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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
四章 異世界花屋とお祭り ー当日編ー
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番外編 魔法使いとお祭り

今日は番外編です!ジェシカ視点のお話になっています。

わたしは今、シェーロン国にいる。シェーロン国というのは、山に囲まれた国で、農業がさかん。しかも、この国の野菜は高品質なので、国外でもよく売られている。本っ当に美味しいんだよ!魔法協会ではほとんど食べる機会がなかったけど、今は毎日食べられるから、本当に幸せ。このまま永住したいくらい…。まあ、そんなこと言ったら、ゼンに怒られそうなんだけど…。そもそも、ここに来た理由は、お祭りを楽しむためだから…。


「わー!すっごい人の数!!さすがお祭りだね!」

お祭りの会場の近くに来たわたしは思わずつぶやいてしまった。どこを見ても、人ばかり。すぐに迷子になりそう。案外、ゼンの心配も的外れではなかったみたい。

「やっぱり、ゼンと一緒に来れば良かったかなあ…」

一応、午後に会う約束はしてるんだけどね…。


今から一時間ほど前のこと。結花がアケビさんたちと一緒にお祭りに行った後、ルイはなぜか、自分の部屋に引きこもってしまった。どうやら、お祭りに行くのが面倒らしい。でも、そんなこと言うなら、とっくのとうにお店の経営だって面倒になってるはずだよ!とつっこみたくなった。恐らく、結花がいないから、寂しいのだろう。結花が出かけるときも見送ってたし。意外と子どもっぽいな、と思ってしまった。しかし、せっかくのお祭りなんだし、外に出た方がいいだろう。そんな結論に至ったわたしたちは、ルイを外に出そう作戦をすることにした。ちょこっと魔法を使って、ルイの部屋だけ電気を消してみたり、物を浮かせたりした。作戦、という割には半分遊んでいた気がする。その甲斐あって(?)ルイは部屋から出てきてくれたんだけど、問題はその後。午前中、どうするか、という話になったのだ。結局、午前中はルイとゼンが一緒にいることになって、わたしは一人でお祭りを回ることにしたんだけど…。

「やっぱり、一人じゃつまらないなー…」

ネガティブな気持ちで埋め尽くされそうになったわたしは、慌てて首をぶんぶん振った。そんなこと思ってる暇があったら、色々楽しそうなお店を回ってみよう。そしたら、後でゼンや結花と一緒に来る時、絶対に楽しいはずだから。気を取り直したわたしは、人ごみの中に足を踏み入れた。


きょろきょろしながら、あちこちを回る。お店がいっぱいすぎてどこから入ればいいのか分からない。…と、そこでわたしはある物を見つけた。

「うわー!超新鮮そうな野菜だー!!」

美味しそう…。でも、ついつい周りをぱぱっと確認してしまう。だって、ゼンによく食い意地がはってる、って言われるんだもん…。その度にすごく悔しくなる。確かに、食べることが好きなのは事実だけど!だからってわざわざ言わなくていいと思う!とりあえず、ゼンはいなさそうなので、ほっとした。わたしは、再び野菜に目を向ける。この野菜を使って何か作りたい…。でも、買ってしまったら荷物が重くなっちゃいそうだよね…。うーん…、また今度買おうかな。そんな結論に至ったわたしは、更に他のところも見るために再び歩きだした。

しばらく歩くと、雑貨屋さんを見つけた。ただ、他のお店のようなテントではなく、普通の建物。外から店内を見てみると、大量の商品…。もしかしたら、テントだと商品を置ききれないからお店のまま販売しているのかも。そんなことを思いつつ、わたしはそのお店に入った。…って、意外と広いな、ここ。そして、色々と置かれている。中には、うっすらと魔法の気配がするような商品もあった。基本的に魔法は既に滅びているから、こういう商品は本当に珍しい。このお店の店主さん、目利きだったりするのかな?すると、お店の人が話しかけてきた。

「お嬢さん、そちらの商品が気になるんですか?」

「はい。とても綺麗なガラスのうさぎさんですよね。どこでこれを?」

「これは、ずっと昔から僕の家にあった物なんですよ。このうさぎのここを触ると…」

そう言ってお店の人は優しくうさぎの背をなでた。すると、うさぎがゆっくりと動き出した!そして、ぴょこぴょことその場で跳ね始める。しかし、しばらくすると、うさぎは動きを止めてしまった。すごい!今でも動く魔法仕掛けの物ってめったにないのに!本当にすごい!

