花、一つ、わたしのお願い、聞いてもらってもいいかな?」

「お願い…ですか?私にできることなら、いいですよ」

ジェシカさんは少し間を開けてから、そのお願いの内容を言った。

「あの、その、できれば、でいいんだけど…、わたしのことも、ネネみたいに、呼び捨てで呼んでくれると嬉しいかな、って。あ、あと、ため口も…」

いつもはっきりと物事を言うジェシカさんが、珍しく、どこか曖昧な感じだ。

「それじゃ、今からそうするね、ジェシカ」

ずっとさん付けだったので、少し言い慣れるのには時間がかかりそうだけど、いつかは慣れるだろう。

「うん!ありがとね、結花!」

ジェシカは、嬉しそうにそう言って笑った。

本当は二日目の午前中編をここで終わらせたかったのですが、びっくりするほど長くなってしまったので、分けることにしました。…と言っても、かなり半端なところで終わらせてしまったので、恐らく、次回は、二日目の午前中&午後の初め編になると思います。


読んで下さり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