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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
二章 異世界花屋と魔法の花
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プロローグ  ヴェリエ国と魔法の花

突然ですが、ここから第二章です。異世界っぽくなってるはずです。今後もこの物語をお楽しみいただければ幸いです!

昔々。まだ、ヴェリエ国や他の国にも「魔法」と呼ばれるものがあった時のこと。

その頃、「魔術師」と呼ばれる、いわば魔法使いは不思議な力を持つ花と普通の花を掛け合わせて新しい魔法を作ったり、使ったりしていた。ヴェリエ国はその力でどんどん発展していき、遂には世界で一番力を持っている国にまで成長した。国の者はこれからも魔法の力が国や自分たちを豊かにしていくだろうと思っていた。…その日までは。


きっかけは、当時、ヴェリエ国で最強の力を持っていた魔術師があることを疑問に思ったことだった。

「人の心を操る魔法は作れるのだろうか…?」

そう思った魔術師は早速その日から研究を始めた。試行錯誤を繰り返し、何年もの月日が経ったある日。

ついにその魔法が完成した。魔術師の庭にたくさん咲いていた魔法の花や他の色とりどりの花は全て刈り取られ、花は全てなくなってしまった。庭は殺風景になってしまったが、魔術師は喜んだ。ようやく究極の魔法ができたからだ。

魔術師は早速その魔法を試してみた。だが、この魔法には欠点があった。


その魔法をかけた人物ではなく、かけられた人物しかその力を使うことができないのだ。


魔術師はその魔法の噂を聞いた人たちに魔法をかけていき、魔法をかけられた者はその力を使って自分の欲望を満たしていった。

しかし、この魔法は世界中に大きな混乱を招いた。大きな戦乱、絶えない争い、終わりの見えない闇のような時代…。ことを重く見た国際的な魔法の管理機関・魔法協会は会議を開いた。何とかして、この混乱や戦争を終結させるために。魔術師はこの魔法について何も仕組みを明かさず、姿を消していた。魔術師の行方が全く分からないため、魔法協会は魔術師を追うことを諦め、魔法をかけられた人たちを集め、魔法の解析をしていった。彼らはなかなか仕組みを発見することができなかったが、約5年後、ようやく仕組みを解明した。そして、魔法を解く方法も見つけた。どうやらこの魔法は一旦解除すれば、かけられた人は元の正常な状態に戻ることができるそうだ。

その頃には戦争は更に熾烈になっていて、人類はこのまま滅びてしまうのではないか、と懸念されるほどだった。魔法協会はその魔法を解くために世界中を回った。全ての人の魔法を解くには6年近くの年月がかかった。その後、世界は混乱状態から脱し、戦争で失ったものを再建すべく、一気に活動し始めることとなる。そして、その動きの中で大きく変わったことが一つあった。


それは、魔法の花が絶滅し、二度と魔法を誰も使えないようになったことだった。魔法協会は、魔法を無くせば、世界的な混乱が再び起こることはないと考えたのだ。花を全て駆除した後、魔法協会は必死に見つけ出した、魔術師が書き残した人の心を操る魔法の作り方の紙などを全て燃やし、痕跡が何も残らないようにした。もしどこかに魔法の花が残っていても、二度と、この魔法が使われないように。この魔法の話はいつしか人々の記憶から薄れていった。なぜなら、奇跡的に3年ほどで、被害を受けたたくさんの街が復興を遂げ、今までとは大きく違う生活になったからだ。


しかし、この魔法は終わっていない。なぜなら、全ての原因となった魔術師は今も見つかっていないからだ。過去には数回、この出来事に似た小規模な事件が起こっている。その度に魔法協会は首謀者の家や近辺を調査するが、やはり何も見つからなかった…。


世界的な混乱が収まってから、約1000年が経った。魔法協会の最後の役目―、魔術師を見つける、という役目はまだ続いている。なぜなら、魔術師のもともと持っている力は強大で、今もその力で生きている可能性が高いからだ。現在、魔法協会の存在はほとんどの人が知らない。既に魔法は遠い昔の話になっている。きっと、魔法協会の存在に世界中の人が気付くのは……。

再び魔術師が動き始めた時。その時、世界は再び混乱に陥るのだろうか?その答えを知っているのは…、恐らく、魔術師だけ。



ヘルは夜の街をゆっくりと歩いていた。すると、どこからか悲鳴が聞こえた。ヘルはその方向へと向かう。そこでは、数人の男たちが少年に暴行をくわえていた。

「…1000年経っても、人の欲望というものは変わらないみたいですね」

すると、ヘルの声が聞こえたのか、男たちがこちらを見た。そして、一瞬顔を見合わせた後、こちらに向かってくる。どうやら、ヘルを新たな標的に決めたようだ。ヘルは慌てず、手を空中にかざした。片方の手には、この世のものとは思えないほど美しい花。すると、ふわり、と風が吹き、何者かがヘルの前に現れた。その姿を見て、男たちは足を止めた。そして、一目散に逃げだした。少年はぽかんとしてヘルを見つめた。

「大丈夫ですか?今、治療しますね…」

ヘルは少年の頭に手をかざした。片方の手にはやはり花を持っている。しばらくすると少年の傷は消えていった。

「い、今のって、幻術?もしかしてあなたは…、ま、魔法使い…?この世界にはもういないはずじゃ…」

少年が少し震える声で言った。ヘルはにこりと笑う。

「ええ。通りすがりの魔術師です。…が、こちらには見つかりたくない相手がいるので、申し訳ありませんが、あなたの記憶は消させて頂きます」

再びヘルの手が少年の頭にかざされる。その瞬間、少年はぐったりとした。ヘルはそれを確認し、速やかにその場を去った。

「…あれ、なんでここに。早く帰らなきゃな」

数分後に起き上がった少年は不思議そうに首をかしげ、家に帰るために歩きだした。


ヘルは再び夜の街を歩く。ふと、貴族の屋敷が目に写った。ネネやサーニャが暮らしている、屋敷。

「確か、明日でしたっけ、サーニャとか言う人がルイの店に行く日。…明日は少し様子でも見に行きましょうか。久しぶりに、あの魔法も使ってみたいですし…。明日が楽しみですね」

ヘルは氷のような笑みを浮かべた。その瞬間、近くの街灯のガラスが冷たさで割れた。

「…おや、そういえば、まだこの花を握っていたのでしたっけ。危ない危ない」

ヘルはかつて、「魔法の花」と呼ばれていた花をポケットにしまい、夜の街へと消えていった。

この前書き忘れていたのですが、「水の中で咲き続ける花」のモデルは水中花です。気になる方はぜひ検索してみてください。

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