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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
六章 異世界花屋とメッセージ
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第百話

百話目ですね。最初、ここまで長くなるとは思っていなかったため、驚いています。

アケビさんたちが帰った後のこと。私は再び雪かきを再開した。ぼーっと、アケビさんとの会話を考えつつ。そして、以前の会話も思い出した。自分の気持ちに素直に…、か…。私は雪かきする手を止めた。少しくらいはまあ、大丈夫だろう。それに、どうせ雪を置く場所もないし。そう思いつつ私は軽く髪留めに手を触れた。寒いせいか、どこかひんやりとしている。…素直になる、って難しい。それはきっと、今までの関係が全て壊れてしまう、ということを覚悟しないといけないような気がして…。もしかしたら、私が難しく考えすぎているだけなのかもしれない。でも、もしそれで本当に関係が崩れてしまったら?と思ってしまう。特に、今の時期は怖い。もしそうなったとしたら、恐らく崩れた関係のまま終わってしまうんじゃないかと思う。それに、関係が壊れなかったとしても、今の時期に、ということ自体が何となく怖いのだ。まるで、最後のお別れになってしまいそうで…。そう思ったところで、気付いた。私って意外と、臆病なんだな、って…。今まで全然そうだと思ったことはなかったけど…。それに、本当にルイのことが好きなんだな、とも思う。自分でも、ちゃんとそう感じる。そう自覚している自分に少し戸惑うけど、たぶん、そうじゃなければこんな風に深く悩んでいなかった。…何だかもやもやする。私は、そのもやもやを掻き消そうと、黙々と雪かきをしていたのだった。しかし、もやもやはなかなか消えてくれない。いっそのこと、このもやもやをどこかに放り投げたい!もう、本当に何なんだろう、私…。何だか今日は、心の中が荒れている。


お店に入ると、何故かそこにはルイの姿がなかった。あれ、どこに行ってるんだろう…?けど、カウンターにメモが貼ってあることに気付いた。どうやら、ルイは植物置き場にいるみたい。何かあったら呼ぶように、とも書いてあった。……。あと、期限まで何日なんだろう。不意に気になった。気になったけど、数えるのがちょっと怖い。…って、何でも怖い怖いって言ってたら何もできないじゃん!自分に呆れつつ、私はカレンダーを見た。あと二十数日くらい…。何とも言えない。私はカウンターでルイのメモで折り紙をしつつ、お店番をしていた。けど、お客さんが来ないので暇…。折り紙で鶴を作り終えてしまったので、更に暇になる。…どうせなら、千羽鶴でも作ってみようかな?前にクラス全員で何かの為に作ったことがあったけど、一人で作ったらどれくらい時間がかかるんだろう?と気になった。なので、私はいらなさそうな紙を探しだして暇つぶしに鶴を折ることにした。しかし、しばらくして気付いた。カウンターの上が鶴と紙で埋め尽くされそうになってる…。これ、誰かお客さんが来たら絶対にぎょっとされそう…。私は誰か来る前に急いで片付けることにした。が、その前にルイが戻ってきてしまった。そして、案の定怪訝そうな表情をされる。

「何でこんなに散らかしてるんだよ?!ってか、こんな大量の紙、どこから持って来たんだ?」

「カウンターの所にあった余ってる紙とか、そこら辺にある裏紙とかを全部持って来たらこうなった。意外と紙があるんだな、ってちょっとびっくりしてた。で、その紙を作って鶴を折ってたんだー」

私はルイに、カウンターに置いてあった幾つかの鶴を取って見せた。すると、呆れたように言われた。

「何でそんな作ってるんだよ…。置く場所ないだろ。ってか、その紙、全部その鶴作りに使うつもりだったのか?何に使うんだよ?」

使い道を聞かれた。使い道…。…観賞用とか??というか、それぐらいしか思いつかない。もしくは、誰かにあげるためとか?でも、誰にあげればいいのか…。誰もあげる人がいないんだよね…。どうしよう?

「特に使う予定はないけど、観賞用!千羽鶴にしたら綺麗だな、って思って。それに千羽鶴って平和の象徴とか、病気平癒の意味とかもあるから、縁起が良さそうだなー、みたいな?まあ、元々は暇だったから作り始めただけなんだけどね。あ、ルイ欲しい?それなら頑張って作るよ!」

「いらない。もらっても置く場所に困るし。それに、今のところ病気してないしな」

あっさり拒否された。何か悲しい…。でも、どうしようかな、鶴さんたち。小屋に飾っておこうかな?それか、誰かにあげてもいいんだけど…。けど、もしあげたとしても、千羽鶴の意味を知ってるかどうかわからないんだよね。私はしばらく考えていたけれど、とりあえず取っておくことにした。何かに使うとは思えないけど、折角作ったんだし。私は小屋に鶴を持って帰ることにした。ついでに片付けも。この鶴たちは小屋のどこかに飾っておこう、と思いつつ。


小屋から戻ってくると、お客さんが来ていた。雪が降ってるのに珍しい。誰だろう?すると、お客さんが私に気付いてびっくりしたように、何故かルイの方を見た。…?反応が不思議。私が挨拶をするのも忘れてきょとんとしていると、お客さん(?)が言った。

