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17話

 森の中へ入ってきたが、これといって何も起こらない。

 モンスターが俺たちのことを勝手に避けて行ってみるみたいだ。実際に、カエデがモンスターが寄ってこないようにしてるんだろうけど、ここまで何も起こらないと退屈だな。


「遺跡まではあとどれくらいなんだ? もうすぐ着くか?」


「もう少しかかるよ。まだ森に入ってから、10分くらいしか経ってないよ。いくら何でも近すぎるって、ここから20分くらいはかかるよ」


「遠すぎだろ。なぁ、なんか退屈しのぎでもないか? モンスターも出てこないし、暇でしょうがない」


「モンスターは近づいてこないって言ったよね? 私レベルだと、Bランク以下のモンスターは逃げ出しちゃうから」


 それじゃあ、この森にいるモンスターは全滅ってことだよな。

 遺跡のアークデーモンとかはAランクって言ってたから大丈夫だろうけど、カエデがそんなに凄いとは……。


「この森にいるモンスターって危険度で言うとどれくらいなんだ? 数匹くらいは高ランクのモンスターもいるんだろ?」


「いないよ、ここは初心者が受注するクエストで来る森なんだからね。スライムやゴブリンしかいないの。そんな危険なモンスターが生息してたら新人君たちが全滅しちゃうよ」


「それもそうか。俺の淡い期待も粉々にされちまったな」


 もしかしたらと聞いてみたが案の定、予想通りの結果だった。

 この森に少しでも強力なモンスターがいれば退屈しのぎになると思ったんだけどな。あと20分の我慢だ、それくらい大人な俺にしてみればなんてことないさ。


「暇なんだったら私と話そうよ。まずは、マグトの強さの秘密から教えてもらってもいい?」


「難しいこと聞いてくるんだな。そうだなぁ、俺の強さの秘密は魔力だろうな。ってか、それしかねぇ」


「中級魔法しか使えないって本当なの? 私あんまり信じれないんだよね。アンバランス過ぎておかしいもん」


 俺の弱点を知っててからかってると受け取ってもいいんだろうか?

 それなら、俺も正面から受けさせてもらうが、この感じだと本当に信じてなさそうだな。証明しようにもどうしようもないしな。初級魔法だろうが、上級魔法だろうが使えないんだよ。使ってみて発動しなかったら信じてくれるのか?


「やめてくれ、俺だって気にしてるんだ。自分自身が一番おかしいと思ってるっての。どう考えてもすべての魔法が使えてもおかしくないほどの魔力を持ってるんだからな。もうほんと何かの冗談だと思いたいくらいだ」


「現実から目をそらしたらダメだよ。私だって、魔法とか使ってみたかったけどからっきしだもん。それと一緒だよ。私はその代わり戦闘系のスキルをたくさん持ってるからね」


「スキルってのはなんだ?」


 突然出てきたワードに反応してしまう。

 カエデの強さの秘密はそのスキルとやらにあるのか?


「スキルを知らないの? いくら何でも嘘だよね? マグトだってスキルで中級魔法が使えてるはずだよ」


 じいさんが言ってたチートスキルってやつか? チート能力だったっけ? やべぇもうよく思い出せねぇよ。とりあえず、そのスキルってやつが強さに直結するってことだよな。

 でも俺の魔力はスキルとは関係なさそうなんだけどな。


「なんか聞いたことある気がする。ちなみに、カエデはどんなスキルを持ってるんだ?」


「あんまり手の内は晒すもんじゃないけど、マグトは同じパーティーだし特別に少しだけ教えてあげるよ。身体強化のスキルとか持ってるんだ。これのおかげで身体強化魔法なしでも同等以上の強化ができるんだよ」


「魔法と同じようなもんか。なんか拍子抜けだな」


「全然違うよ。魔法は魔力を消費して使うでしょ。でも、スキルはそう言うのはないんだよ。それに、魔法と違って強度も魔力に依存したりしないしすっごい便利なんだから」


 よくわからないが、全然違うらしい。

 俺からしてみれば、似たようなもんだという印象しか受けないんだけどな。ようは俺が使った身体強化魔法みたいなスキルをカエデが持ってるってことで、しかも相当な魔力を込めた魔法と同じレベルの強さだ。こう考えたらスキルのほうが強いような気もする。


「カエデ以外にも身体強化スキルを持ってる奴いるだろう? 全員同じなのか?」


「人によって強さに差があるよ。私のは特別。普通の冒険者が使うスキルとはレベルが違うんだよ。同じって考えたら可愛そうなレベルなんだからね」


「はぁ、そうなのか」


 凄い誇らしげな表情で自慢してくるが結局俺が魔力を込めた魔法にはかなわないんだろうな。

 もしカエデが魔王を討伐できるほどの力を持ってるんだったらわざわざ俺が異世界から転生してくる意味もないし、魔王と同格の強さなわけないんだよな。それでも、相当強いんだろうけど、俺には勝てないはずだ。


「あ、あそこが遺跡の入口だよ。話してたらあっという間だったね」


 カエデが指さす先を見てみると、いかにもダンジョンみたいな入口が森の中に空気も読まず存在していた。

 ここに入ればアークデーモンがいるんだな。さくっと片づけて報酬をいただくとするか。



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