一緒に居たい
「みんな~何処~?」
うっすらと暗い空間を早苗は歩いていた。見印もなくただ歩いていた。何時から歩いていたのかすら分からない。
「全く、みんな迷子になるなんて‼」
頬を膨らませ歩いていると、前に誰かが歩いていた。早苗はその人影を見た瞬間、泰智に似ていることに気づき走り出す。
「待って泰ちゃん‼」
必死に走っても追い付けないどころか、どんどんと離れていった。一回その人影は早苗の方を向いて、消えていった。
「……また、あの時と同じだ。」
その言葉とともに早苗はベットから転げ落ちた。そこは、異世界に来てから住んでいる家の天井だった。しばらく天井を見ていると、みんなは?と思い部屋を出ているか確認する。そっとドアを開けると、蓮や香奈、フウやコウが寝ていて安心はしたが、泰智だけ部屋に居なかった。
早苗は、急いで階段を降りリビングに入ると、うとうとしながら編み物をしていた泰智がいた。
「お、早苗起きたのか。って、汗だくだな。」
ハッと気づき早苗の方を見ると、顔に汗がびっしょり濡れていた。
「あ、本当だ。」
顔を触ってみると、少しベタベタしていた。
「変な夢でも見たのか?取り合えずこれで拭け。」
早苗にタオルを渡すと、編み物を止め軽く腕を伸ばした。
「……うん。暗闇でみんな居なくて、泰ちゃんっぽい人を見つけて追いかけたけど、一回私の方を見て消えちゃった。そこから起きた。」
「……その時に卒業式を思い出したんじゃないか?」
「やっぱり泰ちゃんには何でも分かるんだね。うん、その光景が何となく一緒だったんだ。卒業式、一緒に帰ったあの日、近くにいるのに遠く感じたんだ。その時一回私の方を見たでしょ?」
早苗は少し涙を浮かべながら語った。
「あぁ、途中から返答が無かったから振り返ったらお前が泣いていた。何となく理由は分かってた。高校から一緒にいる時間が減っていくって。そして、離れて話せなくなること。」
「今回の件もまた離れて寂しかった。何処かに消えるんじゃないかって、心配していた。ううん、この世界に来てからそんなことを考えていた。」
「早苗……こっち来て座れ。」
早苗は泰智の隣に座ると、おでこにデコピンされた。
「お前がそう思うかも知れないが、生きている限りは側に居てやるから安心しろ。早苗を消えさせしない。だから……泣くな。」
早苗は、泰智の言葉を聞いてポロポロと涙を流した。
「……うん。ずっと居てね。」
早苗は、泰智の太股を枕にして泰智の顔を見上げ笑った。そして、そのまま寝てしまった。
それと、同時にコウが目を掻きながら降りてきた。
「まだ起きてたんですね。」
「わりぃ、起こしたか?」
「いや、少し喉が渇いたので水を飲みに。……少し話聞きました。少し失礼だと思うんですが、泰智って早苗と付き合っているんですか?」
「いいや?付き合ってないが。」
コウの質問に対して意外な返答が返ってきたので、少し固まった。
「じゃあ、さっきの一緒に居てやるってのどういうわけですか?」
「うん?別に意味はそのままだが?」
「……天然ってこう言うことか。失礼、何も聞かなかったことにしてください。じゃあおやすみ。」
コウは水を飲んだ後、そのまま自分の部屋に戻った。泰智はえっ?と思ったが、眠たくなってきて早苗を部屋に戻して自分の部屋に戻った。ベットの横に竜王とクミの折れた剣を置いて寝た。
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