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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
二章 異世界花屋と魔法の花
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第二十七話

一日空いてしまいすみません…。魔法協会編です。

次の日。私が出かける支度をしていると、バッターン!と小屋の扉が開いてジェシカさんが入ってきた。

「結花、おはよう。待ちきれなくて、ここまで来ちゃった。会えて嬉しい」

「会えて嬉しい、って昨日ぶりじゃないですか…?」

「細かいことは気にしなくていいの!それより早く行こう!ゼンは店の前にいるよ。わたしもゼンも、もう準備できてるから、いつでも行けるからね」

私はぐいぐいとジェシカさんに背中を押され、あっという間に店の外に出てしまった。何か移動距離が短かった気が…。もしかして、今、魔法使ってた?私がジェシカさんを見ると、彼女は小さく舌を出した。

「気になったついでにちょこっと。どうやら、魔法は効くみたいだね」

すると、すぐそこにいたゼンさんが呆れたように言った。

「ジェシカ…、いい加減、勝手に人に魔法かけるのやめた方がいいと思うよ。この前だって僕、誰かさんに魔法をかけられて、一日中おかしい声になっちゃったんだけど…。犯人誰だったっけ?」

「うわああ…。ごめんなさい!!もうやらないから許して!」

「…って言っといていつも反省してないよね?…とまあ、ジェシカはいつもこんな感じだから気をつけて」

「わたしを勝手に暴走魔法士みたいに言わないでよ!」

仲いいな…、この二人。そして、傍から見てるとすごく面白い。なんて思いながら言いあっている二人を見ていると、ルイがやって来た。

「おはよう。朝から何でこんな元気なんだ、この二人…。中にまで声が聞こえてた」

少し呆れているみたいだけど、どこか眠たそう。すると、ルイの声が聞こえたらしく、ゼンさんが振り返った。

「おはようございます。朝早くにすみません。行き方が複雑なのと、目的地に着いてから時間がかかりそうなので…」

そういえば、魔法協会ってどうやって行くのかな?誰にも知られてない場所だし、行くの大変そう…。すると、タイミングよくジェシカさんが説明してくれた。

「まず、ここから魔法協会がある森の近くに転移して、そこから歩くんだよ!」

「て、転移?…って、何?」

「転移って言うのは、違う場所に一瞬で移動することだよ!問題は結花も一緒に転移できるかっていうことだけど、さっき魔法使ったら大丈夫そうだったし、いけるんじゃないかな?」

ジェシカさんはそう言ったけど、微妙に心配…。一人だけここに取り残される、なんてことになったらどうしよう?ルイも同じことを思ったらしく、少し不安そうだ。すると、ジェシカさんがにこっと笑った。

「離れるのが心配なら手でもつないでいたら?そしたら大丈夫だと思うけど?」

「「は???」」

私とルイの声がそろう。一瞬、ジェシカさんの発言の内容が理解できなかった。

「確か、魔法をかける対象の体に少しでも触れていたら、触れていた方の人にも魔法がかかるんじゃなかったっけ?ゼン、そんな感じなこと習わなかった?」

「習ったけど…。何でジェシカはそういうこと言うかなあ…。しかも脈絡もなく。二人とも固まってるけど…」

ジェシカさんはきょとんとした。私たちが固まっている理由が分からないらしい。でも、もしその理由を知っていたらいきなりさっきの発言はしなかったと思う。

「それに関しては二人にお任せしますよ。心配なら手をつないでいたっていいと思います。どうせ一瞬ですし…」

私たちは顔を見合わせた。えーと…。何て言えばいいのか分からない…。というか、普通に考えて、このくらいの年で異性同士で手をつなぐのって恋人くらいだよね…!?などと考えていると、ルイの手がこちらに近付いてきて私の手を掴んだ。!!?え、今、けっこうためらいなく掴んだよね…!?

「え、ルイ、あの……」

「どうせ一瞬だし、離れるよりはましだし、減るもんじゃないからいいだろ」

めちゃめちゃ早口でほぼほぼ聞こえなかったんですけど!?聞こえたのは、最初の「どうせ一瞬」くらいだった。そんな必死に言わなくてもいいと思うんだけど…。ルイの様子を見ると、恐らく、色々理由を言っていたのだと思う。

「二人とも、準備は大丈夫ですか?」

「ああ。いつでも大丈夫だ」

ルイがそう答え、私もうなずいた。

「それじゃあ、行きますよ」

ジェシカさんとゼンさんが何かを唱える。いつの間にか、ヘルさんが持っていたような花を持っている。もしかして、これ、魔法の花…だったりするのかな?次の瞬間、目の前が真っ白な光に包まれた。車のライトを間近で見るくらい眩しい。思わず目を閉じた…のだが、すぐに光は収まった。恐る恐る目を開けてぎょっとした。隣にいるルイも呆然としている。

私たちの目の前に広がっていたのは、いつもの街並みではなく、延々と広がってそうな森だった。どこ?

