旅の目的
姫と呼ばれる人と蓮の前に出てきた人は冷えた麦茶を出されそのまま話し合いを始める。他の三人は月影とコウと共に診療所に行っていた。
「まず名前からだな。俺は蓮だ。」
「泰智です。語るのこれくらいですね。」
「俺はイーライ、オウガという種族だ。隣の姫さんはクレアだ。」
イーライとクレアは頭に角が生えておりクロエに似た存在だった。
「あの、会っていきなりで非常識ですか、布無いですか?少し手を。」
「怪我してるんだったら包帯の方が良いよ。後は消毒液とかも持ってこよう。」
「…お願いします。」
泰智はそのまま診療所に行き話を進める。
「イーライさんは姫さんとあの三人の人達とどのような旅を?」
「…新しく住む場所か別の街との交易を。」
「どうしてですか?」
「事の発端は俺達の住む町は大昔から頻繁に襲われておりとても住める土地ではなかった。ですが、一人の巫女が現れ襲われなくなり平和になったはずだったのです。ですが、それからは辺り一体は焦土化しており飢えこそはしなかったものの貧困な生活が今もなお続いています。」
イーライはお茶を一気に飲み再び話し始める。
「俺達はそのまま町を出て新しく住める場所を探したんですが一晩寝ると周りが町同様焦土化していた。もしかしたら、この原因はイフリートなのかと思いそのまま寝ずに待っているとイフリートらしき者が現れたかと思うと剣を地面に刺し地面が盛り上がったり地面に飲み込まれたり多彩な攻撃をしてきました。そのような戦いを昨日まで。ですので焦っていたのです。申し訳ない。」
イーライは座ったまま頭を深々と下げる。
蓮はここまでの話を聞き考える。この人達の件に首を突っ込んで良いのかと。しかしここまで聞いてしまった以上見過ごす事もできず何より街を守らないとという思いが湧いてきた。
「…なるほど。」
「では、俺達はこの辺で。」
イーライは立ち上がろうとしたが蓮が呼び止める。
「ちょっと待て。何処に?」
「さっきの灼けた大地を見たでしょう?俺達が此処にいると滅んでしまう。ですのでなるべく離れます。」
これ以上迷惑を掛けれないと感じ取れた蓮は自分の本心を言った。
「うーん、そこまで話を聞いてはいそうですかと言って見過ごせないな。とりあえずそのイフリートを倒そう。倒せば落ち着けるだろ?」
「何故です?貴方にとっては戦かう理由がない!それにイフリートは人間では。」
「ただいま、さぁ傷を見せろ!話はアーム越しで聞いていた。」
話を遮るように勢いよくドアを開けた泰智は帰ってきて早々イーライを再び座らせ何処が痛むか質問していく。
隣に座っていたクレアに「女性の医師いるけど呼んでこようか?」と聞くと首を振り「いえ、その白い布をくれたら自分で。」
と言い泰智は包帯をクレアに渡した。
「あーあー、結構無茶してるな。診療所に行った奴らも軽く見たが傷放置してるな。それと、さっきの蓮に戦う理由が無いといったな。それは違うぞ。」
そのまま泰智は蓮の方を向き「ほら言ってやれ。」と言われたような気がして呼吸を整えて言った。
「あぁ、俺らはこの街を守りたいしイフリートさえ倒せれば安全な旅もできるだろ?互いに戦う理由はある。
それと俺らお人好しだからさ、遠慮なく頼ってくれ。」
「…ありがとうございます。」
イーライは手を目に当て頭を下げた。
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