その32
「フェンディル王国を出て五時間かかってやっと村についた。」
「みんな降りるぞ。」
馬車から降りるとウズルさんがいた。
「お前らお帰り。
あと、メイシャや陽子も久しぶりだな。」
「ただいまです。
……キドさんは今いますか?」
「ここにいるが何かね?」
背後からキドさんが現れる。
「久しぶりだね。」
「キドさん、そんなお芝居やめましょう。」
「……何を言ってるのかわかないんだが。」
「あなたはキドさんの偽物でしょう。
手紙を読みました。
入れ替わって本人も見つけました。
どう言い訳するんですか⁉」
「………………。」
キドさんは少し黙る。
「何か言ったらいいんじゃないですか⁉」
「あ、早苗、香奈を安全な所に連れていくわ。」
「私も私も‼」
「お前らな。」
泰智と早苗は香奈を抱えて自分達の家に向かった。
「で、何か言ったらどうなんですか?」
「フッ、まさかこんなくそちびどもに作戦を知られるとは、
全く最悪だよ。」
「やっと本性が出てきましたね。」
「まぁいい、それで私をどうするんだね?」
「本人とまた入れ替われ。
そしたら見逃してやる。」
「ふん、そんなことで私には通用しませんよ。
あなた方の考えは入れ替わった瞬間に私を倒すのでしょうが、
私だってそんなに頭は悪くありません。」
「そうかい。
じゃあ後ろを見てみ?」
「ふん、そんなハッタリ、」
キド(偽物)は突然後ろから膝かっくんされバランスを崩し、
すぐさま取り押されてしまう。
「な、だ、誰だ⁉」
「後ろを警戒しないと痛い目みますよ。」
そこにはさっき香奈を抱えて家に向かっていたはずの泰智がいた。
「な、さっきはあっちに向かったはずなのに。」
「いや、すぐに香奈をベッドに寝かして、
違う方の門からこっちまで来た。」
「な、なるほど。」
「あ、あとそれとこのままお前の首もへし折れるから。」
「……わかった。
素直に入れ替わるよ。」
「それでいい。」
感想や評価、ブグマよろしくお願いします。




