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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
三章 異世界花屋とお祭り ー準備編ー
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第五十二話

お祭り準備編の最終話です!

夕方近くになると、ようやくテントが完成した。ここまで来るのに本当に長かった…。お店は午後限定で開店する予定なので、午前中は入り口のところは薄いカーテンで閉めておくことにしたのだが、そのためにカーテンを取り付けるのが大変だったし、時間がかかった…。でも、これは、お客さんが間違えて来てしまわないようにすることにも、防犯のためにも役立つはずだ。…と、そこで、ルイが何かを思い出した。

「あ、そうだ。祭りで売る商品の箱を持ってこないといけないんだった…。すっかり忘れてたな…。そこにある、植物屋で管理している建物で保管してくれるらしいんだ」

「それなら、わたしとゼンが持ってこようか?何箱くらいあるっけ?」

そう言ったのは、ジェシカさんだった。というか、さりげなくゼンさんが持ってくる係に入ってしまっている…。ルイは少し考えてから言った。

「切り花類は明日持ってくるからいいとして…。問題は、ポプリが入ってる箱だな…。かなり重いだろうし、数も多いから何回かに分けて運んできた方がいいかもしれない。念のため、結花も連れてけ」

「了解。でも、その間、ルイはどうするの?ルイが行った方がすぐに見つけられる気がするけど」

「そこの広場にアケビがいるはずだから、少し話してくる。当日に関して聞きたいことがあるからな」

ジェシカさんの質問にルイはそう答えた。…ということで、私、ジェシカさん、そしてゼンさんは一旦お店に戻ることになった。


「そういえば、結花は結局、誰とお祭りに行くの?ルイとか誘ってないの?」

「……。誰も誘ってなくて…。でも、誰かと行かないと迷子になりそうなんですよね。一応、お祭りのための地図があるみたいなんですけど、まだしっかりとシェーロン語が読めないので。ただ、私は午後からお店で、午前中しか遊べないので、午後、その相手が一人になってしまったら申し訳ないです…」

…そういえば、誰と行くかを決めていなかった。スイさんとは一緒に回ろう、って話をしていたけど、具体的な日を決めていないし。今日はお祭り前日だから、今日のうちに決めておいた方がいい気がする。でも、朝見かけた時忙しそうだったし、話す機会あるかな…。もし話せたらそのことを決めて、それを踏まえて明日どうするか考えよう。

「そっかー。でも、迷子になっちゃう可能性があることを考えたら、誰かといた方が良さそうだね。わたしも明日、どうしようかなー…。ゼンは何か具体的な予定、決まってるの?」

「特にないかな。そもそもこの祭りに来たことないから、どういう感じなのかが分からないし。適当にぐるぐる回ってようかなー」

三人でそんな話をしていると、お店に着いた。ジェシカさんが鍵で扉を開ける。私は小屋の方へ行って、ポプリの箱を引っ張り出した。箱自体は小さめだけど、中にたくさん入っているので、かなり重い。すると、後から小屋に入ってきたジェシカさんが持つのを手伝ってくれた。私たちはそれを一旦、お店のスペースへと運ぶ。そして、栞の方の箱も持って来た。こっちの方が断然軽い。箱を全部お店の方に持って行き、少し休憩する。けっこう色々な部屋にあって、探すのが大変だった…。

「これで全部かな?もしかして、他にももう少し箱があったりして?」

ジェシカさんがそう言ったので、念のため、お店中の、箱がありそうな場所を探してみたが、なさそうだった。もし箱がまだあったとしても、一箱くらいなら出店の直前にささっと持って行けるだろうし、まあ、何とかなるだろう。

「じゃ、そろそろ行こう。遅くなりすぎるとルイに怒られそうだし」

ゼンさんがそう言うと、ジェシカさんはうなずいて、ポプリの箱を持ちあげた。だ、大丈夫かな。さっきは私と一緒にここに運んだけど、今はジェシカさんが一人で持っている状態だ。絶対に重いと思う。…とその時だった。それを見ていたゼンさんがジェシカさんが持っていたその箱をひょいっと取った。突然のことに、ジェシカさんは一瞬固まる。そして、慌てて言った。

「ゼン、わたしだって、それくらい頑張れば持てるよ?」

「いいから。それに、この大荷物を持ってずっと歩かないといけないし、大変だよ?ジェシカが怪我したら嫌だし。だから、任せて」

「…え、う、うん。そ、それなら、お願いします」

ジェシカさんが若干戸惑ったようにそう言った。…何で敬語?でも、その顔は少し赤くなっていた。そして、どこか嬉しそうでもある。私と目が合うと、ジェシカさんはどこか照れたように笑った。

「それじゃあ、わたしたちはこっちの箱、運ぼうか?そしたら、一回で運び終わりそうだよね?」

「そうですね。運びましょう。あ、ジェシカさん、鍵お願いしますね」

ジェシカさんはうなずいた。その顔は、まだ少し赤い気がした。


広場に着くと、そこではルイとアケビさんが話をしていた。すごく真剣そう。その傍らにはスイさんもいた。何の話か気になるけど、何だか話しかけられない雰囲気だ。私たちがしばらくその場にいると、ようやくルイが気付いてくれた。そして、こっちにやって来た。

「悪い、話に夢中になってた。箱、持ってきてくれて助かった。ありがとう。…って、まさかこれ、一回で全部持って来たのか?!何回かに分けて良かったけど…。怪我してないよな?」

