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拝啓、雇い主様  作者: 珠澤瑪瑙
01.カムイカラ
5/16

定期報告書No.58 (2)

…………、…………、……


【報告書に関する事項】


1つ。

乙は甲に対し、最低3か月に1回、乙の現状に関する定期報告書を作成しなければならない。

報告書の形状・書式は問わないが、可能ならば、紙面かデータ、それに類する物が望ましい。


1つ。

乙が甲に定期報告以外の報告書を作成するかどうかは自由とする。


1つ。

乙の責任範囲は報告書の作成までとし、乙が作成した報告書の受け取りは甲の責任で行うこととする。

なお、乙が報告書を作成し終えてから、甲が受け取るまでの猶予は最長1時間とする。

また、甲が受け取るまでの1時間は乙に報告書保管の義務があるが、1時間を過ぎた以降何らかの理由で報告書が破棄された場合は甲の過失とし、乙に書き直しの義務はないものとする。


1つ。

…………、…………、……


と、まぁ。

そんな感じでエラルに助けられました。


あんまりキレーな顔してるから実は王子、とか言われたらどうしようかと思いましたが、幸いというか何と言うか違いました。


フルネームはエラル・ディシー・ヤルサライ。

ディシーは属している家の持つ称号だそうで、実際はエラル・ヤルサライが名前みたいです。


称号って何だよ、と思いましたが、どうも功績によって国から授かるモノみたいで。

この国の古い言葉なんだって。

ディシーは「冷たい」とか「冷静」とか「氷のよう」って感じの意味らしいです。

意外と熱いとこもある気がするけど、見た目は確かにそんな印象です。


数年前の隣国との戦争で、エラルの活躍が評価されて授与されたんだとか。

これからヤルサライ家に代々残る模様。


エラルは軍属で、役職はなんと将官。しかも少将とか准将じゃなく大将ですって。

や、まぁ軍の総規模が違うから、俺の記憶にある「大将」よりも持ってる隊の規模は少ないんですが。

ただ、階級的にはその位置みたいです。総大将の1つ下、5人しかいない将の1人。


彼、御年18歳ですよ!

すげーなオイとしか感想がないですね。


ちなみにこの国では(この世界では?)、将官の階級名称としては上からジェニ、ウェニ、フェニ、スェニ、ツェニとなってるそうです。

尊称は名前の前に付ける文化なので、エラルはウェニ・エラルです。

エラルを知る人は大体そう呼んでます。

あとは「様」という意味でロマ・エラルとか、「殿」という意味でメイ・エラルとか。


え、俺?俺はエラルかロマ・エラルで呼んでますね。

あとどうやら平民は苗字ないらしいんで、俺はマキだけでいいやと思ってます。


町まで連れてってくれればほっといていいよって言ったのに、エラルは律儀に俺に部屋を貸してくれました。

でも最初の方は本当にやることがなくて、完全に穀潰し☆


☆とか書いてますが、小心者の俺としましてはちょっと胃に来るよね。

せめて屋敷内の掃除とか料理とか、と思ったけど、仕事獲るなと言われちゃったし。

軍は身元不確か過ぎて入れなかったし。


なかなか上手くいかないものです。

……これもまぁ、いつものことですが。


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