その14
「ふ~取れた。」
泰智はアームをポケットに入れる。
「こんにちはこころちゃん、私の名前は早苗って言うんだよ。」
「さ……な……え?」
こころは少し言いにくそうに早苗の名前を言った。
「あれ泰ちゃん、これって記憶喪失?」
早苗が記憶喪失って言葉言ったので少し驚く。
「よくわかったな。」
「いや~、よくテレビドラマとかよく見てたから。」
「へー、意外だな。お前って医学にあんまり興味なさそうなイメージだと思った。」
「失礼な、私だって見てるよ。……背を伸ばすために見てるとは言えない。」
早苗は最後のところを小さく言う。
「最後何か言った?」
「なな、何でもないよ‼ところで香奈ちゃんと蓮ちゃんは?」
話を戻すように早苗は言う。
「え、来てないぞ。」
「あれ~先に行くって言ってたはずなんだけど?」
早苗が不思議がっていると、扉が開く音がした。
「泰智~どこだ?あ、ここにいたのか。」
「蓮君、もう少し静かに。ここ病室だよ。」
「ああすまん。」
蓮と香奈はそんな会話をしながら入ってきた。
「あれ、その女の子起きたんだ。」
「あ、香奈は寝てたんだな。紹介するよ、こころって言うんだ。」
「はじめまして、香奈って言います。」
「俺は蓮だ。よろしく。」
「……か……な?れ……ん?」
早苗と同じ用に名前を言った。
「……泰智この子コミュ障か。」
蓮の言動に、三人は少し冷たい目をする。
「蓮ちゃん失礼だよ‼」
「蓮君、確かに失礼だよ。」
「わ、悪かったよ。それよりどんな状態なんだ?」
蓮は反省し、泰智に聞くと少し考えて。
「少し説明すると、病気がわかりません。記憶喪失だと思うけど喋れないらしい。ユアさんに聞いたけどわからなかった。」
まだ分からないだらけだったので泰智は一部言わないことにした。
「それは……お気の毒に。」
「決してコミュ障ではないからな。」
泰智の言葉に少し威圧感を感じた。
「わ、悪かったって。」
「で、こころちゃんこの先どうするの?」
「俺が記憶を戻すまで面倒を見る。」
泰智は即答した。
「……泰智君の事だからそう言うと思ったよ。私も手伝うわ。」
香奈はふぅと言って手伝う事を決めた。
「ありがとうな香奈。」
「じゃあ私も私も。」
早苗も少しワクワクしながら言った。
「……こんな状況でノーとは言えないな。俺も手伝うよ。」
やれやれと手でやり、泰智に肩を叩いた。
「よしこれから忙しくなるな。」
「と言うわけでよろしくねこころちゃん。」
早苗はこころの隣に座り、抱きつく。
「さ……な……え?」
「おぉ~、泰ちゃん泰ちゃんこころちゃん私の名前呼んだよ。」
「まるで赤ちゃんがお母さんの名前を呼んだ瞬間みたいだな。」
「それ俺も思った。」
三人は少しテンションが上がる。
「か……な……と……れ……ん。」
「おおー、二人も呼んでるよ‼」
「はいはい、そうですね。」
少し三人のテンションに香奈は呆れた。
「蓮ちゃん冷たいよ。……泰ちゃんの名前言ってないね、何でだろう?」
「あ、そう言えば自己紹介してなかった。俺の名前は泰智だ。これからよろしくな。」
照れくさそうに、泰智は自分の名前を言った。
「た……い……ち?」
「そう泰智だ。」
「ふ……ふ、た……い……ち。」
初めてこころが笑った瞬間だった。
「た、泰ちゃん笑ったよ‼」
「おぉ~、笑うとかわいいな。」
二人は更にテンションを上げる。少しこころは毛布を口元に近づける。
「泰智君、早苗確かにかわいいけど急に近づいてビックリしてるよ。」
少し嫉妬したのか頬を膨らませる。
「あ、そうだね。……何で頬を膨らせてるの?」
「別に。」
プイッと別の方向を見る。
「香奈、何拗ねてるんだよ。こころみたいに笑った方がいいぞ。香奈だって可愛いんだから。笑ったら更に可愛いぞ。」
「ななな、何いってるのよ‼」
泰智の発言に香奈の顔か赤くなる。
「何で赤くなってるんだ?ありのままの事を言っただけなんだけど?」
更に顔が赤くなる。思わず泰智の背中を叩いた。
「だだ、大丈夫か?熱あるんじゃないのか?それと何故叩いたんですか?」
「泰ちゃんってこいうことは鈍感の天然だね。」
「そうだな。」
蓮と早苗はニヤニヤしなが、見ている。
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