4.残念に成長してしまった
あのあと王女は無事に保護され、実行犯だけではなく、親玉である国王の従兄弟まで捕まったらしい。
私のことも探しているようだったが、その後体調をさらに悪化させた私は、空気の良い領地で過ごすことになり、事件のことがバレることはなかった。
そして、15歳になり体調が改善したと判断された私は国立学校に転入することになる。
正直、領地での生活は暇だったし、あのイケメンたちに会える!というので大喜びだった。
しかし会えたイケメンたちは皆、ゲームでのイケメンたちとは中身が別人だった。
そりゃそうだ。だって、私がゲームのストーリー変えちゃったんだもんね。
妹を殺され復讐に生きていた王子は、妹が殺されなかったから、明るく爽やかなイケメン王子になっていたし。
反逆者たちを捕まえようとして、誤って剣で身内を刺してしまった経験から剣を握ることが怖くなった騎士団長の息子アダム=デトラスは、その事件の前に反逆者たちが捕まったからかそんな事件を起こす事はなく、ちょっとチャラい普通の青年になっていたし。
王子の最側近だったのに、全く王子が心を開いてくれないことに心を痛めていた宰相の息子、テオドール=ヤングンは、最側近ではなくなっており、代わりに王子の最側近となっているセオドア=パージバルに成績で勝てないコンプレックスを拗らせた青年になっていたし。
王女が死んだことによって聖女に不足が出て、聖女を探し回るも皆非協力的でそのうち過労で倒れた神官長の祖父の代わりに神官になり、どれだけ頼んでも聖女にならない貴族令嬢たちを逆恨みしていたクライス=アッカーサーは、神官長が元気だからか、聖女に一切興味がない、婚約者の尻に敷かれる普通よりちょっとポンコツな貴族令息になっていたし。
生まれつき弱視であることから、学校にも通わず誰とも交流のなかった、薄幸の美少年だったはずのセオドア=パージバルは、何故か分厚い眼鏡をかけて、口うるさい王子の最側近になっていたし。
なんだか皆残念な方向に成長していた。友人の言っていた影のあるイケメンが好きというのが少し分かってしまう。
ただ顔と声は変わってなくて、良いんだよなぁ。
なーんて思いながらも、転入当初は彼らと関わることはなく、同じクラスの声をかけてくれた女の子たちと仲良くしてた。同年代の友達がいなかったから、それだけで十分楽しかった。
私の運命が変わったのは、たまたま彼らとぶつかった時。
おそらくその時私は魅了をかけてしまったのだ。




