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かける

『古書には不思議な力が宿る』


その力を代々受け継ぎ語り継いできた一族がある

一族では、物心つく前より文字を教え、本の成り立ちについて説き、古書の秘めたる力について語る

一族の人間は一人の例外もなく一族に伝わるすべてを身に着けるように教育される。

そのはずだった―――


燃やし尽くせ!!

その声は、夜の森に響き渡った。

声の主は、一人の老人だった。

老人は、左手に松明を掲げもち、その怒りに満ちた顔を闇の中に照らし出している。

そして、その周りには同じく松明を持った人々が集っている。その炎は、夜の闇を照らしだし周囲の様子をおぼろげながらも映し出す。

老人は、松明を森の中に立っている屋敷に向かって投げつけた。

投げられた松明は屋敷の一階の窓を割り、屋敷の中へと吸い込まれるように入っていった。直後―――


その場所から火の手があがる。それを待っていたように他の人々も方々に自身の持っていた松明を投げつけていく。


数分と立たず屋敷は炎に包まれ、夜の森を昼間のように明るく照らし出す。


その炎に照らされて老人はひどく歪な笑みをその顔に張り付けていた。


狂喜―――

そう呼ぶにふさわしい笑顔を―――







はぁ、はぁ、はぁ、―――っ


暗い森の中を一つの影がかけて行く

その姿はまるで捕食者に追いかけられるひ弱な獲物のようにみえた。

しかし、

獲物を追う捕食者の姿はその背後には―――ない。

ならなぜ、何かに追われるように影は逃げるのか?

もしくは、何かを追っているのだろうか?


はぁ、はぁ、はぁ、―――っさい


影は走り続ける。

何もない闇に染まる森の中をただ、一心不乱に止まることなく。


―――ごめんなさい


謝罪の言葉を呟きながら…


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