その48
宿の前。
「じゃあな、次は会うときは酒飲めるようにしとけよ。」
「一生無理だよ。
二人とも忘れ物とかはないか?」
「あ、すみません少し待ってください。」
野狐はそういって馬車を降りて泰智の前に来る。
「これ、ありがとうございます。」
野狐は背負っていた剣を取りだし泰智に渡す。
「いや、これはお前が持っとけ。
それで次は妹さん守ってやれ。」
泰智はそういって野狐に渡す。
「わかりました。」
「黒髪の兄ちゃん、私にも何か頂戴。」
「こら、天狐‼」
「う~ん、そうだな。
じゃあこの宝石をあげるよ。」
「え、いいの⁉」
「別に宝石とかあんまり高い物とか持ってるだけで怖いしな。」
泰智はそういって天狐に宝石を渡す。
「すみません、泰智さん。」
「気にするなよ、俺があげたんだから。」
「じゃあそろそろ出発するか。」
「わかりました。
……蓮さんと泰智さん本当にありがとうございました。」
野狐は蓮と泰智に向かって頭を下げ馬車に乗る。
馬車はそのまま走る。
「また会おうぜ‼
じゃあなー‼」
泰智は両手を振りながら馬車を見送る。
「……いい兄弟だったな。」
「そうだな。」
「さて、おねぇ達が起きたら俺達も帰るか。」
「はい。
……あのおっさんはどこ行ったんですか?」
「飲みながら自分の家に帰ったよ。」
「そうですか。
あ、よっちゃんさん昨日剣を折ってしまいました。」
「あちゃー、折れたか。
なら、新しい剣を打ってやるよ。
それとさんはやめろ。」
「ありがとうございます、よっちゃん。」
「それでいい。
おーい、蓮も早くこいよ‼」
「はーい。
……何かさっきまで誰かに見られてた気がしたんだが
気のせいか。」
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