光と闇と暗黒の龍と魔王と塔とダンジョンと王女と魔法とモンスターと退屈な日常
第一章 光と闇と
そのゲームを少年が見つけたのは、水曜日の五時間授業が終わっていつも通り学校から帰ってきた午後四時過ぎだった。母親から部屋の掃除を命じられ、仕方なく掃除という名の元にクローゼットに物をひたすら積み込む作業をしている時だった。
少年はテトリスをするように物を隙間に突っ込んでいたが、もうクローゼットには物を置く所なんて見当たらなくて途方に暮れていた。
「もういやだ!日本は狭すぎるんだ!」
と言って漫画をクローゼットの一番上に放り投げた時、ドン、という音がして天井の板が外れてしまった。
「やばい、怒られる…。」
と言いながら、学習机の椅子を引きずってきて、少年はその上に立って天井のずれた板を直そうとした。しかし、板の隙間から見える天井裏の暗闇の中に、何か四角い箱のような物があることに気が付いた。
今までそこに何か入れたことなんて無いし、そもそもそんな所から天井裏が見えるなんて事も知らなかった。
少年は板をずらし、その箱を手を突っ込んで探ってみる。かなり大きな箱だ。
埃が大量に舞う中、少年は手を伸ばし箱の取ってを掴み、引きずりおろした。
しかし思ったより大きく重かったため、箱を抱えるようにして床に倒れ落ちてしまった。
「いった、、、くそ。」
幸いケガはなかったようだ。少年は箱を見てみる。シルバーのアタッシュケースというやつだ、と少年は思った。サラリーマンが持ち運んでファイルとかを入れるやつだよな、と思いつつ、ランドセルくらいの大きさのアタッシュケースを見回す。
鍵はかかっていないようだ。少年はドキドキしながら、その銀の箱を開けてみることにした。
「金が入ってんのかな」
思わず欲望が口から出てしまっていた。
取っての両脇にある四角いプレートを上にずらしロックを解除、そしてケースの蓋を持ち上げた。
「ん?」
中に入っていたのは、スーファミとコード類、そしてゲームソフトが一つだけだった。期待していたお金は一枚もなく、古いゲームが入ってるだけ。
「なんだよ…。スーファミかよ。なんであんな所に入ってんだ。」
もう一度クローゼットの天井を見る。そして箱の中に目を戻す。
いくら見てもただのスーファミだった。少年はゲームが大好きで最新機種はほとんど持っている。そして昔のゲームも、よく母方の実家に行った時におじさんが持っているスーファミでプレイしていた。だからスーファミは何度も触ったことがあった。
しかしソフトを手に持ってみて首をかしげる。見たことも聞いたこともないソフトだった。
「バーク ビバーク エンバーク。変なタイトル。」
と言って、ポケットから スマホを取り出して検索する。
しかしwikipediaにも載ってなければ販売・買取サイトにもそんなタイトルは出てこない。
ページを先にいくつも送っていってようやく、一つの情報を得た。
「開発途中で中止になった、幻のゲームたち…?」
そこにはゲームオタクが作ったサイトで、様々な事情により開発がストップしたゲームタイトルが並んでいた。その中に少年の手に持っているゲーム名があった。
「それがなんでここにあるんだろう」
と言いつつ、それ以上の情報が無かったためタイトルの意味を調べていく。
「バーク 犬とかが吠えること」
「ビバーク 野宿すること」
「エンバーク 冒険に出ること」
やっぱり変なタイトルだ、と思った。そして三つの意味を繋げて、RPGかな、と考えた。
「とりあえずやってみるか。」
少年は手際よくテレビについている最新機種のケーブルを外すと、スーファミを箱から取り出してセットする。そしてソフトの電子部分にフッと息を吹きかけ、スーファミに挿す。
「よし、やるか。」
とスイッチに手を伸ばす所で、チャイムが鳴った。
少年は時計を見て、タロウとヒューが遊びに来る事を思い出した。