「お嬢さんはこういうのを怖がらないんですね。大抵の客はこれを見ると、恐ろしく思うようですが…」

「全然!むしろ、こういうの大好きです!」

それに、魔法協会にはもっと怖いのがあるし。そもそも魔法協会自体、超危険な仕掛けが大量だし…。協会に入ってからそこそこ年月が経ったけど、今でも時々罠にはまりかけるもの。ゼンは、全く罠に引っかからないのに…。そのせいで、ゼンによく呆れられている。でも、何だかんだ言って、そういう時にわたしを助けてくれるゼンは優しいな、と思う。

「よろしければ、こちら、差し上げましょうか?どうせ、買う人はいないですし…」

「え、でも…。そしたら利益がなくなっちゃいますよ。むしろ、赤字ですよ?」

「いいんですよ。お祭りなので、特別です。それに、あのうさぎ、普段はあんなに跳ねないんですよ。あんなに跳ねたのは、あなたが初めてですから」

そう言って、お店の人はそのうさぎを奥の方へと持って行った。わたし、まだ返事してないんだけど…。でも、うさぎさん、可愛いからいいか。若干雑な考えに行きついたわたしは、他の商品も見てみることにした。ここでは、アクセサリーも売っているみたい。可愛いなー。ペンダントとか、イヤリングとか、色々売っている。しかも、デザインがとても綺麗。このアクセサリーは誰に似合うかな…、と考えていたら、さっきのお店の人が戻ってきた。そして、小さい袋を渡してくれた。

「ありがとうございます…。でも、店長さんに怒られないですか?」

すると、お店の人はちょっと笑って、こう答えた。

「大丈夫です。店長は僕ですから。それに、店員も僕だけなので。ここは、完全に趣味のお店なんです」

と、その時だった。お店のドアが開いて、誰かが入ってきた。そっちを見て、わたしは驚いた。向こうもわたしを見て驚いたらしく、一瞬固まっていた。

「何でジェシカがここにいるんだよ…」

「別にわたしがどこにいようが、わたしの勝手だもん。というか、そっちこそ何で?そもそも、ルイ、あなた、ゼンと一緒にいたはずじゃないの?ゼンは?まさか、置いてきたとか言わないでしょうね?」

そう、そこにいたのは、ルイだった。しかし、一緒にいるはずのゼンがいない。

「ゼンは、向かいにある本屋で本探ししてる。ヴェリエ国では売ってない本を買いたいらしい」

いかにも真面目なゼンらしい行動だ。お祭りの日くらい、本から離れればいいのに…。

「ルイは何でここに?何か買いに来たんだよね?どんなの買いにきたの?」

私が矢継ぎ早に質問すると、ルイは黙った。…??言いたくないのかな?

「まあいいや。それじゃあ、わたしはゼンのところに行って遊んでこようかなー。…見せたい物もあるし」

「見せたい物…?びっくり箱とか?」

怪訝そうな、そして、少し引いているような表情でそう言われた。失礼な。可愛いうさぎさんを見せるだけなのに!

