野宿
その後も森を歩いていったが、すっかり夜を迎えた。
「クミさん、さすがに今日はここまでにしましょう。」
「そうだな。ここで野宿だな。」
二人は足を動かすのを止め、近くの木にもたれ掛かる。
「野宿するの初めてだな。」
泰智の表情は何処と無く楽しそうな表情を浮かべる。
「……嬉しそうだな。」
「めったにない体験ですからね。」
「じゃあ私は寝る。」
「え、もうですか?ご飯とか食べないんですか?」
「……私は、人が出す食事はあまり信用していない。親からそう教わった。」
「自分で作ったりは?」
「出来るが今日は疲れた。」
「じゃあ俺がクミさんの目の前で作ったら安心して食べれるよな?」
「……そもそもお前は料理が出来るのか?」
「自分で言うものあれなんだができるぞ。」
「なら、簡単な物で頼む。でも、監視はさしてもらう。」
「はいはい。」
泰智は、ストレージに入れていたフライパンと卵と食パンを取り出した。
「……前回も思ったんだが、一体何処から出しているんだ?」
「第三のポケットから。簡単に作れそうな食事はそこに入れてるんです。」
「ふぅーん。」
その後、近くの木から枝を焚き火にし、その上にフライパンを熱する。そこに卵を割り目玉焼きにする。その目玉焼きを食パンに乗る。
「はい、出来上がり。何もしなかったでしょ?」
「……じゃあ、いただきます。」
クミは目玉焼きのせ食パンを一口食べる。そして、無言で残さず食べた。
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