再開、そして (前編)
全身がガタガタと震える、思わず俺は灰色の毛に覆われた両手で顔を覆った。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……ッ。こんな醜い姿……変わり果てた姿……鳴海だけには……、見られたくないのに……っ!。
「隆士君……。」
彼女の声が聞こえる。
「コナイデ……クレヨッ!。」
そう俺は叫んだ、元の声とはまるで違う。バケモノの声。聞かれたくない、見られたくない。
――その時だった、体を包むような感触、これは……?。
彼女は……俺に抱きついていた。
「隆士君……、ゴメンね……。」
――そう彼女は言った、その声には嗚咽も混じっている。
「私のせいなのよ……、私が、バイトの事、止めてれば良かったのに……、そしたら隆士君はっ、今でもフツーに生きてたのに……。」
そう彼女は言った、それからひたすら俺に「ゴメンね。」と繰り返しながら泣く。
俺は言葉を喋る、久しぶりなのと舌が長いのでうまく呂律が回らない。
「ナルミノ……セイジャナイヨ……。ダカラ……ナカナイデ……。」
そう俺は言った、それを言った後鳴海はゆっくりと顔をあげ、俺の顔を見る。
少し大人びた鳴海の顔、目は真っ赤になっている、顔は泣いてたせいでくっしゃくしゃだった。
思わず顔を背ける、俺の顔は今は人の頃の面影は無い。獣、灰色の狼の頭そのものだ、見られたく無かった。
――鳴海は、両手で俺の頬を掴んだ。
そして自分の顔を近づけ、人とは違う俺の唇にキスをした。
それからギュッと俺に抱きつき、鳴海は言った。
「隆士君っ、生きてて良かった……。私は貴方のこと、絶対今度こそ守り抜いて見せるから……、心配しないで……。」
……と。俺は、
「ナルミ……コワク……ナイノ?オレノ……コノスガタガ……。」
と言う。すると鳴海は言った。
「怖くない、貴方だから……。」
……と。
――じわりと狼の瞳から涙が溢れる、俺は鳴海を抱き締めた、壊れないよう注意しながら。
それから暫く二人は、泣きながら抱き合っていた……。