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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
三章 異世界花屋とお祭り ー準備編ー
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第五十話

投稿がとぎれとぎれになってしまっていてすみません…。

夢中になってナデシコを摘んでいたら、あっという間に時間が経ってしまった。でも、たくさん摘めたので私はかなり満足。手の中はピンク色の花で一杯だ。本当はナデシコには白とか赤とかの花もあるんだけど、ここにはピンクしか咲いていなかったのだ。ルイは何だかんだ私を待っていてくれていた。…かなり暇そうだったけど。何回か目が合った時、まだかなーって表情で見られたけど…!付き合わせてしまって申し訳ない…。私が花を摘み終わってからルイのところに戻ったら、ようやく戻ったか、というような表情をされてしまった。そして、私が持っている花の量にぎょっとしていた。ちょっと多かった…、かな?

「お前…、かなり時間かかってたけど、何本くらい摘んだんだ?」

「うーんと……。覚えてないくらい摘んだ、かな?」

我ながら、かなり曖昧な答え。せっかくなので(?)、文房具屋さんへと歩きつつ本数を数えてみることにした。一、二、三…。……って、意外と多いかも。

「…三十五本くらいかな。花束ができそうだね。どうせなら花瓶とかに飾るんじゃなくて、花束にして飾る?」

「そういう問題じゃないだろ!絶対、こんなに摘む必要なかったと思うんだけど…」

「え?…あー、もしかして来年咲く分が無くなっちゃうってこと?そのことなら心配しなくて大丈夫だよ。まだまだたくさん生えてたから。それに、そこら辺はちゃんと考えて摘んだよ?」

私がそう言うと、なぜかルイはがっくりとした。…??何で?

「そうじゃなくて…。そんなに大量の花を飾る場所がない、って言いたかったんだよ…。」

「あー、そっちの意味で言ったの?だったら、アケビさんとかスイさんにあげればいいんじゃない?あ、あと、ジェシカさんとゼンさんと店主さんにも!」

自分でも、いいアイデアだと思う。何本ずつ渡そうかな?と私は考えていたのだが、不意に気付いた。いや、気付いた、と言うよりは、思い出してしまった、と言うほうが正しいかもしれない。私が思い出したのは、ナデシコの花言葉。このナデシコはピンク色をしている。ということは、花言葉は確か…。

「純粋な愛…だったはず?」

ナデシコは色によって花言葉が違う。白いナデシコだと、器用や才能という意味だ。…というか、私、何でいきなりそれを思い出しちゃったかな…。何でこのタイミングで…。昨日のことが頭の中に残っていると言うのに。…と色々と考えていた私は、ルイに話しかけられたことに気付いていなかった。

「純粋な愛…!?結花、何のこと言ってるんだ」

「赤い色のは…、何だったっけ?ピンクのと意味が似てた気がするんだけど…?忘れちゃったなー…」

「おい、人の話を聞け!!」

「うわ!?はい、すみません!…えっと、どうしたの?何かあった?」

ちょっとびっくりした…。考え事してると、人の話が入ってこなくなっちゃうから気を付けないと…。

「だから…、さっき、純粋な愛とか言ってたけど、何の話だ?」

「あれ?口に出してた?もしかして、無意識だったかな…。それはね、ピンク色のナデシコの花言葉のことだよ。何故か急に思い出しちゃって」

「はあ…。そうか…。びっくりした。花の話が急に愛になって、ちょっと混乱した…」

ルイが少しぐったりしているように見える。

「ごめんね、なるべく口に出さないように気を付けるから!」

そんな話をしていると、文房具屋さんに辿り着いた。


「こんにちはー。紙を買いに来ました!」

私がそう言うと、お店の奥から店主さんとおじいさんが現れた。相変わらず、二人は仲が良いようだ。

「はいはい。この前の通草紙で良いのか?それとも普通の紙か?」

…何か、おとぎ話のような質問みたい。確か、おとぎ話では、どちらの斧を池に落としましたか、って質問だった気がする。…でも、その話の題名って何だったっけ?正直でいるのが大事ですよ、って話だったはずだけど。…って、話が脱線してしまった。

「通草紙じゃなくて、普通の和紙で大丈夫ですよ!」

店主さんには和紙で通じたらしく、一旦奥に戻り、持ってきてくれた。ルイがそれを確認する。

「間違いなくこれだな。あってよかった…。じゃあ、この紙、お願いします」

私は持っていたお金を渡し、店主さんから紙を受け取った。そして、ついでに摘みすぎたナデシコの花を店主さんとおじいさんに渡す。…と、その時だった。外から、パラパラ…と何かが降ってくる音がした。窓から外を見ると、雨が降っている。傘を持ってないから、紙が濡れそうだ。

