その23
「で、でも。」
「戦略的撤退だ。」
二人はもと来た階段に向かおうとしたがいつの間にか少女が目の前にいた。
「どこ行くの?」
少女は首を傾げながら近寄ってくる。
「ど、どうしましょう蓮さん。」
「やっぱり少しやばいな。」
「一つだけ聞きたい。
何しに来たの?」
「い、妹を助けに来たんだ‼
邪魔するな‼」
「そう……じゃあ通さない。」
少女は剣を取りだし蓮たちに向ける。
「今すぐ出ていくのなら見逃してあげる。」
「逃げるかよ‼
妹がこのビルの中にいるのに逃げれるかよ‼」
「よく言った野狐。
二人で戦うぞ‼」
「そう……じゃあ恨まないでね?」
「ちょっと待てよ。」
蓮達のの後ろの方から声がした。
二人は後ろを振り向くと階段から誰かが降りてくる。
「だ、誰だ⁉」
その人は階段を下りきると二人は見覚えがあった。
「た、泰智⁉」
「な、何で⁉」
「クミ、そいつらを殺れ。」
少女は頷く。
「いや、泰智はほぼ毎日Tシャツだ。
長袖なんか着てるはずがない。」
「え……じゃあ偽物?」
少女の後ろの方で誰かが階段を上る音がする。
「ち、応援か⁉」
「ふぅ~、やっと三階か。
疲れた~‼」
その人物は座り込む。
「た、泰智か⁉」
「あ、何寝ぼけてんの?
お前どこかの頭でもぶつけたのか?」
「まぁ……本物で良かったよ。」
「はい?
……何で俺とおんなじ顔のやつがいるんだ?
ドッペルゲンガー?」
「ち、本物が来たか。」
「あ~、野狐が言ってた偽物か。」
「それより泰智、他の奴らは⁉」
「全員ボコった。」
「あ、そうですか。
それよりお前は誰だ⁉」
「挨拶が遅れたな。
俺はサギと言うものです。」
「詐欺しか。」
「俺の能力は顔を自在に変化できる。
こんな風にな。」
「それしかできないってことか。」
「……人をおちょくってると殺すぞ?」
「人に命令してるだけの奴が何を言ってる。」
「……クミ、まずその本物を殺れ。」
「うわ~、引くわ~。
自分は何もしないのに命令するとか引くわ~。」
「……変更だ。
半殺しにしろ、そして俺の前にだせ。」
少女は頷く。
サギは階段を急いで上る。
「蓮、お前らは妹さんを助けろ‼」
「泰智はどうするんだ⁉」
「こいつを止める。」
「わかった。
……死ぬなよ。」
「わかってるよ。」
「気をつけてくださいね。」
二人はサギの後を追う。
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