表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/21

19話

「確かぁ、こっちであってるような……」


 なんとも頼りにならなそうな雰囲気を醸し出している。

 本当にこのままカエデに案内を任せてもいいんだろうか? でも、一回通った道は覚えてるって話だったしな。ここは、任せておいても大丈夫なはずだ。俺が適当に歩くよりかは絶対にマシなだろうし、別にいっか。


 そのままカエデについてあるいていると下の階層へ続く階段を発見した。


「よかったぁ、ちゃんと覚えてたみたい。もう何年も前の記憶だったから少し自信なかったけど大丈夫だったね。流石私だよ」


「ほんとについて行ってもいいのか不安になるような背中だったもんな」


「マグトは私を信じてついてきてくれれば良かっただけだよ。記憶力は自信あるっていったでしょ?」


「自分で自信なかったて言ったばっかりだろ。どっちなんだよ……」


 カエデにはいつも振り回されてばっかりだ。

 この調子でずっと俺はカエデに振り回される人生を送ることになるんじゃなかろうか……すげぇ不安だ。少なくともパーティーを組んでる間はこれが続くんだろうなって考えると憂鬱だな。


「ここから二階層に進むけど、モンスターもどんどん強力になってくるからね。戦闘になるかもしれないからそのつもりでいて。いつでも魔法使えるように準備しててね」


「ああ、俺の方はいつもモンスターが来ても対応できるさ。強力なモンスターって言っても、所詮BランクやAランクだろ? それじゃあ、俺の相手には不足してるな。せめてSランクをよこさないと話にならないっての」


「自信があるのはいいことだけど、マグトなんて身体強化魔法使ってないときは凡人以下のステータスでしょ。発動が間に合わなかったらEランクのモンスターにすら勝てないよ。油断だけはしないでね」


 俺は魔導士で前衛役じゃないからな。

 速攻戦闘に参加する役割じゃないし、どちらかというと後方支援がメインだ。

 本当だよな、俺って身体強化魔法でゴブリンと殴りあったりしてたけど、魔導士で後衛だろ。一人で戦うの事態がおかしいってもんだ。普通の魔導士だったらタンクの後ろに隠れて魔法を発動させるようなもんだろ。これも俺がすべての魔法を使えるからできる芸当だよな。俺って実は相当凄いんじゃないか? ただの魔力馬鹿ってわけじゃなさそうだぞ。


「心配すんなよ。それなら最初から身体強化魔法をかけとけばいいだけの話だろ。むしろ、攻撃魔法なんて地下で使ったら生き埋めになっちまうからな。まだ、魔法の威力を調節するのがうまくいかねぇんだよ」


「致命傷だね。私は生き埋めは勘弁だからね。今回は身体強化魔法以外は禁止って言うことでいい?」


「妥当なところか。俺も進んで生き埋めになろうって気はさらさらないからな。一番まともに使える身体強化魔法に頼るのが無難でいいだろうな。身体強化魔法をそれなりの強度でかけとくからモンスターは全部俺に任せてくれよ。ここで、実戦経験を少しでも積んでおきたいんだ」


「わかったよ。私は我慢して手を出さないようにするね。我慢できなくなったらマグトに殴りかかっちゃうかもしれないけど避けてね」


 とんでもないことをさらっと言いやがって。

 なんで俺はモンスターとカエデまで警戒しないといけないんだよ。カエデに関してはSランク冒険者だから、Aランクのモンスターと比にならない強さだろうし、不意を疲れて殴られるのはめんどくせぇ。


「絶対にやめろよ。殴りかかってきたら今後パーティー組まないからその気でいろよな。次は抱き着いて頼み込んできても折れないからな」


「それは困るよぉ。わかった、我慢する。モンスターにもマグトにも手を出さないから。神に誓うよ」


「別に大げさにしないでいいけど、それだけは守ってくれよな。モンスターじゃなくてカエデに殴られて致命傷を負うなんて馬鹿らしくてたまらんからな」


 これだけ言ってれば流石に殴りかかってこないだろう。俺とまだパーティーを組んでたいだろうし、これくらいの線引きは大事だよな。実際に殴りかかってきて万が一にも俺が避けられなかったときは大変なことになっちまうもんな。身体強化魔法を貫通してダメージを受けて骨折とかしそうだ。人生で骨を折ったことがない記録がこんなしょうもないところで途切れちまうなんて御免だ。


「二階層も私の記憶にあるから、安心してついてきてね。さっきも行けたしきっと大丈夫だよ」


「ちょっと不安だけど、ちゃんと付いて行くさ。俺が自分で探索するより効率がいいのは間違いないしな」


 二階層もこのままカエデの後ろをついて行くだけで終わっちまうのかな。

 Bランクのモンスターがガンガン襲ってくれば暇じゃなくなるけど、アークデーモン以外はいくら討伐しても報酬にはならないって考えたら面倒だな。さっきは実戦経験を積みたいとかかっこつけたこと言っちまったが、面倒なもんは面倒だ。


「あそこにスケルトンナイトがいるよ。戦ってみる?」


「もうモンスターか。いいぞ、俺に任せとけ」


 どうせ、パンチで一発なんだろうけどこれも実戦経験だ。油断せずに討伐してやろうじゃないか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