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私の異世界花記録  作者: 立花柚月
六章 異世界花屋とメッセージ
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第九十五話

昨日投稿出来ず、すみません。

ロディル卿の設けた期限が半分ほど過ぎた頃のこと。この日、ようやく、翻訳が終わった!!全部で十ページ以上、文字だけでなく地図や花の絵も頑張ったと思う。私にしては、けっこう綺麗に描けたんじゃないかな?そう思いつつ、私は小屋を出た。ここ数日、晴れの天気が続いていたせいで庭の雪が三分の一くらい溶けてしまった。雪だるまも、大きさが小さくなってしまっている。でも、今日はまた雪が降っているから、また作れそう。楽しみ!でも、このままここにいると折角翻訳した紙が雪で濡れてしまうので、私は建物へと向かった。中は、ほんわりとしている。温度がちょうどいい。きょろきょろと色々な部屋を見ながらルイを探していると、植物置き場の部屋に明かりがついていることに気付いた。つまり、ルイの居場所はそこだ。そう思って私はその部屋を覗き込んだ。何してるのかな?って思ったのだ。しかし、何故か誰もいない。あれ??何でだろう?誰もいないのに、何で明かりが…?消し忘れたのかな?と思っていたら、後ろからいきなり声をかけられた。

「何やってるんだ?翻訳してたんじゃなかったっけ?何かあったのかよ?」

「わ…っ?!びっくりした…!あ、あのね、翻訳が終了したから報告しようと思って。そしたらここにいそうだったから来てみたんだけど、何故か誰もいなかったからおかしいな、って。じょうろに水を入れに行ってたんだね」

ルイは、水が入ったじょうろを持っていた。どうやら、そのためにここにいなかったみたい。というか、何でそのことに気付かなかったんだろう、私…。確かにこの部屋の中にじょうろはなかったのに、全く気付いていなかった。すると、ルイはじょうろを置いて、私から紙を取り上げた。こういう時のルイがいつも素早い気がするのは気のせいかな?!…というか、ルイが内容を読むつもりなら、その間にお水あげておいた方がいいかも。その方が効率が良いよね?そう思った私はじょうろを持ち上げたのだが、ルイはこちらを見ずに、紙をまじまじと見ながら一言。

「この前、大量に水やりしてたから、結花はしばらく水やりするな。たぶん大丈夫だと思うけど、微妙に怖くなる。とりあえずそこに置いとけ」

そ、それは…。さりげなく、蒸し返さないでほしいんですけど?ほとんど忘れかけていたというのに…。私は仕方なくじょうろを元の位置に戻した。…んだけど、何もすることがなくて、逆に何かしたくなる!!たぶん、ルイが字をじっくりと読んでるから、そっちを気にしてしまうからだと思う。だけど、水やり禁止されちゃったからな…。でも、すごく何かやって気を紛らわせたい…!なので、私は適当に植物置き場の花を見ていることにした。ちなみに、この前私が水をあげすぎた花は、何とか無事だった。でも、そのお花に対して非常に申し訳なかった。本当に気をつけないと…。お花に心の中で謝っていると、ルイが言った。

「読み終わった。…にしても、母さん、これだけよく調べられたよな。いつ調べたんだか。でも、少なくとも、屋敷を出る前だと思う。屋敷を出てからは仕事とかですごく忙しそうだったし。たぶん、調査して、更に記録までする余裕はなかったはずだ」

確かに、いつ書いた物なんだろう…?かなり前のだったら、分布図が少し変わっているかもしれない。でも、翻訳をしている間、私は千智さんの日記や他の記録も一緒に読んでいたけど、いつ調べたのかが分かるような文章はなかったんだよね…。そこら辺は、メアリさんに聞いてみた方がいいかもしれない。そして、日記などを全て読んで分かったんだけど、品種改良や、それに関する花についても何も記録が残っていなかった。ノートの端から端まで読みこんだので、自信がある。…要するに、ロディル卿から渡されたお花を育てるための手掛かりは全く何もなかったのだ。記録に書いてあったのは、この世界にしかない植物についてだった。それはそれで勉強にはなったんだけど…。でも、元々書いてあるかどうかも分かっていなかったし、しょうがないと言えばしょうがない。どこかにあったら良かったんだけどな…。

「ってか、結花、これメアリさんに送らないと。たぶん、楽しみに待ってると思うぞ。終わったなら早速出しに行ったらどうだ?」

「知ってる…。でも、今さらなんだけど、私の字で大丈夫なのかな?だって、芸術的な字なんでしょ?読めるかどうか、心配になってきた。ついでに言うと、どこに出せばいいのかよく分からない…」

何故かこの世界には、ポストらしきものがないのだ。私がそう言うと、ルイは妙な沈黙の後で言った。

「………まあ、何とかなるんじゃないか。読めなくはない。慣れれば素早く読めるようになるだろ。それに、メアリさんは優しいし、たぶん大丈夫だと思う」

メアリさんが優しいのは知ってるけど、それ以外が全然説得力がない!!というか、そう言われて逆に心配が深まったんですけど…?ルイはじっと文字を見ていたが、非常に曖昧な感じで「たぶん大丈夫」と言って私に紙を返してきた。いや、だから、更に心配になるんだってば!受け取りつつ、怪しい、と視線で訴えると、ルイは目を逸らして知らないふりをした。そして言った。