「これくらいなら余裕。協会のトレーニングの方が辛いからね」

そう言ってどこかげんなりとした表情をするゼンさん。ジェシカさんも苦笑いしていた。…な、なんか、そのトレーニングを見たことはないけど、すごく大変そう。そこにアケビさんとスイさんもやって来た。

「商品置き場はあっちだよ。早くしないと閉まっちゃうし、先に入れておいた方がいいんじゃない?」

…え、閉まっちゃうの?まあ、閉めないと防犯上よろしくないよね…。私たちはアケビさんの誘導に従って商品置き場となっている建物へ箱を運んだ。その後で、私はスイさんに話しかけた。

「スイさん、お祭りについてなんですけど…、何日目、一緒に回りますか?」

「…あ。そういえば決めていませんでしたね。私としたことが…、すみません。結花さまはどの日も午前中が空いているのですよね?ただ、私は午前の時間は一日目しか空いていないのです。なので、必然的に一日目になってしまうのですが…」

すると、そこにアケビさんも加わった。

「そういえば、二人は一緒に回るんだっけ?いいなー、わたしも一緒に行きたい!何日目?」

「一日目の午前中ですけど…。そもそも師匠は飾り付けの長じゃないですか。さぼらないで下さいね?」

「大丈夫大丈夫!それに、少しくらい遊ばないと息が詰まりそうだし?」

スイさんは小さくため息をついた。

「仕方ありませんね…。午後からはちゃんとお仕事して下さいね?結花さま、師匠も一緒で大丈夫ですか?」

私はうなずいた。そんな感じで、明日一緒にお祭りを回る人が決まった。とても楽しみ。


夜。私とジェシカさんはいつかの時のように、屋根裏部屋で二人でお喋りをしていた。ジェシカさんはとても楽しそう。明日のお祭りが本当に楽しみなのだろう。

「結局、ジェシカさんは明日、どうするんですか?誰かと回ったりするんですか?」

「ううん。明日は一日中、一人でのんびり回るつもり。で、二日目はゼンと行くんだー。先に予約しておいたの!だから、明日はどこが楽しそうか下見してみようと思って。ついでに遊べるしね。…で、しつこくて悪いけど、ルイのこと、誘わないの?」

いきなり直球な質問が来た!…実は、結局私は一緒に回ろう、の一の字も言えないでいた。けっこう勇気がいるのだ…。このままだと何も言いだせずに終わりそうで、少し怖い。ジェシカさんが言葉を続ける。

「それに、やっぱり、結花ってルイのこと好きだよね?」

また直球が来た…!何でそんなストレートに言っちゃうかな…。というか、好き、ってつまり、どういうことなんだろう?未だによく分からない。それに…。

「もし仮に、私がルイのことが好きだとして…」

「仮に、じゃないよ!絶対そうでしょ!この点に関しては、わたし、ものすごく自信があるよ!」

「私、たぶん、失恋すると思いますよ?というか、絶対そうなると思います」

私がそう言うと、ジェシカさんは一瞬ぽかんとした。

「え…、な、何で?まだ何も始まってないよ?というか、絶対あり得ないでしょ…」

「そう言われても…。ルイは、たぶん私以外の誰かに恋しているみたいですし。私の出る幕じゃない気がします」

と、何故かジェシカさんは呆れたように私を見た。え、な、何で?何か変なこと言ったっけ?

「あー、もう!結花って本っ当に鈍感だね!?まさか、こんなに鈍感だとは思ってなかったよ…。…ルイも大変だろうなー。いや、そもそも、もうちょっとルイが分かりやすかったらこんなことにはなってなかったのかもしれないけど…」

ジェシカさんの最後の方の言葉は、聞き取れなかった。というか、私、そんなに鈍感かな?…けど、その後でジェシカさんは私をじっと見つめた。そして、私に尋ねる。

「じゃあ、質問するけど、それを聞いたとき、結花はどう思ったの?」

「え?えーと…。少し、悲しかった…気がします」

すると、ジェシカさんはにっと笑った。その顔はいつもよりどこか大人っぽく見えるような気がして…。

「つまり、そういうこと。誰かのことがものすごく気になったりとか、夢中になったりとか?あと、その人と一緒にいるとそれだけでもすごく嬉しかったり。そういうのが恋なの!分かった?」

「要するに、私がその時に悲しいと思ったのは…、私がルイに恋をしているから、ってこと、ですか?」

「うん」

そうなんだー。一瞬、そのままスルーしかけたんだけど…。…ん?待って、ちょっと待って。本当に待って。私は今、自分で何て言った?えーとえーと。思い出すのが何か怖いけど、思い出さないといけない気がする。…確か、私はジェシカさんに、あの時悲しかった理由は、私がルイに恋をしているからなのか、って聞いて。ジェシカさんはすごくあっさりとそれを肯定して…。…え?肯定、した?…ということは。

「えーーーっ!!!?」

私は叫んだ。たぶん、こんなに叫んだの、人生で初めてじゃないかな?しかし、ジェシカさんは私のその反応になぜかほっとしたようだった。

「良かったよ、反応してくれて。何にも反応がなかったから、ちょっと怖かった。というか、ようやく気付いたねー。ここまで長かったよ…」

しかし、ジェシカさんの言葉は、全く私の頭の中に入って来なかった。


お祭り前日の夜。私は非常に混乱していたのでした。

恋に気付くシーンってなかなか難しい…。次回から、お祭り本番編に入っていこうと思います!

読んでくださり、ありがとうございました。

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