一時的な別れ
「それはそれとしてどうしたら香奈達を元に戻してくれるんだ?」
泰智は寝そべって聞く。その姿を見て泰智も殴ろうかと思った。
「次来たときに解放するよ。さて、話をこれぐらいにしとかないとあいつがうるさいんで。」
ヒロは泰智と蓮の所に近づき何かを唱えた。そのあと「じゃあ二人とも快適な空の旅に行ってらっしゃい。」
その言葉と同時にヒロは蓮の左肩を触った。触ったとたん蓮は左の方に大砲で飛ばしたかのように壁を突き破り飛んでいく。
「おぉ~、凄い。凄いけど大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫。ちゃんと色んな魔法二人にかけたから。」
「そうですかい。」
ヒロは泰智の右肩を触り蓮と同様右に飛んでいった。
「さて、しばらく暇だな。……で、サラさんは何でいるんですか?」
ヒロがそう言うと、空間に穴が空いてサラが出てくる。
「様子見に来ただけ。それより。」
ヒロは溜め息を漏らし言った。
「敵を逃がしたでしょ?分かってますよ。」
「今回ばかりは見逃せないわね。いったい何を考えてるの?」
「ちゃんと石は回収したよ。文句は無いはずだよね?」
サラは肩を下ろし溜め息をした。
「確かに、私は目的を達成してくれた文句は無いわ。でも、プトラは何を言うのかね。」
「プトラが敵の名前を覚えて帰ってくるわけがない。覚えてくるのはその敵を気に入った、もしくは今はまだ倒してはいけない敵。だから今回は特別に生かした。それだけだ。」
ヒロはプトラの名前が出るのを待ってたかのように生かした理由を説明した。
「なるほどね。それよりこの話聞かれて大丈夫なの?」
「えっ?何で?」
ヒロはキョトンとして何も気づかない。サラはさっきより深い溜め息をして、指を指した。指差した方を見ると、フウとコウがその話を聞いていた。二人は慌てて寝たフリや死んだフリとかしたが遅かった。
「あー、大丈夫だよ。聞かれて損はないし。でも、二人にはこの迷路をクリアしてもらおうかな?」
ヒロは玉座の裏から小さな木箱を取り出し二人に向けて開けた。すると、二人の体はその箱に吸い込まれた。その箱を再び玉座の裏に置いた。
「じゃあ俺は二人が来るまで寝とくわ‼」
サラは分かったと言って空間に空いた穴に入った。空間の中を歩きながら彼女は再び溜め息をし、振り返り言った。
「……魔王の能力で昼寝なんて勿体無い。」
空間の穴はゆっくり塞がった。
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