「良かった。全員無事に転移できたみたいですね。この先が目的地です。少し歩きますが…」

ゼンさんはそう言って森の中に入ったんだけど…、道がないよ!?通っていいの、ここ…。でも、ゼンさんに続いてジェシカさんもさっさと行ってしまう。追いかけるしかないよね…。私はつないでいた手を離し、思い切って森の中に入った。その瞬間、目の前に道が現れた。ちゃんと舗装されている。後から入ってきたルイも一瞬止まった。先の方でジェシカさんがぴょんぴょん跳ねながら手を振っていた。

「早く早く。置いてっちゃうよ!というか、そうじゃなくても時間が経つとこの道消えちゃうよ」

さりげなく怖いよ、それ…。私たちは慌ててジェシカさんたちのところへ走った。ふと後ろを振り返ると、そこには道など最初から存在していなかったかのように木があった。絶句している私に気付いたゼンさんが苦笑した。

「道がないと魔法使いたちは魔法協会にたどり着かないし、目立つ道があると一般の人が入ってしまいますから、こうするしかないんですよ…。苦肉の策です」

ちょっと怖いので、私はさっさと歩くことにした。でも、ルイも一番最後は嫌らしく、しばらく私たちはどっちが一番後ろになるかで揉めていたのだった…。

しばらくして、ようやくどちらが後ろを歩くか、と言う、傍から考えるとどうでもいいような争いに決着がついた。結論を言うと、横に並んで歩けばいい、ということになった。そういうことで、ルイは今、私の隣を歩いている。最初からこうしておけば良かった気がする…。言い争い、疲れた…。

「…ところで、さっき転移するときに花、持ってましたよね?あれ、魔法の花ですか?」

私がそう聞くと、ゼンさんはポケットから花を取り出した。さっきより…、光が弱くなってる?

「そう。魔術師が現れた時のために育ててるんだ。ただ、魔法の力を失ったら枯れてしまうけれど…」

「ヘルさんもそれ、持ってましたよ。どうやったら育つんですか?」

元の世界には魔法が無かったため、興味がすごくある。なので、色々と聞きたい。

「普通に育てるだけです。種と暖かい場所があれば何とかなります。なので、ヘルもこっそり種か花を持ち出して、暖かい場所で育てていたのでしょう」

そんな話をしているうちに何か建物が見えてきた。どこか不思議なオーラを放っている。森に入ってからは30分くらい経っていた。こんな森の奥にあるなんて…。魔法協会ってすごい…。

「あれが魔法協会だよ!すごいでしょ?早く入ろう!昨日の内に仲間に結花のことを話しておいたからきっと楽しみにしているはずだよ!紹介するの楽しみだなー」

「昨日、こそこそ魔法の花を使ってたのは連絡のため?全く…。無駄遣いしちゃダメなのに…」

ジェシカさんは「あ」とつぶやいて口を押えた。どうやら、秘密にしておこうと思っていたらしい。

「あー、言っちゃった…。ゼンに怒られるから言わないでおこうと思ってたのに。ゼン、お願いだから隊長とかには絶対言わないで!隊長、とても怖いから…。一生のお願いだから!」

しかし、そこに第三者の声が割り込んできた。

「大丈夫。別に君が何も言わなくても、もう聞いちゃったから。だから、一生のお願いは使わなくていいと思うよ」

ジェシカがその声にびくっとして恐る恐るその声の方を見た。

「た、隊長……。な、何で外に出ちゃってるんですか!?」

「さりげなく話題をずらそうとしない。それに、このくらいの距離だったら余裕。たぶん、誰も気付いてないはず」

「「そういう問題じゃない!!」」

ジェシカさんとゼンさんの声がはもる。何だかんだ息ぴったりだよね。隊長さんは苦笑いした。

「その話は一旦後にして早く建物に入ろう。そうじゃないと他の人達にも怒られる…」

「「怒られても反省してませんよね?!」」

隊長さんは、あ、ばれた、というような表情になり、さっさと逃げて行ってしまった。ジェシカさんとゼンさんが疲れたような表情になった。

「正直、あの人と話すとめちゃめちゃ疲れるんだよね…。最終的に絶対変な方向に話が行くんだから…」

「本当に…。しかも、こっちが怒っても全く効かないし…」

…ご苦労様です。ルイも何とも言えない表情をしていた。魔法協会の人々は濃い感じの人が多いのかな…、と思った。この建物、入っても大丈夫なのかな?今更ながら心配になってきた。…無事に帰れるだろうか?

読んで下さり、ありがとうございました。

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