例の物
それからしばらくして、一週間が終わった。
「さて、あの二人は大丈夫かな?」
その日の夜、アテノは店に戻り二人がどうしてるのか気になり二人の部屋の前まで来ていた。
「二人とも、完成したから出てきてくれないか?」
「は、はーい。」
ドアの前で二人を呼ぶと、ドアが開きげっそりとした泰智が出てきた。腕や足、顔に包帯を大量に巻いていた。
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫です。クミさんの特訓メニューが殺人的過ぎただけですから。」
「あれぐらい昔良くやっていたぞ?」
後からクミも部屋から出てきた。アテノはどんな特訓をしていたのか少し恐ろしくて聞けなかった。
「それより、例の物ができたから外に来てくれ。」
アテノは先に外に向かい、泰智達は特に何も用意することが無くそのまま外に出た。
店を出ると、泰智には見慣れた物がそこに置いてあった。一言で言うと、バイクがそこにあった。BMW K 1200Sに似たようなバイクだった。
「これがクミから直してくれと言ってたものだ。どの部品も珍しく、何処がどうなってるのか分からなかったが、何とか直した。」
「な、何でこれがあるんだ?」
「大分前に、川でこれが水没してたんだ。それを私が拾った。
初めてこれを見たときおかしな物だなと思ったが、車輪が着いていたから何かの移動手段と考えて渡したんだ。
それより、これを知っているのか?」
「い、一様知ってます。あの、燃料の方は大丈夫何ですか?」
「燃料?」
「えっと、これを動かす動力です。」
「あぁ、その事なんだけど、確かに油っぽい臭いがしたんだが、良くわからなくてね。知り合いに相談して魔術回路を組み込んでみた。そこのハンドルを持って回すと魔力を消費しながら走るようになった。」
それを聞いて泰智はすっげぇ便利だな。温暖化対策にもなるなと思った。
「凄いですね。誰が回路を組んだんですか?」
「ムーナって言う人が組んでくれたんだ。まぁ、その人も俺達と同じ一族なんだけどな。」
「そうなんですか。」
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