3.5章 中 <とびとあぶらあげ>
『砂漠に姫をさらわれる 』の番外です。
王宮管理図書館の秘書の少年視点です。
少し、トリックを加えて見ました。
「利用される方にはIDカードを作って頂くことになっておりますので、
こちらの欄にご記入お願いします。
カードは後日発行し、お渡しさせて頂きます。」
僕は近くにあったカウンターからいつものように利用登録用紙を取り出した。
そして羽根ペンを渡し、書くように促した。
すると、なぜか は片手をポケットに手を突っ込み、もう片方の腕をカウンターにのせ取り調べのためバーに来た人のように低くかすれた声でいう。
「・・・ジョシュア・ルーズヴェルト。
後見人はウィルソン・アーサー王だ。」
自分の演技に酔ったか、黒の人ジョシュア様は僕の目を見つめる。
誰もあなたの演技など見たくありません。
そんなに演りたいのなら、ここではなく演芸場にでも行ってくれば。
僕はただ、この紙の記入だけしてくれればそれでいい。
先ほど言っているのに、わからない人だ。
「はあ~。」
思わず、ため息がでてた。
そして、目を登録用紙に落し、黒の人の方に用紙を向けた。
「ですから、ここにですね。
記入していただきたいだけなのですが・・・。」
すると、今度はニッコリ笑い、わからなかったのかなという感じで、
首をかしげ、サッと記入ボードを僕の方に回した。
そして、言う。
「キミ、わたしはジョシュア・ルーズヴェルトだ。
後はウィルソン王に聞いてくれ。
わたしのようなのものにこのようなものは書かせてはいけない。」
「ハッハッハッハッ!!」
黒の人は笑いながら、そそくさと本棚の陰に大股で歩いて入ってしまった。
タッタッタッタッ
黒の人の走り去る足音がした。
「はあ。IDカードなしでの入室は認められてはいません。ほら、待ちなさい。至急、退出してください。」
一応、言うことは言う。
不法侵入だな・・・。
ああ頭痛い。
ほんと、仕事増やさないでください。
きっと、僕は過労で死ぬ。
しょうがない。
いつもの方法で様子を見るとしよう。
拙い文章を初めから最後まで読んでくださり、
ありがとうございます。