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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
六章 異世界花屋とメッセージ
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第九十六話

昨日、投稿出来ずすみません…。

私がメアリさんからの、翻訳のお礼の手紙を受け取ったのは、それから一週間ほど経った頃のことだった。シェーロン国とヴェリエ国の国境を超えなければならないため、その手紙が届くのにはかなり時間がかかる。なので、一週間というのは、案外短い方なのだろう。これだけすぐに手紙が来たということは、メアリさんはあの封筒が届いた後、すぐにそれを読んだのだと思う。読むことができたなら、良かった。けど、解読がかなり大変だったんじゃないかな…。それについて書いてあったらどうしよう、などと心配しつつその手紙を開けたけど、特にそのことについては書いてなかったのでちょっと安心してしまった。手紙には、お礼の他にも、この前メアリさんがここに来た時、私が質問したことに対する答えも書いてあった。その質問とは、千智さんが、私が翻訳した記録以外にも、千智さんの遺した記録や資料はないか、というものだ。小屋に品種改良に関する資料がない、ということが分かってからずっと気になっていたので、メアリさんが覚えていて下さっていて嬉しかった。しかし、結果から言うと、千智さんの資料は他には何もないそうだ。屋敷の中も探せる範囲で探して下さったらしい。けど、全く何も見つからなかったのだと書いてあった。まさか、お屋敷も探して下さるとは思っていなかったので、驚いたのと同時に、本当にメアリさんに感謝した。そして、手紙の最後には、もう一回翻訳のお礼と、ルイをよろしく、というようなことが書いてあった。メアリさんは、離れていてもルイのことを心配してるんだな…、と改めて感じた。そうだ、後でルイにもこの手紙、見せようかな?今回、ルイにはメアリさんから手紙が来てなかったから、ちょっと残念そうだったし。最後の一文だけでも喜びそう。それを言ったら絶対に本人は否定するだろうけど…。後でルイが戻ってきた時に見せよう。私はお店の扉を見た。早く帰ってこないかな…。

今、私は一人でお店番をしている。ルイはどこに行ったのかというと、植物屋さんだ。この前、アケビさんが来た時、本当は渡さなければいけなかった物があったのにそれを忘れていたらしく、今届けに行っている。でも、アケビさんに捕まったらなかなか帰って来なさそうだし、お昼まで帰ってこないかな…。と予想していると、吹っ飛ばしそうな勢いで扉が開いた。…?!一瞬ルイかと思ったけど、こんな開け方しないだろうし…。…そこにいたのは、ネネだった。ドレスではなく、動きやすそうで、もこもこな服を着ている。しかも、マフラーと手袋までして、完全に寒さ対策。…というか、何でここに?

「久しぶり、結花!ちょっと忘れ物したからそれを取りに来たんだけど、そのついでに寄ったんだ!…あれ、ルイはいないの?それならちょっとお喋りしようよ!ルイがいないなら、うるさく言われないだろうし。それに最近、ずっと王宮だったからつまらなかったんだー」

ちょっといたずらっぽい表情でネネはそう言った。…まさか、またサーニャ様に言ってないのかな?!少し不安になるんだけど。けど、ネネは私の返事を待たず、私の隣に座ったので、追い返すのは諦めることにした。ルイが帰ってきたらびっくりするだろうな…。

「ずっと王宮、って何かあったの?」

「うん、大あり!もうすぐ王宮で、各国の貴族がたくさん来るパーティーみたいな物があって、その準備に追われてるんだよねー。あたしは、異世界の技術とかを取り入れた何かを作る、って役割があるんだけど、それが難しくて。だから、全然終わってないんだよね…。今日取りに来たのは、それの参考になりそうな物で、これがあれば何とかなるはずなんだ!」

どうやらネネが任されたのは王宮内の飾りらしく、色々な紙を使って切り絵や折り紙をしようかと考えているみたい。楽しそうだけど、大変そうでもある。でも、ネネは何だかんだ充実した日々を送っているようだ。しばらくずっと王宮の話をしまくっていた。王宮にはネネの他にも日本から来た人が数人いて、仲良くなったらしい。意外と異世界から来た人って多いんだ…。ネネが私の知り合いに日本人がいないか尋ねてきたので、私は千智さんや、お祭りで出会った和風の小物を売っていた人を思い浮かべた。早速私が、千智さんの記録を日本語からシェーロン語に翻訳した話をすると、ネネは何故か心配そうな表情になって言った。

「え…、それ、大丈夫だったの?あの、びっくりするほど壊滅的なシェーロン語を書いていた結花が翻訳なんて…。読めるのか心配なんだけど。よくルイも許可したね…。びっくりした」

か、壊滅的……。ルイよりも言い方がストレートなんですけど…。き、気にしないようにしよう。いつか綺麗なシェーロン語の文字が書けるかもしれないし!別に気にしないから!そう開き直りつつも何だかんだ微妙に気にしていると、ネネは急に謎の質問をしてきた。