「ルイ君、いつの間に彼女ができてたんだ?それなら言ってくれれば良かったのに…。最近、全然会ってなかったからね。いつから?」

…!?か、彼女…!?何でそうなった?というか、この人は本当に誰??私が混乱していると、一方のルイは気のせいかもしれないけど、微妙に緊張しているような気がした。ルイがそんな感じなのって珍しいと思う。ルイは口早に言った。

「な、何言ってるんですか…。違います、そんなんじゃありませんから…。ってか、何でその発想に至ったんですか?!結花も困ってますけど…」

「それにしては、ちょっと動揺してないかい?珍しいね?…それにしても、昔はあんなにやんちゃだったルイ君がこんなに成長するなんて…。正直、驚いたよ」

ルイが、…やんちゃ?本当にこの人は一体誰なんだろう?それに、ルイが敬語を使っている…。ものすごく気になったので、私はルイに、目の前にいるお客さん(?)が誰なのかを尋ねた。すると、衝撃の一言が返ってくる。

「あー、そういえば結花は会ったことなかったか。この人が、植物屋の管理人。よくアケビが話題にしてる人。アケビに一番困らされている人でもあるな」

「どうも、初めまして。植物屋の管理人です。アケビがルイ君に渡すはずの書類を忘れていったから代わりに届けてきたんですよ。…それとルイ君、今の言葉には少し語弊があるからね。確かに、アケビには困っているけれど、あなたに非常に困らされたのも事実だからね」

すると、ルイは言い返せないらしく、「…」となった。こういうルイってなかなか見たことがない。ルイが言い返せないって本当に珍しいと思う。そう思いつつ私がルイをじっと見ていると、ルイがそれに気付いて軽く睨まれてしまった。…すみません。でも、びっくりしたんだもん。すると、管理人さんが詳しくその話をしてくれた。

「ルイ君が初めてこの辺りに来た頃、よく植物に関する知識を教えていたんですけどね。でも、ルイ君はなかなか落ち着いて勉強しなくて、大変でしたよ…。逃げだしたり、いたずらしたり。…ですが、こうして思い出してみると、懐かしいですね」

「おい、それ言うな!!何でわざわざそれを言うんだよ!?絶対に言う必要なかっただろ!」

急にルイの口調が元通りになった。…というか、慌てすぎじゃない?意外と、迷惑かけた自覚があったりするのかな。しかし、管理人さんはそれを聞いて悪びれずにこう言い放った。

「その時のお返しみたいな感じかな。それに、他の人に言ってはいけない、とは一言も言われていなかったし。でも、彼女に聞かれたくなかったのなら悪かったね」

ルイは再び沈黙した。何だか意外なことが多すぎて、びっくりしている。その後、管理人さんはしばらくお話ししていたが、この後も用事があるらしく、帰って行った。ルイはその後、精神的に疲れた、と言ってお店の奥へ行ってしまった。…?何で管理人さんにあっただけでこんなに疲れたのか、不思議。別に怖そう、とかそんな感じじゃなさそうなのに…。…それにしても、ルイがいたずらっ子だったとは…。全く想像できない。けど、それならルイも案外子どもっぽいところがあるんだな、とも思ってしまった。ついつい笑いそうになってしまったが、ルイが戻ってきてしまったら困るし。そんな感じで、ルイと管理人さんについて色々想像していると、ルイが戻ってきた。さっきよりも元気そうな気がする。すると、開口一番、ルイがこう聞いてきた。

「…さっきの話、どう思った?」

「意外とルイって子どもだったんだなーって思ったよ。でも、どうして逃げたりいたずらしたりしたのかは気になったけど。すごくびっくりした」

「………。別に、管理人のことが嫌だったわけじゃないけど、勉強させられるのが嫌だったというか…。とにかく、その時はまだ俺も子どもだったんだよ!」

何だか、理由が子どもっぽく感じたのは気のせいだろうか…?でも、管理人さんのことが嫌いじゃないなら、普通に会いに行けばいいのに…。しかし、それを言うとルイは何とも言えないような表情になった。

「…何て言うか、謝りづらい。ってか、謝ろうと思ってもどう切り出せばいいか分からない…」

要するに、謝りたいけどどうすればいいか分からない、と…?何だかルイらしい理由だな、と思ってしまった。

「ルイってやっぱりそういうところが素直じゃないよね。ちゃんと謝った方がいいと思うよ?何だかんだ、管理人さんもルイのこと、許してそうだし」

「結花、一言余計だ。謝らないといけないのはちゃんと分かってるし…」

と言いつつも、微妙に目を逸らしているルイ。私はつい笑ってしまった。そんな私にルイは微妙にむっとしたような表情になる。…けど、何だかんだこんな感じでのんびりと話している時間が私は好きだ。…だから、今はもうちょっとだけ、このままでいさせてほしい。誰にお願いしているのか自分でもよく分からないけど、私は心の中でそう願っていた。

読んで下さり、ありがとうございました。

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