「違うよ!!わたし、そこまでいたずらっ子じゃないんだけど…!?それに、前にそれやったら、すごく怒られたし。確か、ゼンが何かの実験をしてた時かな?わたしが驚かせたせいで、分量がおかしくなっちゃったみたいで」

「…そりゃ、怒られるな。…ってか、分量変わったのに、よく無事だったな」

わたしは曖昧に笑った。実はその後、分量がおかしくなったせいで実験が失敗してしまい、魔法協会が爆発しかけて、隊長にも怒られてしまったのである。あの時の隊長が一番怖かったなあ…。懐かしいけど、できれば思い出したくない記憶だ。そんなことを考えながら、そのお店を出た。機会があったらこのお店にまた来たいな…。

ゼンの姿はすぐに見つかった。だって、目の前のテントの中にいたんだもん。わたしはそっとゼンに近寄った。実験している最中じゃないし、驚かしても怒らないだろう。…が、あと数歩!ってところで、ゼンがわたしの方を見た。…ば、ばれた!ゼンはちょっと呆れ顔になる。

「やっぱり…。ジェシカだと思った。絶対驚かせる!って感じの気配がすごかったから、すぐ分かった」

「うぐ…。数年前までは全然気付かないで驚いてたくせに…!悔しい…!」

「誰かさんがよく僕のことを驚かせてきたから、そのおかげで敏感になったんだよ。恨むなら、その人を恨んでね」

自分で自分を恨む、って…。普通に無理なんだけど…?というか、すごく悔しい!前までは、驚かし甲斐があったのに、今は余裕の表情でわたしに気付くんだもん…。何か新しい作戦考えないと…。

「そういえば、何でここに?そもそも、今までどこにいたの?」

不意にゼンにそう聞かれた。

「野菜のところと、それから、そこの雑貨屋さん。さっき、ルイに会って、ゼンがここにいるって聞いたの。そういえば、ルイ、何で雑貨屋さんに入っていったんだろう?聞いてみたんだけど、答えてくれなくて…。ゼンは何か知ってる?」

わたしがそう聞くと、ゼンはちょっと微妙そうな顔をして言った。

「まあ、知ってるけど…。でも、ジェシカが知ったら、普通に言っちゃいそうだしなー…」

「言わないって!だから教えて!お願い」

ゼンはちょっと迷っていたが、結局教えてくれた。

「今朝、結花さんのゴムが切れたよね?」

「うん。下ろしてる方が可愛いのに、本人はすごく結びたそうにしてたよね。で、それがどう関係してるの?」

「それで、結論から言うと、それの代わりになる物を探しに来た、って感じかな?」

え、そうなの!!?衝撃を受けた。つまり、プレゼント?いや、でも、まさかそういう意図があったとは…!だから、言いづらそうにしてたんだ。納得。

「そういうことだから、結花さんには絶対言っちゃダメだよ。そこのところ、よろしく」

「言うわけないでしょ。…でも、大丈夫かな。どの場面で、どう言って渡すんだろう?」

ルイたちの方を心配しつつ、わたしは自分のことも考えた。色々結花に言いつつ、わたしだって、何もできていない。そもそも、ゼンに好きな人がいるのかすら、分かっていない。そういえば、結花はルイにそれを聞いたんだっけ?たぶん、鈍感だからこそ言えたのだと思うけど…。こういう時だけ、その鈍感さがうらやましい…。

「…ジェシカ?ちゃんと聞いてる?」

急に、ゼンの言葉が頭の中に入ってきた。いけない、ぼーっとしてた。ゼンは少し心配そうにわたしを見ていた。

「ごめん、聞いてなかった」

「…。潔すぎて、逆に戸惑うんだけど…。というか、何か考え事してたみたいだけど、悩みごと?」

「うん、まあ…。というか、よく分かったね?」

「ジェシカのことだし、そうだろうな、って。もし、自分一人じゃ無理そうだって思ったら、信頼できる人に相談した方がいいよ?」

そう言って、ゼンはわたしの頭をぽんぽんと撫でた。

こういう風に、時々優しく扱われると、すごく戸惑ってしまう。何だか不意打ちを受けた気分になる…。というか、心臓に悪い…!

でも、わたしは、何だかんだ言いつつ、優しいゼンのことが好きなのだ。

次回は恐らく、普通のお話に戻ると思います。

読んで下さり、ありがとうございました。

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