その17
エリュテーマ王国の裏通り。
「泰智君、何で裏通りに来たの?」
「香奈、ストーカーにあったことある?
もしくはストーカー被害にあったことある?」
「え?
何でそんなこと聞くの?」
「丁度、後ろにストーカーがいるからさ。
あ、後ろ振り向くなよ。」
「じょ、冗談だよね。」
「いや、さっきからおんなじ人がついてきてな。」
「え、どうするの?」
「走る準備しとけよ。
あそこを曲がったら走るからな。
ミクロちゃんもしっかり捕まっとけよ。」
「わ、わかったわ。」
「わかった~。」
泰智達は次の角を曲がろうとすると
二人の男が立ちふさがっていた。
「あ~、やっぱり他の仲間もいたのか。」
「へへ、やっぱりいい女だな。」
「それに幼女もいるじゃねーか。」
「うわ~、変態だ。
それとロリコンだ~。」
「そんなこと言える立場か?」
後ろを振り向くと更に二人いた。
「で、何?
俺を殴ってでも俺の仲間を取るのか?」
「それもいいな~。
でも俺らはそんな手荒な真似はしたくないんだ。
君達が断らなければこの男には何もしないよ。」
「お断りします。」
「は、即答か。
なら仕方ないな‼」
「よくいった香奈‼」
泰智は後ろの二人に素早い蹴りを入れ
香奈の手を引っ張る。
「さて、逃げるか‼」
「何で笑ってるのよ‼」
「今最高にわくわくしてるからさ‼」
「私も~。」
「ちっ、逃がすか‼」
「さて、このまま逃げるのは追い付かれるから
……仕方ないな。」
「え?」
泰智は次の角を曲がり止まる。
「た、泰智君どうしたの?」
「香奈率直に言う。
……おんぶさして。」
「な、ななな、何言ってるの⁉」
「このままだと追いつかれる。
なら俺が香奈をおんぶしたら早く走れる。」
「む、無理無理無理‼」
「いけるって‼」
「待てやごらぁー‼」
さっきの男が鉈をもって追いかけてきた。
「早く‼」
「も、もう分かった‼」
「よし、飛ばすぞ‼」
泰智は香奈をおんぶしたまま走る。
「やっぱり香奈は軽いな。
しかしやっぱり肩車とおんぶを同時にしたら結構しんどいな。」
「は、恥ずかしい。」
「あはは‼
早い早い‼」
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