その33
「やっと階段の終わりが見えてきた。」
「油断するなよ、あいつがどこから攻撃してくるかわからんからな。」
「……と言っても一方通行ですけどね。
しかもすぐそこにドアが。」
「もうちょい距離を空けろよ。」
「開けますね。」
野狐はそういってドアを開ける。
中は椅子と机がだけの殺風景な部屋だったが
椅子に野狐の妹らしき人物が座っていた。
「天狐‼」
野狐がそう言うと野狐の妹は反応してこちらを見る。
「お兄ちゃん‼」
妹は兄を見ると少し泣き出しそうになったが必死にこらえ
野狐のそばにきて抱きつく。
「安心しろ天狐、もう大丈夫だ。」
「もうどこにもいかないでね‼」
「……いい話だな~。」
蓮は少し変な感じがした。
あいつはどこに行ったのだろうかと。
「……お兄ちゃん、もう少ししゃがんで。
顔をしっかり見せてよ。」
「あぁ、わかった。」
野狐は少ししゃがんだ。
その瞬間、蓮には天狐が少し笑った気がした。
それは、何かを企んでるかのような顔をしたような。
「……ねー、お兄ちゃんもっと顔を見せてよ。」
「何かついてるのか?」
野狐はギリギリまで顔を近づけると天狐は左手を後ろに手を伸ばす。
蓮はその時、何かヤバイ予感がして野狐の首に手を伸ばし後ろに引っ張る。
それと同時に天狐は野狐目掛けてナイフを振りかざす。
間一髪ナイフは野狐に当たらなかった。
「な…何が起こった⁉」
「あ~あ、もう少しで顔を当てれたのに邪魔しやがって。」
「天……天狐?
何言ってるんだ?」
「野狐……あれはお前の妹じゃない。」
「正解~。」
天狐はポケットから薬を取りだし飲む。
飲むと体は変化し髪の毛の色も変わる。
しばらくすると、天狐の姿をしてた人物は
さっきまで追いかけていたサギに変わった。
「やっぱりか。
何か必要以上に顔を近づけていたから怪しいと思った。」
「き……キサマァァァ‼」
「いいね~その顔♪
喜びから絶望になって憎しみ溢れるその顔。
俺そういうのが好きなんだよ。」
「……今まででこんなに糞野郎は始めてだ。
久々にキレちまったよ。」
「安心しろ天狐、もう大丈夫だって超笑えるんですけど~。
思い出しただけで笑いが込み上げてくるんですけど~。」
「お前だけは簡単には死なさん‼」
感想や評価、ブグマよろしくお願いします。




