その34
図書室の二階。
「……へぇー、本読むの早いね。」
「そ、それほど早くありませんよ。」
「そう……それよりその本を読んでみてどう思う?」
「まだ序盤らへんですけど。」
「その序盤の感想を聞きたいの。」
「……どこにでもある絵本みたいな感じでした。」
「おぉ~、そう当たりだよ。
その本は大分昔の絵本なんだよ。」
「え、そうなんですか?」
「……おねぇ、暇~。」
「そういわないの。」
「何か他にないの?
魔法のステッキとか‼」
「それなら、あそこの箱に魔術で作った物あるから見ていいわよ。」
「わーい‼」
「す、すみません。」
「いいのよ。
ここに来るのは一部の人しか来ないし。」
「なら、ここに来たときは絶対にここに来るよ。
そうすれば本の話で盛り上がるよ。」
「その時はクッキーと紅茶を用意しとくわ。」
「わたしが来たときは何も用意してくれないのななぜかしら?」
「おねぇ、あなたはまず本を返しなさい。」
「それを言ったらおしまいよ。」
「ミチ様~、言われた本を取ってきました~。」
スミレは飛びながらそう言う。
「ありがとう。
スミレ、少し休憩した方がいいわよ。」
「いえ、私はまだやることがありますので。」
「香奈ちゃん香奈ちゃん‼
この瓶の中に入ってるの何かな⁉」
「早苗、あんまりさわらないの。」
「ちょっと中身確認していい⁉」
「いいわよ。」
「やった~‼
……ぐぬぬぬ中々空かない‼」
早苗はそういって思いっきり蓋を外そうした。
蓋は外れたが瓶が早苗の手元から離れて下の階に落ちる。
「あ、落ちちゃった。
香奈ちゃんどうしよう。」
「ハァー、まったく。
早苗、濡れてない?」
「うん、大丈夫。」
「落ちた瓶は回収しときます。
どこに落ちました。」
「ちょうどこの下に。」
「魔術棚の方ですか。
……あ、確か男性の方がそこに行きました。」
「え?」
香奈と早苗は下の方を見る。
そこには頭に水を被った泰智がいた。
「あ、あの~、泰ちゃん?
だ、大丈夫?」
泰智は満面の笑みで本を閉じる。
「早苗。」
「は、はい‼」
「そこから動かないでね。」
泰智は本を本棚に戻すと物凄い勢いで走る。
「ギャァー‼
よりによって泰ちゃんに落ちちゃった‼」
「み、ミチさん‼
あの水に何か魔法とかかかってますか⁉」
「その水は確か失敗作だったから何の効果があるのかわからないわ。」
「ひー‼」
「おっ待たせ~。
早苗、ちょっとこっちにこい。」
「あ、はい。」
「早苗、今回はわざとじゃないんだよな?」
「は、はいそうです‼」
「失敗は誰にもある。
その失敗を元に頑張れよ。」
「い、いつもの泰ちゃんじゃないよ‼
何、瓶頭にぶつけておかしくなったの⁉
それとも何かたくらんでるの⁉」
「よし、殺す。」
「何で~⁉」
「まともなことを言ったらこれだ。
……早苗ちゃん、ここから飛び降りる覚悟はできてるかな?」
「ごめんなさい嘘です‼」
「まったく~、本はぎりぎり濡れなかったかいいものを。」
「それを聞いて安心したよ。
で、瓶は?」
「キャッチしました。
それと、タオルか何かありませんか?」
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