「そういえば、結花は最近、ルイとはどうなの?この前、お祭りの片付けの時に会ったときは、かなりいい感じだったけど?その後、進展とかあった?」

…?!何でそれ、ネネも聞くの!?この前、アケビさんにも聞かれたばかりなんだけど…。そして、答え方に困る。どう、と言われても…。何て言えばいいんだろう…?あ、でも、お祭りの時から変わったことと言えば、私が自分の気持ちに気付いた、とかかな?けど、自分でそれを言うのも何か…!私が悶々と考えていると、私をじーっと見つめていたネネが急ににっこり笑った。

「あー、そういうことね!結花、ようやく自分の気持ちに気付いたんだ?良かった、これで少しはこっちがもやもやしなくて済みそう!というか、ものすごく時間がかかったね…」

「…?!!ちょっと待って、私、何も言ってないんですけど!一言も喋ってないのに何で…。超能力?」

「そんなわけないでしょ。結花が動揺してたから、鎌をかけてみただけ!見事に引っかかったねー。結花、誘導尋問とかに引っかかりやすいタイプなんじゃないの?将来、詐欺とかに遭いそうで怖いな…」

ネネが呆れたようにそう言った。超能力じゃなかったんだ…。というか、詐欺に遭いそう、って…。私は単純なのだろうか?ネネから見た私ってどんな感じなんだろうな、とちょっと不安になってしまった。

「まあ、ルイがいるし、詐欺者が来てもいざとなれば追い払ってくれるでしょ。たぶん大丈夫じゃないかな?…って、話が逸れてたね。ごめんごめん。それで、結花はどうして恋に気付いたの?王宮ではそういう話題、全然ないから久しぶりに聞きたいなー?」

聞きたい、と言われているはずなのに、その言葉に強制力みたいなものを感じるのは、気のせい…?何か怖いんだけど。けど、無視するわけにもいかないので私はネネにこの前のアケビさんたちとの会話の話をすることにした。前にジェシカが、自分のコイバナをするのは…、って言ってたけど、その気持ちが今なら分かるような気がする。自分がするのって、けっこう恥ずかしい。しかも、ネネがすごい楽しそうな表情で聞いてるし…。もし、いつかネネに好きな人とかできたら今日のお返しに色々聞いてみようかな、と一瞬考えてしまった。

「…なるほど。要するに、アケビさんのお手柄だね!それで、その後はどうなってるの?何かアプローチみたいなこと、してないの?そうじゃないと、誰かに取られちゃうかもよ?」

「してない!そもそも、自分でもそのことに混乱しまくっててどうすればいいか分からない状態なんだよね。というか、ネネ、何でそんなに恋について詳しいの?どこでそういう知識を得てるのか、すごく不思議なんだけど…」

「あたしは逆に、結花が鈍感すぎて、それが何でなのか疑問なんだけど?それに、この感じだと、あたしの方が年上みたいな感じですごく違和感!そもそも結花、自分の気持ちに気付くのが遅い。…あ、でも、それを言ったらルイも鈍感なんだよね。どっちも鈍感だからこんな事態になってるんだろうけど。やきもきしてるこっちの気持ちにもなってくれないかな…」

最後の数文は小さすぎて聞こえなかったけど、私はあまり気にしていなかった。というのも、その前の言葉がものすごく引っかかるからだ。自分の気持ちに気付くのが遅い、って一体…?そもそも、ネネからすると私はいつから恋をしてたんだろう?そこまで前ではないと思うんだけど…。そう思ってネネにそれを質問してみた。すると、ネネに、本気で言ってるの?というような表情をされてしまった。いや、そんな顔されても…!?

「まあ、そうだよね。その時に気付いてたら、今頃もうちょっと進展してるはずだし。…あたしの感覚だと、結花がルイのことを気にし始めたの、そこそこ前だよ?少なくとも、お祭りよりも前かな?あたしと結花が初めて会った少し後、とか?というか、たぶん結花の周りの人はそのことに気付いてたと思うよ」

そうなの?!私がびっくりしていると、ネネは肯定するかのようにうなずいた。そして、他にも何か話そうとしていたけど、壁の時計を見てはっとした。

「大変、そろそろ行かないと遅れちゃう!!結花、しばらく戻って来られないから会えないと思うけど、会ったときにまた話、聞かせてね。それと、ちゃんと自分の気持ちに素直になった方がいいよ。あと余計なこと考えちゃうと、よく分からなくなっちゃうことがあるから気をつけて。じゃあね!」

そう言うと、ネネは立ち上がり、来た時と同じ、もしくはそれ以上の勢いでお店の外へと飛び出して行った。窓から見ると、ネネはちょうど、近くに停めてあったらしい馬車に乗るところだった。そして、その馬車はあっという間に去っていった…。窓から外を見つつ、私はぼんやりと考えた。自分の気持ちに素直に…。スイさんにも前に言われた言葉だ。素直に、か…。何故かその言葉が頭の中から離れない。私は窓辺でしばらくぼーっとその言葉について考えていた。………。たぶん、ネネが言いたかったのは、振られた場合とかそういうのは考えず、自分の気持ちを大切にした方がいい、ということだと思う。きっと、スイさんもそう思ったのだと思う。今はまだ、そのことに関して気にしてしまうけど、いつかちゃんと、自分の気持ちを伝えられたらいいな。…いつか、きっと。

読んで下さり、ありがとうございました。

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