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7.真面目クソ眼鏡

「ほんっとありえない。せっかくできた友達とご飯を食べるのを楽しみにしていたのに…!」

「クリスティーナは友達を作りにきたの?違うよね?アリシア=シードランについて調べにきたんだよね?まずは見た結果を報告して。」


レストランにある、高位貴族のための個室に連れ込まれた私は、お兄様が温かいご飯を食べている前で仁王立ちして怒りを表現していた。


いつも毒見のため時間が経ったご飯しか食べれていないお兄様が温かいご飯を食べれているのは私のおかげだ。聖術には『サーチ』という技があり、見たものの状況が分かるため、料理を『サーチ』すれば毒が入っているかどうかすぐ分かり、毒見が不要なのだ。


ちなみに、この場には全てを知っているお兄様の侍従が壁と同化している他は私たち兄妹しかいない。


私は1つため息をついた。ムカつくが、お兄様の言うことも一理あるので、私はアリシア=シードランを『サーチ』した結果を述べる。


「お兄様が1番恐れていたパターンだよ。彼女は魅了を使っているけれど、ほとんど悪意を感じない。お兄様たちを惚れさせて権力を思いの儘にしたいとかまでは考えなくて、ただただモテたいだけのような気がする。」

「じゃあ背後には誰もいないと考えるべきか…本当に魅了を使っている証拠を掴まないといけないんだな…。」


魅了を使っているのを証明するのはとても難しい。魅了は聖術の一種なのだが、聖術というのは人の目に見えるものではないので、立証が難しいのだ。

だからむしろバックに悪い人がいて、何かを企んでいるのであれば、それを捕まえる方が早いと思っていたんだけど、そういうわけではなさそう。


「一応、私や神官長レベルの人間だと、魅了を使っているのは『サーチ』すれば分かるし、発言にも証拠能力があるから、捕まえられないこともないけど…証言だけだと禍根が残りかねないからね…。」


それならせめて自白くらいは欲しいところ。どちらにしろ、最終手段となるだろう。


「どうすっかなー。このままあの女生徒の思うままにさせてると、下手したら国が滅ぶよなぁー。」

「お兄様にしたみたいに、魅了にかかっている他の人たちも浄化してこうか?」


お兄様が魅了の件を持ち出した晩餐のあとすぐ、私はお兄様を聖術で浄化していた。頭がスッキリして、彼女への恋慕も消えたらしい。


「でも、魅了にかからなくなるわけじゃないよね?」

「そうだね…頻繁に浄化する必要が出てくると思う。でも、一度浄化をして冷静になったところで、彼女の危険性を伝えることができたら、近づかないんじゃないかな。」

「俺は元々魅了を受けてもそれを疑うくらいには冷静だったけど、あいつらはそうじゃないからなぁ。すぐ受け入れるかどうかはわからないな…。」


他の人たちはだいぶ彼女に熱を上げているようだ。確かに可愛らしい容姿をしていたが、絶世の美女とかではなかったのに…魅了とは怖い。


話が一段落したので、私も席についてご飯を食べる。美味しい。俗世にいると太りそうだ。


学校のことをお兄様に聞きながら、素晴らしい昼食に舌鼓を打っていると、ドタドタという足音が聞こえてきて、個室のドアがバンっと開いた。


入ってきたのは分厚い眼鏡をかけた、耳にかかるくらいの黒髪を持った男子生徒だった。もちろん、見覚えはない。


「殿下っ!貴方って人はまた御令嬢を個室に連れ込んで…!紳士の基礎から学んで来てください!!」

「出た。真面目クソ眼鏡。」

「真面目クソ眼鏡はあんまりでは?」


我がお兄様ながら、人様に最低なニックネームをつけていると思い、そう忠告する。


そこで、真面目クソ眼鏡さんと目が合った。

とは言っても彼の目は分厚い眼鏡の奥で、あまりよく分からないのだが…。


彼は何故か口をパクパクし、頬をピンクに染め、震え始めた。どうしたんだろう。何かを言おうとして言えていない。


「大丈夫ですか?」

私が首を傾げて問いかけると、彼は言葉を絞り出した。


「御令嬢がクソなんて言ってはなりません!」

「え?あーはい。」

神殿での女子同士ではよく使うけど、あまり良くない言葉だというのは知っている。

「クソってどう言う意味かご存知ですか!?」

「えーと、『最低』とかいう意味で、人を罵る時に使う単語ですよね?」

「本来の意味は違って…!いえ、ご飯中ですのでそれは控えましょう。とりあえずそんな言葉使ってはいけません!」

「うんこ。」


いきなりお兄様が変なことを言ったので、私はポカンとした。


「クソは本来うんこって意味だよ。」

「…。」

私は思い出す。初めて『クソ』と言った日を。

間違いなく、私にその単語を教えたのは、目の前でご飯を食べているこの男で…。


「殺したい…。」

王女になんて言葉教えてるんだ。

「先程『クソ』と言わされたことを恨んでるんですね…。殿下に殺意を覚えるのは、人間として自然なことですが、口に出してはなりません。国家反逆罪に問われる可能性もありますので、心の中に留めておいてください。」

「おい、真面目クソ眼鏡。俺のこと嫌いすぎない?」

「私に好かれたかったらその呼び名から変えてください。」


確かにその通りだ。


っていうかこの人誰なんだろう?



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