その27.5
「う……うーん。」
目を開けると上を見ていた。
そして思い出す。
なぜこんなことになったのかを。
「いつから寝てたんだ俺?」
一人言を呟く。
辺りを見回すと三人の男女が寝ていた。
「あれ?
何でお前ら寝てるんだ?
そこで寝てたら風邪引くぞ。」
そんなこと言うが聞こえない。
泰智は立ち上がり、
香奈をお姫様抱っこで持ち上げて、
自分が寝ていたベットにそっと寝かせる。
「全く、何でこんなことしなくちゃいけないんだ?」
続いて、
早苗をおんぶで持ち上げて隣の部屋のベットに寝かせる。
「蓮はどの部屋だっけ?」
続いて蓮を引きずって早苗の隣の部屋のベットに寝かせる。
「ふぅ、さてどうするか。
さっき寝てしまったし、
……外の空気でも吸うか。」
そう言って泰智は家を出た。
「……なんだろうな、
何日か寝てたせいで、
見てた景色が違うなんて。」
それは泰智が倒れる前の村とは思えなかった。
何故なら、村の人達がこんなにも笑顔で話してることが。
一見普通かもしれないが、泰智はその光景に見とれていた。
まるで昔の自分を見てるようだった。
「やぁ、よく休めたかい?」
「ん?あぁ、キドさん。
おかげさまでよく休めました。」
「それは良かった。」
「キドさん。
俺って何日寝てました?」
「3日寝てた。
蓮くん達も。」
「そうですか。
3日でみなさんイキイキしてますね。」
「村のみんなが無事だったこともあるし、
村が完全に直ったからな。
ここんとこ、最近忙しかったからな。
やっと終わってみんな思ってることを話してるんだろうな。」
「そうですか。」
「君たちには本当に感謝してる。」
「いえ、当たり前のコとをしただけです。」
「それでも君達が来なかったらこの村は終わってた。」
「キドさん、今はそんな昔のことを考えるんじゃあありません。」
「泰智君?」
「村の人達が全員助かったこともあるしだけを考えましょう。」
「……そうだな。
昔の事を考えたって、
もう結果は出てるな。」
「はい。
村が助かった。
それだけです。」
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