その8
泰智パートです。
「……暇だな。
早苗が言ってることもわかる気がする。」
泰智は診療所の中をぐるぐる回っていた。
「いつもだったらゲームとかしてたのにな。
暇すぎてしょうがない。」
泰智がだらだら歩いていると突然何かが落ちるような音がした。
「うん?
この診療所に誰もいないのに。
どっちらか寝返りでもしてベッドから落ちたのか?
……まぁそれはないだろう。」
泰智はウズルさんのいる病室を見るが特に異常はなかった。
次にこころの病室を覗いて見ると、ベッドに寝ているはずのこころがいなかった。
「……連れ去られたのか?
それとも自力で逃げたか。」
泰智がベッドに近づくと、
泰智のいる位置の反対の方から下から手が出てきてベッドを掴む。
反対側を見るとこころが必死に立ち上がろうとしていた。
「……いたよ、普通にいたよ。
何かずっと見てると生まれたての小鹿みたいだな。」
こころが頑張って立ち上がるが、
足がフラフラしていて転けかけた。
さすがに危ないと感じて泰智がこころの体を支える。
「こ~ら、まだ怪我は完治してないからゆっくり寝ないと。」
泰智は優しい声でこころに言う。
こころは少しきょとんとした顔になる。
泰智はこころをベッドに寝かせて毛布をかける。
「とりあえず傷が完治するまで動くなよ。」
こころは目をパチパチしながら首を傾げる。
「あ、あれ?
言葉わかる?」
こころはきょとんとした顔で首を傾げる。
「こ、これは困ったな。
色々聞きたいことがあったんだが。」
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