「とりあえず、封筒やるからそれに宛先書いとけ。たぶん、配達人は色々な字を見たことがあるだろうから、読みにくい…じゃなくて、個性的な字も解読できるだろ。その間に俺は水やりしておく」

…。とうとう、読みにくい、って言われたのですが。否定しないけど!できないけど!!でも、何か悔しいのも事実である。本当に、何で私のシェーロン語って壊滅的なのかな…。…あ、そうだ。部屋を出る前に、花の芽の様子を確認しておこう。私は小さな箱に近付いた。ちょっとだけ、大きくなったかな?でも最初に比べたらかなり大きくなったと思う。…間に合うといいな。特にこのお花に関する情報がないので、ものすごく不安…。その分、頑張らないとな。私が密かに決心しているとルイが

「でも、字は前よりはマシになってると思うし、まあ練習したらもっと上手くなるんじゃないか?たぶんだけど。でも、芸術的な字のままにしておいて、何かの展示会に出してもいいかもな?」

と、笑いながら言った。いや、笑ってるんですけど?それと、もし飾られても全然嬉しくない!!そもそも、そんな展示会あるのかな…。あったとしても、絶対に出さないけど。もう、ルイは一体何なんだろう…。励まされたかと思ったら、からかわれたんだけど…。上げてから、一気に下げられたようなそんな気分。微妙に傷つくのと、悔しい。というか、そこまで言われるなんて私の字、本当に読めるかな?再び心配になりつつ、その部屋を出て大きめの封筒を探し、ペンで住所とかの宛先を書くことにした。前にネネから手紙をもらったことがあったので、どこに何を書けばいいのかは何となく分かる。そしてメアリさんの住所は、ルイに後で教えてもらうことにする。私はネネからの手紙の封筒を参考に、封筒に丁寧に文字を書いた。まあ、丁寧に書いても下手な文字であることには変わりないけど…。もし、配達人さんがこの文字を読めなくて戻って来ちゃったらどうしよう?色々と心配になっているけれど、とりあえず書き終わった。すると、水やりを終えたらしいルイがやって来た。早速住所を教えてもらうことにする。聞いたことのない地名だったので、何回か聞き返して、ようやく書き取ることができた。けど、文字がいびつになってしまった…。私がしょんぼりしていると、ルイが慰めてくれた。

「結花が頑張ってたのは知ってる。たぶん、メアリさんもそれを読んだら分かってくれると思う。それに、メアリさんはその記録が読めるようになるだけでも嬉しいんじゃないか?それに、送る前から心配してもどうにもならないだろ」

そう言ってルイは、私に糊を投げて渡してきた。恐らく、封筒を閉じるための。当たったらどうするんだ…、と思いつつそれを受け取った。いい加減、物を投げて渡すのやめないかな…。私は紙を封筒に入れてしっかりと封をした。届きますように。あと、メアリさんがこの字を読めますように…。そして、もしメアリさんに再び何か送ることがあったら、その時にはもっと上手く字を書ければいいな…。と思いつつ私は封筒を出しに行くため、ルイと外に出ることにした。


道の端っこにたくさん雪が積もっている。元の世界では、日本海側くらいでしか見られなさそうな光景だ。まあ、街並みは西洋っぽいから、実際にそこら辺で見られる景色とはちょっと違うかもしれないけど。物珍しくきょろきょろと周りを見ていると、雪で滑って転びかけ、手に持っていた封筒を落としそうになった。ルイは私が落としかけた封筒を空中で掴み、私には返さず自分で持った。

「これなら、もしまた転びそうになっても何とかなるだろ。それに、封筒も落とさずに済むだろうし。ってか大丈夫かよ?何だったら手、繋いでた方がいいか?」

「……!!?え、いや、大丈夫、平気だよ!!全く問題ないから!!気をつけてればたぶん、転ばないと思う。それに、転んだ時にルイまで巻き添えになっちゃったら申し訳ないし。だから大丈夫だよ!」

急にそんなことを言われても?!手を繋いだら逆に動揺して転びそうだし!!それに、そういうのって恋人同士がするものでは?どうしてもそれを意識してしまう。…たぶん、言った本人は全くそんなことを考えていないんだろうけど。と一人でぐるぐると考えていると、ルイは私の手を取った。…!?あれ、私、遠慮したはずなんですけど?何でそうなった?私が非常に動揺していると、ルイはやや早口で言った。

「…その言葉を聞いたら逆に心配になってきた。それに、この道、凍ってるところがあるからそういうところは避けた方がいいだろ」

どうやら、遠目にはよく分からないけど、意外と凍っているところは多いらしい。確かにそれは、冬の道に慣れているルイに教えてもらった方がいいかもしれない。あー、でも、やっぱりこの状況は緊張するんですけど!!しかし、ルイは私の手を握ったままなので、私もそのまま歩くことにした。非常に動揺しつつも、私はちらっとルイの方を見た。私はルイの少し後ろにいるので、その顔は分からないけど耳が少し赤くなっているような気がした。…きっと、寒さのせいだよね。…でも、もしそうではなかったら?想像しかけて、私は慌ててその考えを頭の中から消した。想像するのがちょっと怖い…。私は、転ばないように地面を見つつ、歩いていたのだった。

読んで下さり、ありがとうございました。

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