「雨宿りしていく?そうじゃないと、紙が濡れちゃうよね?」

「だな。あと、紙だけじゃなくて、俺たちも濡れる。最近涼しくなってきたし、もし雨に当たって風邪ひいたら嫌だし、雨宿り決定だな」

ということで、ここでしばらく雨宿りをすることにした。暇なので、お喋りをする。

「お祭りの日が雨だったら、中止とか延期になるの?」

「ああ。でも、今まで祭りの日に雨になったことはないらしい。だから、中止の年は一回もない」

すごい…。お祭りパワーでもあるのかな?と考えていると、誰かが中に入ってきた。

「わー、降ってきちゃった。でも、ギリギリセーフだよね!ほとんど濡れなかったし!良かった…」

「どこがギリギリセーフなんですか…。そもそも師匠が書類整理なんかしてないで、もう少し早く植物屋を出ていたら、こんなことにはならなかったと思うのですが…」

「うー…。ごめんなさい…!お祭りの日にお詫びに何か買ってあげるから!…って、あれ?結花ちゃんと…、ルイ?え?どうしてここに?」

中に入ってきたのは、アケビさんとスイさんだった。一瞬状況が分からなくて、呆気にとられる。いち早くそこから立ち直ったのは、いつも冷静なスイさんだった。

「私たちはお祭りのための紙と、その他諸々の必要なものを買いに来たんです。お二人は?」

「俺らも同じ感じだ。商品作りに使う紙を買いに来た。でも、結花が花摘みに相当時間をかけたせいで雨に遭遇して、ここで雨宿りしてる」

とルイが言った。まあ、確かにもう少しささっと摘んでいれば、雨が降る前に帰れたかも…。

「すみません…。以後気を付けます…。あ、そうだ、ナデシコを摘みすぎたのでどうぞ」

ちょうどアケビさんたちが来てくれて良かった。これでまた、花の数が減った。もう一回数えてみると、花の数は全部で二十本ほど。かなり減ったので満足。これなら、普通にお店に飾れそうだよね。

「それで、そこの植物屋の二人は何を買いに来た?紙の種類によっては、在庫を確認しなければならん」

店主さんがそう言った。アケビさんは、持っていたカバンの中をごそごそと探る。

「えーっと…、どこかに買う物をメモした紙が…。…あった。濡れてなくて良かった!これです」

アケビさんは店主さんに紙を渡した。店主さんはそれを受け取り、少し眺めてから奥へと戻る。ついでに、おじいさんも引っ張って行った。恐らく、おじいさんにも探させようとしているのだろう。と、なぜか私にも声をかけてきた。

「結花、どこにあるのか分からない紙が少しあるから、手伝ってくれ」

もしかして、通草紙と同じ部屋にあるのかな?私は紙が大量に散らばっていた部屋を思い出した。それなら、確かに私がいた方がいいのかもしれない。

「分かりました。…って、花と紙、どうすれば…」

「俺が持ってるから、さっさと行ってこい」

「本当?ルイ、優しい。ありがとう!それじゃあ、少し行ってくるね!」

私はそう言って奥の部屋へと向かった。この時の私は、ルイが少し呆然としていたことに全く気付いていなかった。


「この紙とこの紙は比較的すぐに見つかるのだが…、問題はこれだ。この部屋にあるのは確実だが、どこにあるのかさっぱり分からん。そこにいるあまり役立たない奴と一緒に見つけてくれ。その間に、他の紙を取ってくる」

私はうなずいたが、おじいさんは役立たない奴、と言われて微妙に傷ついていた…。一方の店主さんはそんなおじいさんを気にせずに更に奥の部屋へと行ってしまった。

「それじゃあ、おじいさん、とりあえず、この部屋を整理しつつ、紙を探しましょう」

この前来た時、少しだけ片付けたので、一番最初に来た時よりはましだったが、それでもかなりぐちゃぐちゃだ。どうやったら、こんなにごちゃごちゃになるのだろう?

「わしは片づけが苦手なのだが…。そもそも、どうやって?」

「そうですね…。全部は無理なので、とりあえず四分の一くらい片づけましょう」

…ということで、私たちは紙の整理をしつつ、紙探しをした。


「ねえ、ルイ、さっきから気になってたんだけど、何でこんなに大量の花があるの?結花が摘んだのは分かったけど…、何で?」

待機組のルイ、アケビ、スイはそんな話をしていた。雨は降り続いている。

「知らん。でも、すごく嬉しそうだったから、何となく止められなかったんだよ。…で、気付いたら、こんな感じになってた…」

「結花さまはこのお花が好きなのでしょうか?確か、ナデシコですよね?この時期、河原にたくさん咲いていますよね。可愛らしいので、私はけっこうこの花が好きです」

スイはそう言って、結花からもらったナデシコをじっと見つめた。ピンク色の花が、細く開いている窓から入ってきた風で揺れている。ルイが話を続ける。

「…で、ここに来るまでの道でこの花について話してたんだけど。その時…、結花がこの花の花言葉をつぶやいてて…」

「そうなの?その花言葉って何だったの?気になるなー」

アケビのその言葉にルイは一瞬黙ったが、少しして答えた。

「……純粋な愛、とか言ってた。この色のナデシコの花言葉がそれらしい」

「「え…!?」」

アケビとスイの驚いた声が重なった。その後でアケビが恐る恐るルイに尋ねた。

「…なんか、ルイ、…色々な意味で大丈夫?さっきも固まってたけど。でも、大丈夫じゃない、って言われても、対処法が分からないんだけど!」

「…まあ、何とか。この前から、すごく奇襲攻撃を受けまくってる気がするけど、今のところは」

すると、奥から結花たちが戻ってきた。店主と話をしている。

「あの部屋、もう少し片付けた方がいいですよ?何だったら、今度、整理しにきましょうか?今日はほんの少ししか整理できなかったので」

「そうだな…。今回はすぐに見つかったから良かったが…。名前が同じ音から始まる紙でまとめておいた方がいいかもしれないな…」

店主はそう言ってから、アケビとスイを見て言った。

「これで合っていると思うが、念のため確かめてくれ」

「……。はい、確かにこれです!ありがとうございます。結花ちゃんも、ありがとう!」

アケビの言葉に、結花は笑って答えた。

「見つかって良かったです」

すると、窓から外を見ていたスイがあることに気付いて、声をあげた。

「雨があがったみたいです。あと、向こうの空、見て下さい!すごく綺麗ですよ!」

空にかかっていたのは、大きな虹。それは、しばらくそこにかかり続け、雨上がりの町を見下ろしていた。

あと二、三話くらいでお祭り本番の話にいくと思います!

読んでくださり、ありがとうございました。

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