その1
翌日。
「ふー、よく寝たぜ。」
蓮はそう言って階段を降りる。
「おはよう。
……誰も起きてなかった。」
蓮は近くにあったイスに座る。
「さて、今日は何しよう。
にしても腹へったな、昨日の昼から食べてなかったな。」
「おはよ~。」
蓮が食べ物の事を考えていたら早苗が眠たそうに降りてきた。
「早苗、おはよう。」
「うん、蓮ちゃん蓮ちゃん、朝御飯何?」
早苗はあくびをしながら蓮に言った。
「いや、俺も起きたばっかだ。」
「じゃあ作って。」
「いや、俺は料理はあんまり作ったことがないんだ。」
「え~。
じゃあ泰ちゃんか香奈ちゃんが来るまで朝御飯無いの~?」
「そう……なるな。」
「……。」
早苗は少し黙る。
そして、玄関向かって歩く。
「早苗?」
「ちょっと泰ちゃんの所に行ってくる。」
「いやいや、今泰智は絶対忙しいって‼」
「そんな根拠ないじゃん‼
今休憩してるかもしれないじゃん‼」
「それこそ根拠がないじゃねーかよ‼
大人しく帰ってくるのを待とう‼」
「いつ帰ってくるの⁉
もしかしたら昼まで帰ってこないじゃん‼」
「お前はもう少し待とうという気持ちは無いのか?
だったら自分で作ればいいじゃねーかよ⁉」
「あ、それもそうだね。
じゃあ自分で作るよ。
絶対に蓮ちゃんにはあげないからね。」
急に大人しくなる。
「いらねーよ。
早苗は何でそんなにご飯が食いたいんだ?」
「お腹が減ってるからそれだけ。」
「あ、そうですか。」
十分後。
「フッ、できた。」
「ん、どんな感じだ?」
蓮は台所に向かって早苗が作った料理を見る。
早苗が作った料理は二つあった。
一つは野菜を切らずにただドレッシングをかけただけのサラダと、
焼きすぎて真っ黒焦げのパンがあった。
「ふっふっふ、どう?
これぞ私の最高傑作の料理だよ。
食べたいって言ってもあげないからね。」
「いらねーよ。」
「ははーん、嫉妬してるでしょう?
私がこんなにも料理が上手だったこと。」
「いや、どう見ても失敗だろ。」
蓮がそう思っていると早苗は手を会わせて。
「じゃあいっただっきます‼」
早苗はそう言ってパンをひとかじりする。
しかし、表情かみるみる変わっていく。
不味いのだろうと蓮は思った。
「れ、蓮ちゃん……食べる?」
「いらない。」
「お願い蓮ちゃん食べて‼
少しでいいから食べて‼」
早苗は少し目をうるうるさせながら蓮にしがみつく。
「嫌だよ‼
見た目でもうまずいのわかるし‼
あとさっき俺にあげないと言ってたじゃないか‼」
「さっきのノーカンで‼」
「認められるか‼」
「ただいま~。
……何やってるの?」
そこに泰智が帰って来た。
「あ、泰智お帰り。
早苗、ほれみろ帰って来たじゃないか?」
「何のことかな?」
「こいつ、とぼけやがって。」
「で、何してるの?」
「いや、早苗が自分で料理して、
不味かったから俺に押し付けようとしてた。」
「なるほど、じゃあ今から作るから待っといて。」
「わーい。」
「ま、朝御飯食べれるからいいや。」
「あ、その作ったやつ二人で食べきれたらいいよ。」
「「え?」」
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