その22
「さて、入るか。」
「はい。」
蓮は少しドアを開ける。
少し開けたドアからチラッと中を見る。
中に誰もいないことを確認する。
「よし、誰もいない。
入るぞ。」
「慎重に行きましょう。」
二人は建物の中に入る。
中は階段以外に何も無い。
「階段しかないな。」
「まるでこちらを招いてる感じがしますね。」
「とりあえず階段を上るしかないな。」
二人はゆっくりと階段を上る。
そこには一回と同じような造りで誰もいなかった。
「誰もいないな。」
「いくらなんでも手薄すぎて気味が悪いですね。」
「こちらにとっても好都合だ。
だが、あいつが何時までもつか。」
「そうですね。」
二人は再び階段を上る。
三階も同じような造りだったが真ん中に一人の少女がいた。
髪の毛は黒色だった。
「……いるな、一人。
しかも黒髪。」
「どうします?
戻りますか?」
「そんな時間はないと思うが。」
少女はこちらを振り向く。
少女の目を見た瞬間、何か嫌な予感がした。
「……野狐、少しやばいかもしれない。」
「ど、どうしたんですか?」
「ねー、何話してるの?」
少女は二人に話しかける。
「に、逃げた方が良いかもしれないな。」
「で、でもここで引いたら。」
「わ、わかってるが。」
少女はポケットから髪止めを二つ取り出して髪を結ぶ。
いわゆるツインテールの髪型にする。
「敵がいるのに髪を結ぶとか余裕ありますね。」
「それほど余裕があるってことだ。
それより今が逃げるチャンスだ。」
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