信頼しない理由
「九歳の頃、私はいつものように剣を振っていた。当時の私は、親以外はあまり話さず、ひたすら自分の剣の技術を磨いていた。
そんなある日だ。私と同い年の女子が現れこう言った。『私の名前はカノン。ねぇ、私と一緒に修行しよ‼」と。私は最初戸惑ったよ、突然何を言い出すんだ?と。最初は好きにすればと言ってあまりカノンには目もいかなかったよ。どうせ、今日だけだってね。
でも、次の日も来た。その次の日も。次第に私達は何時のままにか友達になっていた。あまり趣味とかそんなのは話さなかったが周りから見ると、仲が良かったのかもしれない。それと同時に二人の男子も一緒に修行した。レモンとソックって名前だった。」
クミが話す仲間の事は泰智が考えていた事よりも以外と殺伐とした出会いではないと分かった。
「意外と良い話ですね。それにクミさんと仲良かったんですか。てっきり仕事仲間だと思ってました。」
「まぁ、ある意味仕事仲間だったかもしれないな。」
クミは、足をぷらぷらしながら続きを話す。
「それで、しばらくして村長の命令で何個か依頼も受けたな。最初の数件は難なくこなしたよ。……でも、カノン達は、敵に見つかったりしてその旅に私も援護してた。」
「……普通にクミさんが仲間を助けた良い話じゃないですか?」
「……それは、突然起きた。何時も通り私達は依頼をこなしたが、カノンが敵に見つかり私が助けたが、代わりに私は足を負傷して大人数十人に囲まれた。当時の私はみんなが助けてくれると思った。
たが、みんなは私を一回見た後、助けもせず置いていった。大人数十人は何とか巻いたが、私は帰ってみんなに聞いた。何故助けてくれなかったのか。カノンは『た、助けに行くつもりだったんだけど。み、みんなが。』と言い、他の二人は『お、お前が逃げたから‼』、『俺が助けに行こうって言ったのに逃げたのはお前だろ‼』と醜い言い訳や擦り付けが始まった。
しまいには『怪我をした貴女が悪い‼』や『撤退時間が過ぎてたから悪くない‼』と言い始めた。
私は思ったよ。信じるから駄目だ。頼るのがいけないんだ。仲間がいるから駄目なんだ。そっちが見捨てたんだったら私も同じことして良いよね?その結果、誰も居なくなった。」
途中からクミの声は悲しそうな声でそう語った。
「そう、だったんですか。」
「……だから、この一件が終わったらもう私に構わないでくれないか?」
クミは、フードを深く被って言った。
「そう……分かった。」
泰智は空を見上げながらそう言う。
「……すまないな。」
「なら、俺はクミさんをこれから信じることにした‼」
素直に聞き入れたと思ったが、突然変なことを言い出しクミはポカンとなった。
「……は?」
「クミさんが俺を信じなくとも、俺はクミさんを信じる。」
「さっきの話を聞いていたのか?私は仲間というものが邪魔なんだ。私が信頼する人物以外は全員敵だと思ってる。」
「じゃあ、クミさんが信じれる人物になるわ‼」
「……勝手にしろ。」
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