その16
「さてと、そろそろ始めるか。」
「な、何をだよ。」
「さっきも言っただろう?
死あるのみと。」
「殺すのか?」
「ああ、そうだ。」
「泰智早く助けて‼」
「無駄だ。助けに来ない。」
「泰ちゃん早く‼」
「このもの達をあそこへ。」
「かしこまりました。」
無理矢理連れていかれた先にはでっかい壺があった。
「これでお前らを茹でる。」
「うわぁー。」
「さて、こいつらを縛れ。」
「はい。」
二人の化けもんは近づいてくる。
「やはり、残りの人間は助けに来なかったな。」
「そんなこ、」
「そんなことないな。」
「そんなことないわよ。」
俺達の後ろの化けもんが言う。
「え?」
「貴様何を言う?」
「そんなことないと、言ったのが聞こえなかったのか?」
化けもん二人は徐々に姿を変えていく。
俺達のよく知ってる人物に変わった。
「お待たせしました。」
「泰智、香奈遅いぞ‼」
「遅いよ、泰ちゃん、香奈ちゃん。」
「ば、ばかな、人間が助けに来ただと?」
「これが友情だ‼」
「くっ、お前らこ奴らを捕らえよ‼」
「…………。」
「お前ら、早くこいつらを、」
化けもんが後ろを見ると他の仲間は倒れていた。
「お、お前ら?」
「大丈夫だ寝てるだけだ。」
「くっ、げほ、げほ。」
「おい、あんた大丈夫か?」
「敵に、情けなど、げほ、げほ。」
「泰ちゃん、この人診てあげたら?」
「そうだな。」
「人間、なぜ?わしはこやつらに、」
「早苗が診てと言ったから。」
「……わしが間違ってた。」
「いいから早く横になれ。」
しばらくして、泰智は化けもんの診察を終わった。
「あんた名前は?」
「マガザだ。」
「よろしく。」
「馴れ合うつまりはない。」
「とりあえず、ましにはなったはずだ。」
「とりあえず例は言う。」
「どーも。ずいぶん迷惑をかけた。
すぐに森を出ていく。」
「いや、待て。
お主達、木が欲しいんだろう?」
「そうだが、木はこの森の、」
「あの木ならやる、
ついてこい。」
俺達はマガザの後を追った。
「この木だ。」
「これは?」
「永遠の木、わしらはそう読んでる。
この木は、切っても数日後に芽がでて、
一週間で育つ。」
「いいのか?」
「あぁ、お主らなら信じられる気がしてな。」
「何で?」
「助けに来ないと思ってた。
人間とはそんなのだと思ってた。
しかし、助けに来た。
それにそこのお嬢さんの優しさと
あんなことしたのに、わしの持病を
治してくれた。それを、
素直に聞いたお主も優しい心を
持っていた。」
「そ、そうですか」
「長いこと生きてきたが、
こんな優しい人間は初めてだ。」
「そうですか。
それは良かった。」
「というわけだ。
ここにある永遠の木の苗を五本持っていってもよい。」
「ありがとうございます。マガザさん。」
「フフ、本当に面白いな。」
俺達はマガザさんから苗を手に入れた。
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